【インタビュー】インナーウィッシュ、純血メタル道ここにあり
ギリシャのインナーウィッシュがセルフタイトルとなるニュー・アルバム『インナーウィッシュ』を3月30日にリリースする。新たなシンガーを迎え入れ、正統派メロディック・パワー・メタル・バンドとしてアグレッシヴに畳み掛ける、約6年振りの新作だ。
◆インナーウィッシュ画像
アテネ出身のインナーウィッシュは、1995年に結成され、ひたすら己のメタル道を突き進んできた気概あるバンドだ。1998年にデビュー作『Waiting For The Dawn』を発表し、2年後にスプリットCD『Realms Of The Night』をリリース、知名度が上がってきた彼らは2004年に2ndアルバム『Silent Faces』を発表すると本格的なツアーへと旅立っていく。
メタルヘッドから高い評価を得た3rd『Inner Strength』(2006)とともに、精力的なツアーに加えHELLOWEEN、U.D.O.、BRAINSTORM等のサポート、JUDAS PRIEST、DIO、MANOWAR、THERION、OPETH、IN FLAMESらとフェスで共演することで、ライヴ・アクトとしても人気を呼び、さらに認められる存在となっていった。
2010年、ミックスにフレドリック・ノルドストロームを迎えたアルバム『No Turning Back』を発表した彼等はヨーロッパを中心にサーキットへと繰り出していくものの、ここでシンガーのベイビスがバンド脱退を表明してしまう。新たなシンガーとしてジョージ(FRAGILE VASTNESS、ART OF SIMPLICITY)を迎えた彼らが完成させたのがこの『インナーウィッシュ』である。ミックスには再度鬼才フレドリック・ノルドストロームを起用し、メロディック・メタル・ファンを落胆させない硬派なパワー・アルバムを生み出している。重厚かつ緩急自在なサウンドの中で鼓動する逞しいメロディはここでも健在だ。
──約6年振りのアルバムが完成しての気持ちはいかがですか?
Fragiskos Samoilis(Dr):ありがとう。シンガーが変わったりしたから時間がかかったけど、誇れるアルバムに仕上がって素直に嬉しいね。今のバンドの存在を示しているよ。だからアルバムのタイトルも『InnerWish』とした。ファンからのリアクションが待ち遠しい。
──どのようなアルバムになりましたか?
Fragiskos Samoilis:満足できる仕上がりになったよ。もちろんストレスもあったけど、みんなが前向きにベストなものを出すべく努力したからそれが結果として出ていると思う。新しいシンガーのジョージはフルアルバムのレコーディングは初めてだから、新しい世界に緊張していたけど、全てが順調に進んだよ。
──前作『No Turning Back』をリリースした時の状況と比べていかがですか?
Fragiskos Samoilis:前作もメディアからの反応もよかったしファンも喜んでいたから幸せだった。でも当時はメンバーの交代や、契約、プロモーション等の問題を抱えていたから、今回はより良い状況に持っていけるように努力してきたし、そうなるよう願っているよ。いいアルバムを完成させたから希望があるね。
──アルバムのセールス・ポイントは?
Fragiskos Samoilis:それはキミがオレに言うことだろ(笑)?えーと、13曲収録の捨て曲ナシのアルバムだ。ダイナミックだし、ヘヴィでいてメロディック。モダンな要素もあるよ。クールなコーラスもある。これは今までで一番の出来栄えだと思う。プロダクションもいいし、67分フルで楽しめるアルバムでガッカリさせないから安心して聴いて欲しいよ。
──改めてバンドのヒストリーを日本のオーディエンスに教えていただけますか?
