【対談】黒木渚×柴田隆浩(忘れらんねえよ)、チクショー!と歌う道を選んだふたりの人生哲学
■好きな子に社交性をアピールしたくて居酒屋で知らない人に絡んだらボコボコにされた(柴田)
■100点。バンドマンとして正しい道を歩んでる(黒木)
柴田:ファーストの頃はそういう歌ばっかりですよ。“渋谷の飲み屋でボコボコにされた”(「ドストエフスキーを読んだと嘘をついた」)とか、そういう歌詞はまさにその世界観。新橋の飲み屋で、髪に火をつけられたりとか(笑)。しかも当時好きだった女の子の前で。
黒木:ええ~。絡まれたんですか?
柴田:いや、自ら絡みに行って(笑)。醜いですよ。好きな子と一緒に、集団で飲めることになって、めっちゃ緊張しちゃって。ひたすら飲んでたら、気持ちが大きくなっちゃった。好きな子の前で、社交性をアピールしようと思ったんでしょうね。隣で、全然知らない怖い感じの人たちが飲んでるところに、“楽しいですかぁ~”とか絡んじゃったら、本当に怖い人たちで……。ダメだ! 思い出したくない!
黒木:ヤバイですね~(笑)。でも私から見たら、100点ですけどね。
柴田:0点でしょ!(笑)
黒木:そういうもんじゃないですか、バンドマンって。正しい道を歩んでますよ(笑)。私は応援したい。醜い路線でやってほしい。
柴田:う~ん(笑)。もう僕も34で、今年35になるんですよね。で、残りの人生を考えるようになったんですよ。
黒木:早くないですか?
柴田:それが考えるようになったんですよ。どうせ死ぬんだからって。僕は死後の世界のことは信じてないから、死んだら終わり。そう思うと、今めっちゃ売れてるミュージシャンも、僕も、みんな無になる。バンドをやる以上、売れた/売れないにずっとこだわってやってきたんだけど、そういう視点で言うと、そこだけでもねぇなって思うようになってきた。
黒木:うん。そうですよね。
柴田:どうせ無になるんだったら、かっこよく生を終えたい。簡単に言えば“楽しかったな”と思えるような、それぐらいの感じで終われたらいいのかなと思うようになってきた。要は、死ぬ時の基準に売れた/売れないという設定をしちゃうと、バクチじゃないですか? そうなると、俺の人生失敗だったと思って死ぬ確率のほうが高いわけで。それもありだとは思うけど、基準をずらそうかなと思うようになったんですよね。じじぃになったのかな~。
黒木:それと同じ精神で歌ってる曲が、私の曲にあります。「骨」という曲なんですけど、それは“死ぬ時に自分の墓石に点数を彫って死のう”という曲で、成功して何百万枚売れるアーティストになれたとしても、墓石に100点を彫れるかどうかは別問題じゃないですか。自己採点だから。自分の信念じゃないことを歌って売れたとしても、それは0点じゃないですか。人生には終わりがあるというタイムリミットを軸にして、そこまでの期間を何点にするか。私は満点を取って勝ち逃げしたいと思っているので。たぶんそれと同じことですよね。
柴田:そんな気がする。外部に人生の採点基準を置かない。自分の中に採点基準を持ったほうが、死ぬ時に“良かったな”と思える確率が高そうだなと。……いや、ちょっと待って。“墓石に点数を彫る”ってさらっと言ったけど、超かっこいいですよ。どうやって思いつくんですか、そういうかっこいい黒木渚的世界観って。
黒木:(笑)それは飲んでる時の、酒のツマミ的な話題だったんですよ。“墓石ダービー”っていう遊びなんですけど。
柴田:なんですかそれ。そんな遊びないです(笑)。
柴田:すげぇ話してますね。うちらはそんな話全然しない(笑)。
黒木:飲みに行きましょうよ。ぜひ! 今日対談させてもらって、こういう大人の人が音楽業界にいることにすごい安心しました。こういうタイプのハイブリッドおじさんがいるということに(笑)。
柴田:まぁ確かに、バンドマンはイケイケの感じの人も多いけど、僕はそうじゃないから。逆に黒木さんのように、言葉をそういうふうに考えている人には、僕はあまり会ったことがないかも。タイプとしていない。あんまり怒ってる人がいないんですよ。
黒木:そうかもしれないですね。
── 宴もたけなわですが。最後に熱いエール交換で締めていただければと。
柴田:月並みだけど、このまま行ってくれれば。わざわざ言わなくても、行くと思いますけど。全然関係ないけど、今パッと思いついたのは、ミュージカル音楽とか歌劇みたいなものを、プロデュース及び主演みたいなことをすると、超面白そうだし似合いそう。そういうものを将来的にやれるぐらいになってほしい。
黒木:私からは……友達がめっちゃ少なくて、特にミュージシャンにはすごい警戒するんですよ。東京にいるミュージシャンって、怖いじゃないですか。東京を乗りこなしてるような人が怖い。でも柴田さんとはたぶん仲良くなれそうな気がするので、飲みに行きたいです。醜いところを見に。
柴田:行きますか……(笑)。
黒木:ここでは言えないですけど、そういう醜さは私も持ってるので(笑)。それを披露しあう会。ぜひやりましょう!
◆ ◆ ◆
2016年4月6日(水)発売
■初回限定盤A(CD+DVD)¥2,300+税
[CD]
1. ふざけんな世界、ふざけろよ
2. おんな・おとこ・おんな
3. カイワレ
4. ふりだし
[DVD](Music Video Clips vol.1)
1. あたしの心臓あげる(Full Version)
2. 骨(Full Version)
3. はさみ(Full Version)
4. 革命(Full Version)
5. レスポール(Lyric Video)
■初回限定盤B(CD+DVD)¥2,300+税
[CD]
1. ふざけんな世界、ふざけろよ
2. おんな・おとこ・おんな
3. カイワレ
4. ふりだし
5. 虎視眈々と淡々と(Live@EX THEATER ROPPONGI 2016.01.11)
6. 君が私をダメにする(Live@EX THEATER ROPPONGI 2016.01.11)
7. エジソン(Live@EX THEATER ROPPONGI 2016.01.11)
8. テーマ(Live@EX THEATER ROPPONGI 2016.01.11)
[DVD](Live at EX THEATER ROPPONGI 2016.01.11)
1. カルデラ
2. 107
3. 革命
4. アーモンド
■通常盤(CD)¥1,200+税
[CD]
1. ふざけんな世界、ふざけろよ
2. おんな・おとこ・おんな
3. カイワレ
4. ふりだし
2016年2月24日発売
VPCC-81862 ¥2,407+税
[収録曲]
1.別れの歌(新曲)
2.バレーコードは握れない(新曲)
3.世界であんたはいちばん綺麗だ(新曲)
4.犬にしてくれ
5.寝てらんねえよ
6.バンドやろうぜ
7.ばかもののすべて
8.愛の無能
9.絶対ないとは言い切れない
10.ばかばっか
11.体内ラブ~大腸と小腸の恋~
(feat.玉屋2060%,MAX from Wienners)
12.この高鳴りをなんと呼ぶ
13.バンドワゴン
14.中年かまってちゃん
15.戦う時はひとりだ
16.僕らパンクロックで生きていくんだ
17.夜間飛行
18.僕らチェンジザワールド
19.この街には君がいない
20.北極星
21.CからはじまるABC
22.忘れらんねえよ
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