【インタビュー】リーチザスカイ、7/20アルバム発売。メンバーの個性がぶつかり合う魅惑のジャンルレスサウンド

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7月20日に1stアルバム『いつの日か見た空』をリリースする、Reach The Sky。ヴォーカル・Ichi-Naotoの男っぽい骨太な歌声はロックバンドなのかと思いきや、フォークやブルースのようなアプローチもあったり、ポップスや泣きのバラード、コーラスワークも面白い楽曲……と、音楽性の幅は広い。しかも、3人での活動は長いながらも、Reach The Skyと名乗るようになったのは最近という。なんともつかみどころのない3人組に、ユニークなバンドの成り立ちから、記念すべき1stアルバムについて語ってもらった。

◆リーチザスカイ~画像&映像~

Vocal/Ichi-Naoto (写真中央)
Guitar/Shinya(AG、EG) (写真右)
Bass/Ray (写真左)

■最初はカセットテープに吹き込んだオケを流してライヴをやった
■楽器は持たずにコーラスグループとしてのスタートだったんです


――自己紹介がてら、まずは皆さんの音楽的なルーツからお願いしたいのですが。まずはヴォーカルのIchi-Naotoさんから。

Ichi-Naoto:僕は、物心ついたくらいの頃から、将来は音楽をやろうって決めていました。なんの曲かは覚えてないんですけど、テレビから流れてきた音楽を聴いた時に全身がゾクゾクしして、自分も伝える側になりたいって思ったんですよ。ただ、そう思ってから音楽をやるまでは時間がかかったので、実際に自分で歌うようになったのは高校生の時からでした。

――どんなものを聴いていました?

Ichi-Naoto:ジャンルはこだわらず、ゴスペル、演歌、民謡、ジャズ、ロック、ポップス……いいと思ったものは全部。

――良い音楽なら全部好きなんですね。では、ベースのRayさんは?

Ray:最初はX JAPANが好きでTAIJIさんやhideさんに憧れて音楽をやりたいと思うようになりました。実際に楽器をはじめたのは高校生くらいだったんですけど、最初はギターだったんですよ。ギターソロを聴いたり弾くのが好きだったので。でも、コードがうまく抑えられなかったんです。それで、ベースなら弦も4本だし大丈夫かな?ということでベースをはじめて、そこからはずっとベースです。音楽を聴く時も低音を聴いてしまうほうなので、結果、ベースで良かったなと思います。

――ギターのShinyaさんは?

Shinya:僕の場合は、昔から音楽をやっていたわけではなく、夢とか目標がなく生きてきた人生の方が長いんですよ。そんな中で、夢や目標に向かっている人が羨ましくて。ある時、自分もそういう風になりたいと強く思うようになったんです。その時に、「やれそう」ではなく、「やりたいか、やりたくないか」だけで考えた時に、「やりたい」と思えたものが音楽だったんです。


――それまで音楽の経験は?

Shinya:少しかじったことがあった程度ですね。歌うのが好きだったので、友達と駅前でゆずの曲とか、みんなが知っているような曲……「なごり雪」とかを歌ったりしていたんです。ギターもちょっとだけ弾いていました。練習するわけでもなく、本当にただの遊びの一環だったんですけど、それがすごく面白かったんですね。で、いろいろ考えた時に「音楽を本気でやってみよう」と思って。だから、最初は楽器もなんでも良かったんです。とにかく常に音楽の中にいたいと思ったんです。

――それからガラッと環境を変えたの?

Shinya:はい。まずは一人で作曲を始めたり、歌やギターの練習をしたんですけど、そのまま一人でやっていても何も始まらない。ライヴもやったことがなかったので。途方にくれていた時に、たまたま路上ライヴをやっていたIchi-NaotoさんとRayさんに出会ったんです。

――うまい流れでReach The Skyの結成話に繋がっていきますね(笑)。

Shinya:そうですね(笑)。たまには外で練習してみようと思って、ギターを持って外に出た途中の公園で二人が路上ライヴをやっていたんですけど、僕、その前で立ち尽くしてしまったんですよ。不思議なんですけど、初めて会ったのに、「この人たちと一緒に音楽がやりたい」って直感的に思って、曲を聴いたあとにすぐに話しかけて、連絡先を教えてもらったんです。ライヴの予定も聞いたので、その後、何度か見に行って、「僕も入れてほしい」と言いました。まるで好きな人に告白するみたいな感じだったんです。ただ、当時、僕は何も出来なかったので、入ったとしても大変だろうなと(笑)。実際、入ってから今に至るまで大変な思いをしたんですけど。

――Shinyaくんの話から予想すると、Ichi-NaotoくんとRayくんは、もうすでに出会っていたわけですよね。二人の出会いは?