Fragiskos Samoilis:1995年にスミオスとイアニスでバンドはスタートした。その当初からカヴァーではなく自身の音楽を創り上げようと考えていた。ラインナップが揃うと1st『Waiting For The Dawn』を1998年に発表した。でもクルーもいないし、何をどう運営すべきかよくわかっていなかった。それでもその後もアルバムをリリースすることができたし、ヨーロッパを中心にサーキットも行うことができた。HELLOWEEN、U.D.O.、ACCEPT、SAXON、JUDAS PRIEST、MANOWAR、OPETH、THERION、RHAPSODY、CRIMSON GLORYといったバンドのサポートも経験できたし、マネージメント契約も得ることができた。色々と大変なこともあったけど、それらをバネに前に進むことができたんだ。すぐに諦めてしまうのではなく、決心とともに前へ進み続けることの大切さを学んだよ。そのお陰で今でもライヴではエキサイトとスリルを感じるし、アルバム制作も楽しい。そう、音楽への情熱の炎はまだ燃え続けているんだ。今ではインナーウィッシュは単なるバンドではなく、第二の家族といえる存在となった。メンバーとプレイしないなんてもはや考えられないね。スミオスとマノリスがギターで、曲のメイン・ソングライターでもある。アントニスはベースで、ジョージがキーボード。彼らは無口だけど重要なメンバーだ。そして新メンバーでシンガーのジョージ、オレがフラジスコスでドラム担当だ。
──新しいシンガー、ジョージはどんなミュージシャンですか?
Fragiskos Samoilis:彼を最初に迎えたときはバンドのフロントが本当に務まるのかどうか、正直難しいと思っていた。前任者はクラシックのトレーニングも積んでいた素晴しいシンガーだっただけに不安があったんだ。でも彼は自身のカラーを出そうと努力し、練習を怠ることもなかった。そしてアグレッシヴな感覚を打ち出し、メロディックでいて歌詞にも拘っていた。その結果、彼はメンバーとして認められ、今では彼の声はバンドにとって無くてはならない存在になった。今回のアルバム制作の中でも一番がんばっていたんだよ。
──あなたとバンドが影響を受けたアーティストは誰ですか?
Fragiskos Samoilis:それぞれが違う音楽的影響を持っている。好きなバンドも違うね。でも共通するのはクラシック・メタル・バンドさ。ACCEPT、JUDAS PRIEST、IRON MAIDEN、SAXON、MOTORHEAD、BLACK SABBATH、DIOかな。各人に聞くとバラエティに富んだバンドが挙がるからキミもきっと驚くと思うよ。FOREIGNER、KAMELOT、NIGHTWISH、LAMB OF GOD、MACHINE HEAD、AMON AMARTH、SEPALTURA、SAVATAGE…キリがないよ(笑)。オレ個人的にはAMORPHIS、DARK TRANQUILLITY、BLIND GUARDIANだね。尊敬するドラマーはジーン・ホグラン、ニール・パート、ギャビン・ハリソンかな。
──今、ギリシャの音楽シーンはどうですか?
Fragiskos Samoilis:最近いいメタル・バンドが多く出てきているし、ギリシャのメタル・シーンがステップ・アップして、去年から盛り上がってきているのを感じる。メタルといっても様々なジャンルがあるけど、チェックすべきバンドが増えているね。具体的なバンド名は控えるけど、絶対キミが気に入るバンドが見つかると思う。誓うよ。
──では最後に日本のメタル・ファンへメッセージを。
Fragiskos Samoilis:Go kanshin o arigatōgozaimashita!(正しい日本語になっていることを願うよ。)この新しいシンガーと創り上げたアルバムを気に入って聴いてくれることを望んでいる。そしてみんなの前でプレイできるチャンスがあれば迷わず飛んでいくよ。日本でライヴを行うことがまさに夢なんだ。いい音楽をいっぱい楽しんで、キミたちの望みも叶う事を願っている。
インナーウィッシュ『インナーウィッシュ』
BKMY-1017 2,222円(税抜価格)+ 税
※輸入盤日本仕様
1.Roll The Dice
2.Broken
3.Modern Babylon
4.Machines Of Fear
5.Needles In My Mind
6.My World On Fire
7.Rain Of Thousand Years
8.Serenity
9.Sins Of The Past
10.Through My Eyes
11.Zero Ground
12.Cross The Line
13.Tame The Seven Seas
Produced by Thimios Krikos & Fotis Benardo
Line-up ;
・George Eikosipentakis(Vo)
・Antonis Mazarakis(B)
・Thymios Krikos(G)
・Manolis Tsigos(G)
・Franki Samoilis(Dr)
・George Georgiou(key)