【ライヴレポート】TK from 凛として時雨、美しいノイズと旋律のツアーファイナル
TK from 凛として時雨が4月16日、Tokyo Dome City Hallにて全国ツアー<Secret Sensation>の最終公演を開催した。同ツアーは最新ミニアルバム『Secret Sensation』を引っさげて廻った全5公演のファイナルとなるもの。会場には満員のファンが待ち構えていた。
◆TK from 凛として時雨 画像
ステージ全体を覆うスクリーンの向こうにバンドメンバーの影が映ると、満員の会場から大きな拍手と歓声が起こった。ライヴはメランコリックなメロディを奏でる「subliminal」からスタート。冒頭から動と静を行き交うアレンジで揺さぶりをかけ、スクリーンには何か巨大な物が崩れ落ちるような画が映し出される。その美しくも不穏な幕開けに思わず固唾を飲むと、続いてヴァイオリンの優雅な音が映える「flower」へ。TKはこの曲の途中でアコギからエレキギターへと持ち替え、一気にフロアを音の渦へと引き込んでいく。
ギターの切っ先鋭い音が耳を突き刺す「Crazy Tampern」で白熱した演奏を聴かせた後、一瞬のブレイクを挟んで最新作のタイトル曲「Secret Sensation」へ。高鳴る鼓動のようなビートに乗り、TKがいつになくセンチメンタルなメロディを歌いあげる。心に秘めた衝動を、“誰にも見えないダンスフロア”という謎めいた情景になぞらえて描くこの曲は、ライヴの場で聴くと物語性がいっそう際立つ。流麗なヴァイオリンの響き、きらめくシンセの音色、そしてスペーシーな映像の効果もあり、会場全体が幻想的なムードに包まれる。この後、続けた新曲「ear+f」もまた、浮遊感と広がりのあるサウンドで、新作で掴んだ新たなモードを感じさせた。
そんな幻想的な空気を一気に切り裂いたのが、TKがギターの超絶テクを見せつける「Abnormal trick」だ。複雑すぎるリフをバンドメンバー全員でせめぎあうようにたたみかけるアブノーマルな構造を持つ曲だが、全パートの音が鮮やかにくっきりと聴こえてくる。これはおそらくバンド5人の立ち位置も大きく関係しているだろう。
ステージ前方には、ベースのTOKIE、ギター・ヴォーカルのTK、ドラムのBOBOが横一列に並び、その一段上に、前列の3人とは重ならないようにヴァイオリンの佐藤帆乃佳、鍵盤の大古晴菜が並ぶ。全パートの音が対等に、有機的に共鳴しあうポジショニングで、5人全員の一挙手一投足が目に入りやすく、いかに緻密な演奏を繰り広げているのかがわかる。5人の音が濃密に絡み合う「kalei de scope」、音数が少なめで各楽器の音が引き立つ「contrast」と、曲によって異なるアプローチをしていることも一目瞭然で、一瞬たりとも飽きさせない。
中盤では趣を変え、TKがひとりステージに立ち、ピアノ弾き語りの「罪の宝石」でピュアなメロディを紡ぐ。続く「fragile」はエレキ弾き語りで始まり、途中からTOKIEがアップライトベースの弓弾きで重厚な音を重ねる。5人で演奏しているときのTKは生粋のバンドマンであり、音の職人といった佇まいだが、こうした曲では繊細な心情を吐露するシンガー・ソングライターのようでもあり、少し無防備な表情でドキッとさせる。
かと思えば、その直後には、静から動へと展開しながら白熱のセッションへとなだれ込む「unravel」で再び轟音の世界へ。さらに速弾きピアノとドラムが躍動的なリズムを刻む「phase to phrase」、華やかでポップな「Fantastic Magic」を経て、もの悲しい旋律が荒涼とした風景を描き出す「film A moment」で本編を終えた。
MCはほとんどなく、アンコールではTKが「メンバー紹介をしないって怒られるので…(笑)」と言葉少なに語った後、凛として時雨の楽曲「shandy」のセルフカヴァーを披露。
その後、ピアノ弾き語りで始めた「like there is tomorrow」は、ひときわ切なく美しかった。ゆったりとしたリズムに、アップライトベースとヴァイオリンの幽玄な響き、そしてカタルシスを生むギターソロ。そのギターの音が少しずつ歪みだし、最後は鼓膜に焼き付くようなノイズに変わると、TKは「ありがとうございました」と一言残し、舞台を去った。潔く、簡潔で、その後も痺れるようなノイズの余韻が続く濃密な1時間半だった。
TK from 凛として時雨の全国ツアー<Secret Sensation>は、この公演を持って終了。6月からは、“凛として時雨”の自主企画イベント<トキニ雨>の全国ツアー<凛として時雨Presents “トキニ雨#15”~Hybrid Tornado Edition~>の開催が決まっている。
取材・文◎廿楽玲子 撮影◎河本悠貴
■<凛として時雨Presents “トキニ雨#15”~Hybrid Tornado Edition~>
Open 18:00/Start 19:00
(問)SMASH EAST 011-261-5569
6月11日(土)新潟 LOTS ※ONEMAN
Open 17:30/Start 18:00
(問)キョードー北陸 025-245-5100
6月17日(金)福岡 DRUM LOGOS w/ clammbon
Open 18:00/Start 19:00
(問)キョードー西日本 092-714-0159
6月24日(金)広島 CLUB QUATTRO ※ONEMAN
Open 18:00/Start 19:00
(問)CANDY PROMOTION 082-249-8334
6月29日(水)なんばHatch w/ MONOEYES
Open 18:15/Start 19:00
(問)清水音泉 06-6357-3666
6月30日(木)Zepp Nagoya w/ MONOEYES
Open 18:00/Start 19:00
(問)JAIL HOUSE 052-936-6041
7月3日(日)仙台PIT w/ キュウソネコカミ
Open 17:00/Start 18:00
(問)ノースロードミュージック 022-256-1000
7月7日(木)新木場 STUDIO COST ※ONEMAN
Open 18:30/Start 19:15
(問)HOT STUFF PROMOTION 03-5720-9999
【チケット】
▼立見:¥4,860 (税込・D代別)
※整理番号順入場
▼学割立見:¥3,780 (税込・D代別)
※OFFICIAL HP先行のみのお取扱いとなります。数量限定。
※1996年4月2日以降誕生日の方対象のチケットです。
※ご入場順はランダムとなります。
※ご入場の際、身分証明書を確認させていただきます。学生証・保険証・パスポート等、年齢の分かるものの提示をお願い致します。誤って購入された方への払戻はお受け致しません。十分にご注意ください。
▼2F着席指定席:¥5,400 (税込・D代別)
※北海道、大阪、愛知、東京公演のみ。
※公演中は着席にてご覧頂きます。(立見観覧不可)
一般発売:4月30日(土)
◆凛として時雨 オフィシャルサイト
◆凛として時雨 オフィシャルFacebook
◆凛として時雨 オフィシャルYouTubeチャンネル
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