【インタビュー】ウィッチクラフト、インスピレーションは「呼吸すること」

通算5作目となる新作「NUCLEUS」を2完成させたスウェーデンのヴィンテージ・ハード・ロック・バンド、ウィッチクラフトを率いるマグナス・ペランダー（G、Vo）に話を聞いた。以前の取材では音楽的ルーツについてやアルバムのサウンドについて具体的なことを話してくれたマグナスだが、今現在はよりスピリチュアルなアーティストとしてのスタンスを重視しているようだ。彼にとって創造面のインスピレーションは「呼吸すること」にあるという。

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――今現在、アルバムのプロモーションでお忙しいですか？

マグナス・ペランダー：ああ、忙しくしている。それとソロ・アルバムを作っているからさ。

――バンドのアルバムが完成したばかりなのに、もうソロ・アルバムですか？

マグナス・ペランダー：少し前から時間がある時にレコーディングしたりしている。でも、いつリリースするかはまだわからない。今年のいつかリリースできると良いんだけど。現時点で話せるのはそんな程度だ（笑）。

――前作「LEGEND」でのツアー活動はいかがでしたか？ 満足の行く本数のショウを行なうことはできましたか？

マグナス・ペランダー：ツアーはあまりやっていない。アルバム・リリース後、状況が総て悪い後方へ行ってしまったんで、これから立て直しに取り掛かろうと思っているところだ。

――何が起こったのですか？

マグナス・ペランダー：それはもう過去のことだよ。過去のことや昔の思い出のあれやこれやを誰が気にするんだ（笑）？

――他のメンバーとは別れたのですね？

マグナス・ペランダー：まあそういうことだ。元々、彼らはレコード作りのためだけに集められた人達だった。それに過去のことだし、大体そう鮮明には覚えていない。

――新作を作るに当たってのインスピレーションについて聞かせてください。

マグナス・ペランダー：ここ最近は時間のある時の話だけど、長椅子に横になりながらぼんやりとしている。そして色々な素晴らしいミュージシャンのプレイする音楽を聴いている。

――どのようなミュージシャンやアルバムを聴いているのですか？

マグナス・ペランダー：ここ最近繰り返し聴いているのは、タウンズ・ヴァン・ザントだ。今思い出せるのは、彼ぐらいだ（苦笑）。


――今、バンドにはあなた、トビアス・アンガー（B）、レイジ・ウィダーベルグ（Dr）という3人が在籍しています。

マグナス・ペランダー：ああ。

――トビアスとレイジが加わった経緯を教えてください。

マグナス・ペランダー：レイジとはもう随分前からの知り合いだ。10年くらいになるかな。正確なところは覚えていないが。そしてトビアスは13歳くらいの時に同じバンドでプレイしていた。彼とは子供の頃からの知り合いだ。どこかでばったり偶然に、1年に1回くらいの割合で。そしてその都度、言うまでもなく音楽のことで話が盛り上がった（笑）。そんなこともあって結局このアルバムに参加することになった。なかなかクールな話だよな。彼は最高にクールなベーシストだしさ。

――古い新しいにかかわらず、あなたが理想的だなと思うサウンドのアルバム、聴いていて心地好い音のアルバムというのはありますか？

マグナス・ペランダー：うーん…正直言って、このところ長椅子に横になりながら一番集中してやっているのは単純に“呼吸すること”なんだ（苦笑）。そうして音楽が至るところから聞こえてくることに気づく。鳥の鳴き声とか人々の話し声とか。それから車の行き交う音や、風の吹く音等々。そういうものの方が、今の俺には興味深い。

――そういう音はミュージシャンとしてのあなたのインスピレーションとなっていますか？

マグナス・ペランダー：ああ。物凄くね。音楽を聴く以上に。長椅子の上で横になりながら呼吸していると、より良いミュージシャンになれる。それをアルバム中でも感じ取ってもらえると良いんだが（笑）。俺のことをもう駄目になりつつあると感じる人もいるかも知れないが（苦笑）。でも、俺自身は進化していると思っている。そして俺の作った音楽や歌詞が、誰かに何らかのインスピレーションを与えたり共感する部分があったり、色々と考えることができたりしたら、それはそれで良いと思うし、あるいは単なるバックグラウンド・ミュージックとかエンタテインメントとして捉えられたとしても、それはそれで構わない。その人がそう捉えたいのならそれでいいと思う。

取材・文：奥野高久/BURRN！
Photo By Philip Saxin & Ragnar Widerber

【メンバー】
マグナス・ペランダー（ヴォーカル/ギター）
トビアス・アンガー（ベース）
レイジ・ヴィーデルベルグ（ドラムス）


◆ウィッチクラフト『ニュークリアス』オフィシャルページ