【インタビュー】ember、Ken BandのMinami「ロックという音楽をやりたくて」
■ロックとか、アメリカ感とか
■そういうのをひとつのテーマとして
──では、ここからはemberの話に。もともとemberをはじめたのは、どんなきっかけがあったんですか。
Minami:遡るとKEMURIをやっている頃からだから、10年くらい前からアイデアがあって曲は何曲か作っていたんです。KEMURIの解散が決まって、1年くらいは解散ツアーをしたりという時間があったんですけど。その間に、KEMURIの後にやるバンドを考えていて、そこでベースのTsuyoshiと一緒にやりたいねっていう話をしていたんです。で、KEMURIが終わるころに、健さんから「Ken Bandに入らないか」という連絡がきて。それは二つ返事でOKしたんです。
──そこで一旦emberは白紙に?
Minami:まさか自分がこうしてバンド中心の生活をすると思っていなかったので、もともとemberは、“仕事とかをしながらでもできるバンド”というスタンスで考えていたんです。で、さらに4~5年経って僕自身がKen Band加入から落ち着いた頃、Tsuyoshiから、「そろそろemberやらないんですか?」って連絡がありまして(笑)。
──メンバーからの催促で(笑)。
Minami:それで溜めていた曲を聴かせて。動き出したのは、そこからですね。
──元Ivory7ChordsのTsuyoshiさんとはどういうところで接点があったんですか。
Minami:最初は、遊びで一緒にバンドをやっていたんです。もともと遊びでやっていたものを、もうちょっとちゃんとバンドとしてやっていこうかというのが、このemberですね。いちばん新しく入ったドラムのGenki君は、何人か候補がいたなかでどうしてGenkiに決めたかっていうと、emberのことが好きで、ファンでいてくれていて。それまでのドラムももちろんemberを好きでいてくれたんですけど、このバンドが好きだという人と一緒にやりたかったというか。そこが、すごくやっていて気持ちいいんですよね。
──emberには80年代とか90年代のロックの香りを強く感じますが、Minamiさんご自身は音楽的な面で自分の思春期を開放するような感覚ですか。
Minami:それはありますね。年齢的にも、中高生の頃でド真ん中だったのが80年代ハードロックのいちばん盛り上がっていた時代なんですよ。たとえばMotley CrueとかRATTとかで。Guns N' Rosesとかはちょっと新しいですからね、僕にとっては(笑)。
──そのハードロックの影響もemberでは出そうと。
Minami:ちょっとだけですけどね。
──90年代パンクの匂いもしますよね。
Minami:もちろん高校生になってからはパンクが大好きで、ずっとパンクだったので。ただ、好きなものっていうと、いっぱいあったりするじゃないですか。パンクとかメタル、激しいハードコア的なものもずっと聴いていますけど、そうじゃない音楽を聴く時もある。そういう時のモードのままバンドを組みたいっていうか。
▲2ndアルバム『Not Just Talk』 |
Minami:そうですね。自分の中でのパンクというと精神性であるとかが大切だったりするので。そういうところも敢えて一切排除したり。メッセージ性の高い歌詞もemberにはないんです。そういう、もっと漠然とした“ロック”という音楽をやりたくて。
──『Not Just Talk』はアルバムとしては2作目となります。何かアルバムのテーマをというよりは、自然とできた曲を収録していったというほうが近いんですか。
Minami:テーマもなくはないんですね。さっき言ったようなロックとか、アメリカ感とか。そういうのをひとつのテーマとして、ずっと持ってやっていますね。
──そのアメリカ感というのが、Minamiさんにとっていちばん肌が合う音の感じでもある。
Minami:なんて言いますか、ハードロックと一緒に、例えばブライアン・アダムスとかブルース・スプリングスティーンみたいなアメリカのロック……ま、ブライアン・アダムスはカナダ人ですけど。ああいうテイストがいいなと思うんですよね。
──アコギ1本でもツアーを回れるような。
Minami:そうですそうです。そんな感じの、オーガニックなサウンドっていうんですかね。電子音でピコピコした音楽とかとは正反対のところで音楽がやりたくて。時代の流れとは逆行しているんですけど、今こういうバンドがいなくていいのかな?って思ったりして(笑)。
──普段、身近に聴けるような音楽になっていますよね。アルバムのなかには、アコースティックでの弾き語りナンバー「Superhero」もあります。こういった曲も入れたいなと?
Minami:さっきの話じゃないですけど、昔のロックバンドってアルバムの中に必ず1曲はこういった曲が入っていたりするじゃないですか。
──それがまた抜群にいい曲だったりしますよね。
Minami:そうですそうです(笑)。
──普段から、ギターを持ってポロンと弾いてできるような曲が、こういった「Superhero」のような曲でもあるんですか。
Minami:そうでもないんですけどね。そういうのは作ろうと思って作らないとできないんですよ。普段はもうちょっとアップテンポなものになりますね。
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