【インタビュー】GACKT&浜崎あゆみ「自分たちの口でしっかり発信していくべきだと思っているんだよ」
7月29日(金)、GACKTのニコ生番組「OH!! MY!! GACKT!!」がスタート、浜崎あゆみをゲストに招いての放送が行われた。
ニコ生を活用した番組にチャンネルリニューアルし、その記念すべき第一回目に浜崎あゆみが登場するとあって、番組開始前から1万人を超える視聴者が待機しており、ツーショットが実現すると弾幕コメントで画面が覆い尽くされた。浜崎あゆみにとってもニコ生に登場するのはこれが初めてのことであり、「あゆカワイイーーー」「あゆうううううう」「あゆとがくちんコラボして」と、視聴者もちょっとした躁状態。初めてのニコ生に驚きと戸惑いを見せる浜崎あゆみに、「88888888888」の拍手が次々と流れ続いた。
◆GACKT&浜崎あゆみ画像
番組では視聴者からの質問をきっかけに、それぞれの価値観や美学もほとばしり、笑いを交えながらも機知に富んだ会話に盛り上がり、知的好奇心も刺激される非常に面白い番組となった。
番組終了後BARKSではふたりをキャッチ、インタビューを決行した。本音トークが繰り広げられた1時間はふたりにとっても手応えを感じるものだったようで、浜崎あゆみも「すごく楽しかった」と話し、GACKTは「こうやってテレビじゃないあゆの考え方を聞けて嬉しい」と、豪華共演を存分に楽しんだようだ。
取材・文:BARKS編集長 烏丸哲也
──何の制約を受けることもなく、動画で本音トークを行えるのはネットメディアの魅力ですね。
GACKT:あっという間に終わっちゃったね。
浜崎あゆみ:うん。ホント。
GACKT:実際にあゆとこんな風に話をするのは10年以上ぶりだからそれも嬉しいし、こういう時間を持てるようになるのは、多分今はテレビの企画じゃムリなんだと思う。特に音楽番組もないし。僕らみたいなアーティストにとって、実際に発信できるメディアを持てることが意味のあることだと思う。
──重要だと感じますか?
GACKT:そうだね。というのも、ちょっと前までの時代って攻撃されるだけの対象だったから。
──受け身だけで?
GACKT:うん、僕らは「ファンに分かってもらえればそれでいいよ」というだけではなくて、今って情報をコントロールされてしまう危ない時代だから、自分たちが言わなきゃいけないこと/やらなきゃいけないこと/思っていることは、自分たちの口でしっかり発信していくべきだと思っているんだよ。
──じゃないと事実が曲がってしまう?
GACKT:そう、曲がってしまうんだよね。黙っていればいろんなことを書かれるしいろんなことを言われる。だから「思っていることや間違っていないことはこうですよ」と自分の口で言う場も必要だし、言う姿勢も必要なんだと僕は思っている。
浜崎あゆみ:がくちんのおっしゃるとおり。それこそ以前は「火のないところに煙は立たない」って言ったけど、今は火がなくても誰でも煙を立てられるような時代だから。それを気にする人もしない人もいるけど、自分の言葉で真実を伝えていきたい人は伝えていったほうが絶対にいい。自分の人生だからね。
──そうですね。
浜崎あゆみ:それを信じてくれる人がいるかいないかは、その人がいままでどうやって生きてきたかが反映しているんだと思う。私やがくちんはいつも正直にやっていたから、こういう場で発することはきっとみんなホントだと思って聞いてくれる。それが正しいことだと思うし、「本物ってこれだよ」とか「真実ってこれだよ」というのが、みんなが上手に見極めて物事を見れば、日本のエンターテイメントももっと進化できる気がする。だから、この番組はすごくいいと思います。
──事実、すごく面白かったし。
浜崎あゆみ:観ている人も絶対面白いと思うな。
──台本も筋書きもないけれど、だからこその面白さですね。
浜崎あゆみ:やっぱり、人となりがすごく出るから「あ、GACKTさんってこんなひとなんだ」って初めて思う人もいるだろうし、観ていくうちに、きっとがくちんのブレない軸が見えてきて「これがほんとなんだな」って判断してくれたらいいな。こういう場を作るアーティストさんが、がくちんに続いてもっとたくさん出てきてくれたらいいと思います。
──でも、人間力が顕になるから、怖いところもありますよね。誰でもはできないんじゃないかな。
浜崎あゆみ:誰でもは絶対無理だと思います。ここで話すということは、きっと、これまで自分で選択して決めて腹くくってやってきた人たちだから、自分で選んでこなかった人はバレちゃう。
GACKT:確かにね。
──番組を編集してくれるわけでもないから、都合のいいようにはできないですね。
GACKT:そうだね。剥がれちゃうからね。
──こういう発言の場は、一般人にも有効だと思いますか?
