【ミサレポート】聖飢魔II、「諸君に新曲を残していく」

聖飢魔IIが2月20日、日本武道館にて大黒ミサ＜「聖飢魔II ～地球デビュー30周年記念・期間限定再集結・大黒ミサ FINAL～ 地獄の再審請求『上告』＞を開催した。

◆聖飢魔II 画像

8万人を動員した聖飢魔IIの地球デビュー30周年期間限定再集結ツアーが、ここ日本武道館2DAYSファイナル公演にて完了する。この日は、17年ぶりの小教典（＝シングル）発布（＝発売）を発表するなど、やはり魔界への帰還と共に衝撃を地球に残した。


聖飢魔IIが期間限定再集結を遂げたのはD.C.17(2015)年8月15日、＜RISING SUN ROCK FESTIVAL＞のステージにて。その後、＜全席死刑TOUR＞＜続・全席死刑TOUR＞で全国各地を恐怖のどん底に陥れてきた。約8万人を動員した30周年公演の参拝券（＝チケット）は全会場即時ソールドアウト。解散後も信者（＝ファン）が増え続けるという驚異的な盛り上がりをみせた大黒ミサは、参拝券（＝チケット）が入手出来ない信者が続出したため、2月20日の最終公演はWOWOWでの生中継に加え、全国25館の映画館にてライブビューイングが実施されるに至ったほどだ。

迎えた2月20日。大黒ミサFINALの会場となる日本武道館には前日に続き、多くの信者が会場に詰め掛けた。“今日のミサが終われば、次にいつ会えるかわからない”。そんな不安を抱えながら開演を待つ信者によって会場は異様な熱気に包まれていた。そして遂に、＜30周年記念･期間限定再集結･ファイナル大黒ミサ＞の火蓋が切って落とされた。オープニングナンバーは「創世記」、棺桶からデーモン閣下が登場し、悲鳴と歓声が場内に鳴り響く。


ミサ前半戦のクライマックスは、悪魔が地球の天地をひっくり返し人間を恐怖のどん底に突き落とし歌唱するという伝説の“天地逆転唱法（てんちぎゃくてんしょうほう）”だ。6年前のアメリカはダラス公演で披露されて以来、封印されていたこの唱法だが、ここ武道館最終公演で久々の御披露目となる。ちなみに天地逆転唱法は、ももいろクローバーZの夏菜子が継承に名乗りを上げているとか。この日、デーモン閣下によって披露された本家・天地逆転唱法にて会場のボルテージはマックスへ。

驚きはミサ後半にあった。デーモン閣下からの発表に会場から大きなどよめきが起こったほど。

「ミサは本日千秋楽を迎え、我々は何分か後には地球から去っていくが、諸君に新曲を残していく。テレビアニメ『テラフォーマーズ』の主題歌として、新曲が4月に出る！　普通は新曲を出して、プロモーションして、ツアー周ると思うのだが、我々は違う。楽しみにしておけ！」──デーモン閣下

このサプライズに、悪魔（＝聖飢魔II）ロスにもがき苦しむ信者は涙を浮かべ、歓喜の声が会場に鳴り響いた。混迷の続く人間界において、もはや「神」よりも「悪魔」を信ずることに救いを求める信者たち。魔界に帰還する直前のこのプレゼントは間違いなく信者を救うものとなったはずだ。


この後、ミサは終焉に向かってトップギアに入り、名曲「EL,DOLADO」が演奏されると、浮かび上がる魔界の門に構成員の姿が消えていった。このワンシーンは、魔暦元（1999）年12月31日に本活動を終えた聖飢魔IIの解散ミサを思わせるもの。重厚なセット、壮大なプロジェクションマッピング、乱れ飛ぶレーザー光線、そしてハイレベルな演奏力と歌唱力、鋭い話術を兼ね揃えた無敵の聖飢魔IIが、魔界へ。いつまでも鳴りやまぬ拍手と歓声、泣き叫ぶ信者の姿がそこにあった。

聖飢魔II解散から16年。それでもなおファンが増幅し続けるバンドなど他に類をみない。恋愛ソング無用の徹底したコンセプトとメッセージ、確固たるテクニックに支えられた真のパフォーマンスが、時を超えて多くの音楽ユーザーの心を捉え続けているという事実。インターネット時代となった現在、世に残した作品が世代や国境を越えて広がり、地球デビュー以来最大の動員となった今回の再集結は、30年という歴史の重みを実感するのみならず、究極のエンターテインメントに時代が追いついたことを証明するような、新たな始まりの1ページでもあった。果たして次の再集結は？　そのときが待ち望まれる。


同ミサ中に発表されたように、聖飢魔IIは4月13日に小教典を発布する。タイトルは「荒涼たる新世界 ／ PLANET / THE HELL」だ。小教典の発布は1999年の前作から17年ぶり。しかも同曲は4月よりTOKYO MXほかにてスタートするテレビアニメ『テラフォーマーズ リベンジ』主題歌に起用されるなど話題性も高い。累計1,400万部突破の大人気漫画『テラフォーマーズ』原作者の貴家悠氏は、聖飢魔IIの熱狂的信者であり、彼の熱いオファーによって新曲の制作が決定したとのこと。最後に以下、貴家悠氏から到着したコメントをお届けしたい。

「悪魔は去った。だが、その教えは常に我々と共にある。先輩信者諸兄の子や孫が寝る前に毎晩聴かせて頂きたい名曲であります（ちゃんと歯を磨いてからですよ）」──貴家悠

撮影◎今元秀明