【人間椅子連載】ナザレス通信Vol.15「汽車」

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青森では電車だろうがディーゼル車だろうが長距離列車で移動する時、「汽車に乗る」という言い方をします。自ずとJRは汽車で私鉄は電車ということになって、動力が電気かディーゼルかは関係ないのです。

自分は汽車に乗るのが大好きです。昼間より夜がいいです。新幹線ではだめです。ガタンゴトン言わないとだめなのです。がらがらにすいていると尚いいです。更に冬に雪が積もっている中を走るのは最高です。曇りガラスの露を拭いて外を眺めると真っ暗です。おそらく田んぼなのでしょう。遠くで規則的に光るのは電柱の街灯で、ぽつんぽつんと家の灯りも見えます。あのオレンジ色の光の中で家族が何をしているのかな、老夫婦がこたつに入ってみかんでも食べているのかな、風呂上がりの兄弟がトランプでけんかになっているのかな、受験生が最後の追い込みをかけているのかな、などといろいろな想像をしてしまいます。

そんな時に頭の中で鳴るBGMはELECTRIC LIGHT ORCHESTRA(E.L.O.)の「Last Train To London(ロンドン行き最終列車)」です。ディスコビートにのるベースラインが汽車のがたんごとんを巧く、本当に巧く表しています。歌にかかった深いディレイ(こだまのようなエコー)はプラットホームに流れるアナウンスのように寂しげです。中間部のキーボードソロは、昔を懐かしむような少し悲しい気持ちを彷彿させます。ただ汽車の窓から外を眺めているだけなのに、このBGMのせいで涙ぐんでしまいます。名曲であり、この曲が収録されたアルバム『Discovery』は名盤です。




人間椅子にとっても「汽車」は大事な要素の一つです。代表曲「りんごの泪」の歌詞「十五時五十四分上野行き急行津軽」の急行津軽は、二十歳の頃自分と和嶋くんが正月の帰省に乗っていた汽車です。上野から奥羽本線経由で弘前まで15時間かけて走ります。プラットホームでは発車の何時間も前から出稼ぎのお父さん達が酒盛りを始めています。客車の中は人で溢れ返り、網棚からはお土産がこぼれ落ちそうです。席を取れなかった人は通路に新聞紙を敷いて宴会の続きです。窓ガラスの露にヌード写真が貼ってあるは、煙草の煙で霞がかるは、ぐでんぐでんに酔っぱらうはで大変な騒ぎでしたが、みんなの「やっと故郷に帰れる嬉しさ」が充満した特別な汽車でした。


●今回のおまけのマイベストテープ~汽車の名曲

A1.Last Train To London / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA
A2.Train,Train / BLACKFOOT
A3.Hot Rails To Hell / BLUE OYSTER CULT
A4.The Midnight Special / CREEDENCE CLEARWATER REVIVAL
A5.Catch Your Train / SCORPIONS
B1.Long Train Runnin' / DOOBIE BROTHERS
B2.Crazy Train / OZZY OSBOURNE
B3.A Passage To Bangkok / RUSH
B4.Train Kept A Rolling / THE YARDBIRDS
B5.Hate Train / METALLICA

<秋のワンマンツアー「地獄の季節」>

10月29日(土)水戸 mito LIGHT HOUSE
10月31日(月)神戸 Chicken George
11月2日(水)博多 Be-1
11月4日(金)広島 BACK BEAT
11月5日(土)高松 Olive Hall
11月7日(月)名古屋 Electric Lady Land
11月8日(火)京都 KYOTO MUSE
11月10日(木)大阪 umeda AKASO
11月13日(日)青森 Quarter
11月15日(火)札幌 cube garden
11月17日(木)盛岡 CLUB CHANGE WAVE
11月19日(土)渋谷 TSUTAYA O-EAST
*全公演チケット発売中!

■メルダック、徳間の旧譜作品13タイトルがHQCDで再発決定

13作品 / 2016年11月2日(水)発売 /全作品 税込2,500円 / TKCA-10173~TKCA-10185
(1)「人間失格」(1990年7月21日)
(2)「桜の森の満開の下」(1991年3月13日)
(3)「黄金の夜明け」(1992年6月21日)
(4)「羅生門」(1993年10月21日)
(5)「二十世紀葬送曲」(1999年3月25日)
(6)「怪人二十面相」(2000年6月21日)
(7)「見知らぬ世界」(2001年9月21日)
(8)「修羅囃子」(2003年1月22日)
(9)「三悪道中膝栗毛」(2004年9月29日)
(10)「瘋痴狂」(2006年02月22日)
(11)「真夏の夜の夢」(2007年8月8日)
(12)「未来浪漫派」(2009年11月4日)
(13)「此岸礼讃」(2011年8月3日)
*( )内はオリジナル作品の発売日

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