浜崎あゆみ:あるんじゃないですか?今は一般の人も、SNSでの言い方や発言内容にはすごく制限される時代じゃないですか。それってちょっと狂気じみている、というかすごくおかしい。私達みたいなアーティストじゃなくても、伝えたい人を見つけるツールとしては一般の方にも全然ありじゃないかな。
──GACKTさんはどうですか?難しさを感じますか?
GACKT:んー…難しさというより、時代がその方向に流れているから、それを拒否することができない。例えば、家電しかなかった時代に携帯が生まれた時、携帯を拒否してもいずれみんな携帯を持つようになってしまって、持っていないことに対して否定的に思われてしまうようになった。要は持っていないことが単純にポリシーで持たないとは言えなくなってしまうわけじゃない?
──ええ。
GACKT:「持たないことに対する理由」って、本来はあるわけじゃん?「携帯を持つと自分の時間が無くなる」とか「持つことによって大切なモノが失われる」とか。…にもかかわらず「持っていないことによる弊害」みたいなものを周りが勝手に作っちゃうから、必然的に持たないことが悪になってしまうよね。ネットの時代というのは、そういう方向に向かっていると僕は思うわけ。
──難しいですね。
GACKT:こういうことに結局なってしまうのなら、自分たちが間違った使い方をしないために「もっと勉強しようよ」ということのほうがよっぽど大切なわけで。すでにPCじゃなくスマホで観る時代になっているわけだから。
浜崎あゆみ:確かに。
GACKT:こういうものを否定するのは簡単だよね。否定して拒むのは簡単。受け入れて…受け入れるということは勉強しなくちゃいけないからね。
──そういう意味でも、めでたき第一回目がスタートしたわけですが、記念すべき初回のゲストとして登場した感想はいかがですか?
浜崎あゆみ:誰のものさしでもなく私のものさしでしかないんですけど、「この人は本物」とか「この人は違う」とか、「これは好き」とか「嫌い」とか、自分のものさしで判断することってたくさんあるでしょう? その中で圧倒的にGACKTという存在がリアルだし本物だし、なおかつすごく共感できるんですよね。同じアーティストとして「分かるよ」って。向かっていく感じとか静観する感じとか、そのタイミングもそうだよね、って納得することや共感することが多い。
──ステージでの呼吸もそうでしょうね。
浜崎あゆみ:そうですね。GACKTというアーティスト自体を私はすごくリスペクトするので、ゲストとして呼ばれて断る理由がないですよね。
たかがニコ生、されどニコ生。情報が網の目のように行き交うネット社会の中で、自らの発言に責任を持つのみならず、自らの生き様を襟を正して世に問う姿勢こそが、トップアーティストたる所以であることがお分かりいただけたことだろう。記念すべき「OH!! MY!! GACKT!!」リニューアル第一回が、GACKTと浜崎あゆみという研ぎ澄まされた存在によって、テレビにはない大きな可能性を見せつけることとなった。今後のメディアを問うきっかけになった貴重な第一回目だったとも言えそうだ。
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