Ichi-Naoto:会社で知り合いまして。Rayは当時、音楽はやってなかったんですけど、なぜか一緒に曲を作るという流れになって。実はその時、僕は別のコーラスグループで活動することが決まっていたので、Rayとは一緒にやるつもりはなかったんです(笑)。だから、最初は遊びのつもりだったんですけど、Rayが結構真剣になっちゃったのでちょっと考えて、真剣にやってみようかなと思って、ライヴをやることにしたんです。

――初ライヴはどんな感じでした?

Ichi-Naoto:最初はカセットテープに吹き込んだオケを流してライヴをやったんですよ。

――え?? カセット? シーケンスじゃなくて?

Ichi-Naoto:はい(笑)。楽器は持たずにコーラスグループとしてのスタートだったんです。

――Rayくんも歌ってたのね?

Ray:はい。

Ichi-Naoto:その時はライヴハウスでライヴをやることしか考えてなかったんですね。そうなると対バン相手は全部バンドなんですよ。僕らだけカセットのオケでライヴをやるのが恥ずかしいなということで、エアバンドに切り替えました。

――今度はエアバンド!?

Ichi-Naoto:でも、しばらくしたら、お客さんに「あの人、弾いてなくない?」と指をさされて、だんだん恥ずかしくなってきちゃったんです。それで「本気で楽器をやろう!」と、猛練習したら楽器がすごく難しくて……。きっと、他のバンドさんと比べても練習量は多かったと思うんですけど、全然ダメで。バンドになったのはそこからなんです。7~8年前くらいの話ですかねぇ?

――ガムシャラな感じでここまでやってきたんですね。

Ichi-Naoto:まさに……いろんな恥ずかしさを経験しているぶん、もう「恥ずかしい」と思うことはなくなりました。そこから、しゃべりを中心としたバンドになっていくんです。楽器が下手なぶん、それをカバーするには、他の人がやってないことをやらなきゃいけないなと。最初は、演奏の下手さをカバーするつもりでしゃべりに重点を置いてたんですけど、それが意外と評判が良くて。


――Shinyaさんが入ったのはその辺りですか?

Shinya:楽器を本気で練習しはじめたあとくらいですね。実は、その時は、僕ではない別のメンバーがいて、その三人で活動していたんですけど、その人が抜けるということで、「最後のライヴをやるから見に来て」と言われたんです。「それって、抜ける人の代わりに僕が入れってことなんじゃないの?」と勝手に運命を感じて。

Ichi-Naoto:Shinyaが「入りたい」って言ってきた時、Rayが「やる気あるならいいよ」って言ったんですよ。

Shinya:かなり上からでした。途中、僕がカホンをやったこともありましたし、ここまでも本当に試行錯誤の連続で。

――「Reach The Sky」というバンド名になったいきさつは?

Ichi-Naoto:僕の音楽活動を応援してくれていた父が亡くなってしまったんですけど、亡くなってすぐにライヴの予定が入っていて。「辛かったら無理してステージに立たなくていい」ってメンバーも言ってくれたんですけど、僕は歌いたかったんですね。そうしたら、Shinyaがオーダーメイドのバングルをくれたんです。そこに「Reach The Sky」って文字が入ってて。ちょっと恋人みたいですよね(笑)。

Shinya:そのライヴって、僕がReach The Skyに入ってから初めてのライヴだったんです。そのライヴの数日前にIchi-Naotoさんのお父さんが亡くなられたんですよ。そんな時にライヴってどうなの?って思ったんですけど、Ichi-Naotoさんは歌うというし、喪章の代わりにメンバー三人で何か身につけたいと思って。ネットで「天まで届け」という意味の言葉はないかな?って調べた時に、「Reach The Sky」という文字が出てきたんです。

Ichi-Naoto:バンドとしてもいろいろ変遷してきて、仕切り直したいというタイミングもあり、バンド名を変えようってことになったときに、そのバングルの言葉にしようということで。

Shinya:いつも鳥肌が立つことがあるんですよ。Ichi-Naotoさんはいつもこのバングルを常に身につけているけど、僕もRayさんも普段はつけていないんです。でも、約束したわけでもないのに、ライヴの時は腕を見ると全員つけていて。

――お守りみたいなものなんだね。いろんな変遷があって、ドラマもありますね。

Ichi-Naoto:他のバンドから比べると、めちゃめちゃクオリティは低いかもしれないですけど、気持ちや意識はすごく強いです。僕が今、クオリティの高いメンバーとバンドを組んだとしても、それが長く続くとは限らないと思うんですよ。僕らはここまで続けてきた中で、出会ったバンドがたくさんいましたけど、あんなにクオリティが高い音楽をやっていても解散してしまうんだなって。周りを見て思いました。でも、僕らは解散とかそういうことを考えてないので。

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