【インタビュー】DIMENSION、新作『29』完成「信じてるからこそ積み重ねてこれた」
スタジオ・ミュージシャンとアーティストという二足の草鞋を履きながら、四半世紀にわたって常に第一線を走り続けてきた類稀なるバンド。増崎孝司(G)、小野塚晃(Key,Pf)、勝田一樹(Sax)からなるDIMENSIONが、29枚目のニューアルバム『29』を完成させた。超絶スキルの楽器バトルやユニゾンをたっぷり聴かせつつ、メロディはあくまでポップで美しく、アップテンポからバラードまでバランスよく揃えた全10曲。旺盛な創作意欲、作曲の現場、そして来年の25周年への展望など、様々な話題を勝田一樹が語り尽くす。
◆DIMENSION 画像
■唯一持ってるコンセプトがあるとすれば
■個性と得意分野を余すことなく表現すること
──期待以上のアルバムです。アクティブで、ユニゾンの決めが多かったり、理屈抜きで楽しめる曲がとても多くて。
勝田:今回の作品をひとことで言うと、シンプル、アンド、メロディアス。ギターのロック・テイストと、キーボードのジャズ・テイストと、僕のサックスとのコントラストの面白みを追求して、25年もやってるグループなんですけど。それがうまく出たんじゃないかなと思います。
──1枚通してこういうコンセプトで行こうとか、そういうものは特に決めず?
勝田:そうですね。基本的にコンセプトを決めちゃうと、そうじゃない感覚が出てきた時に、それを殺さなきゃいけない。それはもったいないことなんで。DIMENSIONの唯一持ってるコンセプトがあるとすれば、それぞれの個性と得意分野を余すことなく表現すること。1曲の題材ができたとしたら、それぞれが得意なことを盛り込んでいくというやり方なので。誰が誰に合わせて何を作る、ということじゃありません。
──ホームページの文章を借りると、“今回は楽曲制作にかなりの時間を費やした”そうですけど、今までよりも時間をかけたんですか。
勝田:制作期間は半年以上はかかってるでしょうけど、それぞれ別の仕事もやっていて。そういった意味で、時間がかかっちゃったということだと思います。
──スタジオでは、ほぼゼロから3人で作って行くという話を、以前に聞いたことがあるんですけども。
勝田:それは変わらないですね。ゼロといっても、下地になるような題材は持って行きますけど。それは譜面として成立しているものじゃなくて、たとえばサビだけとか、カッコいい決めが8小節できたとか、そのぐらいです。そこに肉付けしていく。まずスタジオに入って、ワンコーラスだけ作るんですよ。仮サックスを入れたり、仮ギターを入れたり、そういうものを10曲ぐらい作って、アルバムとして並べた時に面白いものができそうだなと思ってから、フルサイズに広げていきます。
──なるほど。
勝田:バンドで活動し出した当初は、最初にバーッと作っちゃって、作っちゃったからそうせざるを得ない、というところもあったりして。でも最近はもっとシステマチックになったというか。
──曲に余白を残しておくために。
勝田:そういうことですね。
──アルバムの中で、勝田さんが最初にモチーフを持っていった曲って、どれですか。
勝田:「The Road To Peace」「Night Bird」「Get Up With It」「3 Focus」「Groovology」かな。
──たとえば1曲目「The Road To Peace」は、どんな断片から始まったのか。
勝田:常にひとつのパートしかないというわけじゃなくて、いろんなパートがモチーフとして、自分のアイディア帳に記載されているんで。たとえばイントロをこういうふうに作ったら、サビはこんな感じにしたい。サビがうまくいったら、Aメロはその場で作ろうとか。この曲に関してはそんな感じです。2曲目の「Night Bird」は、いわゆるAメロ、Bメロと、途中でユニゾンがいっぱい出てくるようなところがあるんだけど、それは別日に作りました。メロディを作ったところで、もうちょっとフックがほしいねということで、そういうパートを作って、くっつけてみました。
──ということは、8曲目のバラード「Hope」は、勝田さんのアイディアから始まった曲じゃないんですね。まるでサックスのソロ曲のような、エモーショナルなメロディを吹きまくる曲なので、てっきり勝田さんのメロディかな?と。
勝田:ここ最近のDIMENSIONのメロディアス・バラード系は、だいたいギターの増崎さんが作ってきます。そのほうが客観的に曲に入り込めるんで、僕はそのほうがいいんですよ。自分でやっちゃうと、これぐらいでいいのか、これだとやりすぎなのか、曲がいいのか悪いのか、よくわかんなくなっちゃう時があります。第三者が作った曲のほうが、この曲をよく聴かせるためにサックスでどうすればいいか?を考えられますし。
──はい。なるほど。
勝田:今ひとつカッコよく聴こえないと思う時は、だいたい自分のせいなので、じゃあ自分の演奏の仕方をどう変えるか。それをサックス主体で考えられるからやりやすいし、カッコよくなりやすいんですね。
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