スチュワート・リンジー、音楽業界に革命を起こすか?

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Dave Stewart(デイヴ・スチュワート)が、Twitterを通じ知り合ったシンガーTHOMAS LINDSEY(トーマス・リンジー)とのニュープロジェクトSTEWART LINDSEY(スチュワート・リンジー)のデビューアルバム『SPITBALLIN』を6月24日に世界リリースした。

◆スチュワート・リンジー画像





ユーリズミックスのメンバーとしてデイヴ・スチュワートを知る人も多いが、彼はこれまでにミック・ジャガー、トム・ペティ、ダリル・ホール、グウェン・ステファニー、ボブ・ディラン、ポール・マッカートニー、アレサ・フランクリンほか、多数のレジェンド達の作曲やプロデュースも行っており、100ミリオン以上のアルバムセールス記録を持つ名プロデューサーでもある。

シンガーのトーマス・リンジーは、ルイジアナの小さな街デ・リッダーで育ったシャイな子供だった。幼少期は友達も居なくただ音楽が大好きで、楽器の弾き方を勉強し家でずっと歌っていたという。

意外にもカントリー音楽はそんなに聴かず、ラジオから流れるオフビートセレクションがお気に入りだった彼は、声が凄く高いので女性シンガーに魅了され、シェールやアニー・レノックス(ユーリズミックス)がお気に入りだという。アレンジャー/ソングライター/ギタリストである憧れのデイヴ・スチュワートにツイッターで連絡を試みたが、まさかそれを本当にデイヴが読んでくれるとは思わなかったらしい。一緒に送られたYoutubeのアカペラの映像をチェックしたデイヴ・スチュワートは「おやまぁ!」と思ったとか。

デイヴがその後彼にオリジナルソングを送り歌わせてみたらとても素晴らしかったため、「もし良かったらロスに来て私のライブの前に3曲歌わないか?」と提案した。それはトーマスにとって、初めて飛行機に乗りデ・リッダー(ルイジアナ)から外の世界へ旅立った日だった。ロサンゼルスのライブハウスTroubadourで3曲を見事に歌い上げた彼はオーディエンスの心を掴み、周囲からは「天使の様な歌声、一体この素晴らしい子は誰なんだ!?」と賛美されることとなった。


その後デイヴとトーマスは何度かTroubadourとthe Roxyに出演し、ロンドンでもショーを行いミュージックアワードでも演奏を重ねていった。アメリカに戻ったふたりは、ロサンゼルスとルイジアナの間をオーディオファイルを送信しながらの楽曲制作をスタートさせたという。こういうやり方はデイヴにとっても初めてだったが、制作を進めて行くうちにお互いの心の距離が縮まり通じ合う様になっていく。デイヴにとっては予想外の経験だったようだ。

「私が何を求めているかというような感情を彼は直に読み取る様になりました。トマースの声質は100年以上前から来た様に感じます。私は、1990年代始めにミシシッピー州でブルースプレイヤーをフォーカスした『Deep Blues』という映画を撮影・プロデュースしたんですが、そこには1970年代~1980年代に活躍したプレイヤーも含まれており本物のブルースがありました。その時と同じ様なとても素晴らしいブルージーでブードゥーなクオリティーがあります。そこに1950年代や1960年代のNina Simone(ニーナ・シモン)のようなニュアンスをミックスしました」──デイヴ・スチュワート


アルバム1曲目に入っている「Leave This Town」は、デイヴの歪んだ舐めるようなブードゥー・ギターと共に、フリーテンポでワイルドな生ドラム、トーマスの個性的な歌声が、懐かしきアメリカ南部のオールドタウンシーンを連想させる。デビューアルバム『SPITBALLIN』には、近年では聴いたことのない様なサウンドが含まれているが、それは異なる歴史それぞれが持つ気質や特性が、世代を超えたふたりの想像力を高めているからなのかもしれない。

「デイヴの音楽を凄く理解している。彼を信じているからこそ新しい事への試みは恐れていない。普通はジャッジされると思って失敗することを恐れるけれど、でもデイヴと一緒にやる時は何をトライする事も恐くない。むしろワクワクするよ。それはとてもハードな事だったりするけど、今まで自分がここまでできるという事に気付かせてくれたり、新しい世界に連れて行ってくれるんだ。ビックリすることがあるんだよ」──トーマス・リンジー

「トーマス・リンジーが誰なのか、一般にはまだ良く知られていないけれど、彼はブルースもソウルも全て含めた音楽の根本である大切なことを知っている。これまで一緒に仕事をしてきた偉大なアーティストの数本の指に入るだろうね」──デイヴ・スチュワート

1stシングル「Another Lie」のミュージックビデオは、13歳の女優Indya Loveと共に丘の上にある家で撮影されている。



Photo:michelle Shiers
文:Sayaka Shiomi
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