【インタビュー】ふくろうず「ちがった世界に行ってもらえたら」
■めっちゃいい歌詞書けたなと思っているんです
――そして終曲の「エバーグリーン」。シンプルな曲であり歌であるけれど、アルバムのすべてを集約しているような深みある曲ですね。
内田:自分が書きたい歌詞が全部凝縮されているというか。めっちゃいい歌詞書けたなと思っているんです。自分がいちばん向いている歌詞ってこういう歌詞なんじゃなかなって。自分が思ういちばんいいものと、人が思ういいものってちがったりするので、難しいけど。自分らしいですね、歌詞は。
――歌詞の最後の方に、<まだ やってないことあったっけな/全部 やったしやってないって感じ>というフレーズがありますね。これは、自分たちの音楽についてや作品についても触れているんですか。
内田:音楽もそうなんですが、わたし食べることが趣味で。たぶん芸能人の人とかはもっと美味しいもの食べているんだと思うんですけど、わりともう美味しいもの食べたなと思うんですよね(笑)。でも、もしかしたらまだ知らない世界があるだけなのかなあ、とか。
石井:なんだそれは(笑)。
内田:漫画とかも、読み漁っちゃったので。もう面白い漫画全部読んじゃったのかなとか。服もすごく好きなんですけど、もうお洒落も頑張ったかなとか(笑)。音楽に関しては、ちょっと言ってみただけで、もちろん全部やったなんて思っていないですけど。趣味に関しては、やり尽くして息詰まってるところがありまして。
――なんとなく、一巡はしたかなというところなんですね。
内田:自分の手の届く範囲での食べられるものは頑張って行ってみたりもしたし。若干、限界を感じてます(笑)。
――(笑)。アルバムのエンディングであり、映画でエンドロールが流れている感覚に近いんですよね。それも物語がちゃんと着地はしていない感というか、結末をポンと観客に投げるような余韻がある曲になっている。アメリカンニューシネマっぽいエンディングですね。
安西:たしかに(笑)。これから頑張る、なのか、ちがうのか?っていうどっちともとれますよね。
内田:映画でも、そういうタイプの内容の方が好きなんですよね。はっきりとハッピーエンドとかバッドエンドよりも、ちょっとだけモヤっとするというか。なぞかけみたいなものを残した映画がすごく好きなので。
安西:そのほうが、リアルだったりする。
内田:自分のなかにモヤモヤが残るからね。そこまで意図したわけではないんですけど、「エバーグリーン」で終わることにも自分の趣味が出ているんだと思います。でも、ただ暗いだけじゃなく多少なりとも明るい気持ちも込めたし、聴いている人が暗いだけじゃないなって思ったなら、うれしいなって思います。どの曲でもそうですけどね。
――暗さはないですよ、アルバム全体を通して、ちょっとだけ違う世界に入ってみた感覚のアルバムじゃないかなと思います。夜の遊園地というテーマ自体まさにそうで、妖しさや怖い雰囲気もあるけれど、別世界に紛れ込んだようなファンタジー感もあるっていう。
内田:それがいちばん素敵じゃないですか。音楽を聴くとき、少しちがう世界とか、ちがう気分とか、そういうのになりたいから聴くので。このアルバムを聴いてもらって。ほんとに少しでいいので、ちがった世界に行ってもらえたらいいですね。
――今回は移籍第一弾のアルバムでもありますが、そういったことは作品作りに関してなにか影響したことはありますか。
内田:今まではプロデューサーを入れて制作をしたことがなかったんですけど、今回はプロデューサーが入ることが前提だったので、最初はドキドキしたんです。でも今思うと、これはすごくいいことだったのかなって。もちろん大変なことも多少はあったし、最初はわりと人見知りしちゃって、ギクシャクしていたんですけど。最終的に、アレンジに関してはほんとに5人目のメンバーのような感じでしたし。それはちがうなって思うことは、やりたくないと言える関係性にもなったんですよね。
――これまでプロデューサーを立てることはなかったのは、自分たちの音を触られたくなかったからという思いから?
内田:そんな立派なものじゃないんですけどね(笑)。単純に人見知りだとか。
安西:いつもサポートのドラムと4人で入ってるスタジオに、よく知らない人がくるっていうのに抵抗があるとか、その程度のことなんですよ(笑)。
内田:もし自分たちでプロデューサーを入れるとなれば、知っている人にお願いすると思うんですが、今回はレーベルから紹介された面識のない方で。これは今までの自分たちだったらありえないことだからネガティヴな部分は最初にあったんですけど、結果的にすごくよかったと思う。
――第三者がいたことでの発見はありましたか。
内田:曲を作る時の、当たり前のことを指摘してくださるので。それはそうだよなと、素直に思いましたね(笑)。
安西:例えば音色についてとか、あまり自分たちのなかにはないものを提案してもらえたのはよかったです。
内田:「メリーゴーランド」が曲の途中で3拍子になるのは、プロデューサーの提案なんです。遊園地感が出るんじゃないかって言ってくださって。あと、「ダイナソー」はもともとギターはじまりの曲だったんですが、わたしの鍵盤の弾き語りではじめたほうがいいってアドバイスもいただきました。たしかにこの曲は、わたし視点の、ギターが弾けない女の子の曲なのに、ギターからはじまるのは変かもなって思って。根本的なところを納得できる形で言ってくださる方なので、新鮮で面白かったです。
石井:ギターを弾いていても、プロデューサーのテンション上がってくるのがわかる時があるんですよね(笑)。その方自身もプレイヤーでもあるので、ああ今すごいアガってるな、というのが伝わってきて面白かったです。
――アルバムタイトルの『だって、あたしたちエバーグリーン』。これは自分たち自身のことを指したものですか。
内田:ふくろうずのことですね、わりと長くやってきたけれど、まだエバーグリーンだぞって気持ちと。そうはいっても、長くやってきちゃってるよなっていう気持ちとが入ってます(笑)。タイトルやジャケットから、ユーモアとかおしゃれな感じ、ひねくれた感じを受けてもらえたらうれしいなと。
――ばっちり出ていると思います。
内田:それなら幸いです(笑)。
取材・文◎吉羽さおり
▲『だって、あたしたちエバーグリーン』
New Album『だって、あたしたちエバーグリーン』
TKCA-74384 / 2,500円(税込) / 徳間ジャパンコミュニケーションズ
01. 白いシャトー
02. メリーゴーランド
03. うららのLa
04. マイノリティ
05. ラジオガール
06. ダイナソー
07. ファンタジック/ドラマチック/ララバイ
08. 春の王国
09. 夏のまぼろし
10. 思い出か走馬灯
11. エバーグリーン
作詞・作曲:内田万里 / 編曲:ふくろうず
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