【インタビュー】ブルータルで繊細なプログレッシヴ・メタル、ザ・ヴィジョン・アブレイズ
プログレッシヴ・メタルにフォーカスし、ストロングで魅惑的なメロディを奏でるデンマークのザ・ヴィジョン・アブレイズがデビュー・アルバム『ユートピア』をリリースする。
◆ザ・ヴィジョン・アブレイズ映像、画像
は2010年に結成されたザ・ヴィジョン・アブレイズは、すぐさまオリジナルの楽曲に取り組み、アグレッション/メロディック/テクニカルな方向を見据えながらも、人々の感情に訴えかける要素も備えた音楽を目指していたという。ヴォーカルはスクリームしながらも幅広いレンジとエモーショナルかつメロウな色合いを見せ、独自の色合いを醸し出すサウンドが構築されている。
1st EP「Nova」をリリース後、ヤコブ・ハンセン(VOLBEAT、RAUNCHY、ABORTED、PRETTY MAIDS)をプロデューサーに起用し、2nd EP「Reach For The Stars」を発売、そして再度ヤコブの手によってレコーディング/ミックス/マスタリングが施されたフル・デビュー・アルバムが『ユートピア』である。マッシヴなサウンドでブルータル性と繊細さを兼ね備えた表現豊かな作品だ。
「ブルータルだけど実直で、繊細な面も多く取り入れているアルバムさ。Youtopiaとは幸福、悲しみ、献辞、恐怖と怒りのこと。ここにはオレたちの感情を全てさらけ出した姿が描き出されているよ。」──ピーター(Vo)
激しい音像の中にも見え隠れする哀愁、繊細な感性の奥底に潜む力強さ、震えながら振り翳す拳の下に見え隠れするエモーショナルな感情…そんな彼らに関し、ギタリストのマーカスに話を訊いた。
──デビュー・アルバムが完成しましたね。
マーカス:デビュー・アルバムを発売することができて嬉しい。とてもハード・ワークだったからね。完成した作品を全世界へシェアできることは光栄に思う。今のところ好意的に評価されているからリリースしてよかったよ。感謝の気持ちだけだね。
──レコーディングは順調でしたか?
マーカス:レコーディングでは収録する曲以上に楽曲の用意があったから、安心感があった。最初にホーム・スタジオで録音して修正すべき点を把握し、楽曲のフィーリングを掴んだ上で曲を選択してから本格的な作業に入っていったんだ。準備万端だったからスムースだったよ。時間的余裕もあったから、細部まで拘ることができたね。『ユートピア』はオレたちが注ぎ込んだすべての感情をみんなに伝えてくれると思う。そう信じているさ。
──日本ではザ・ヴィジョン・アブレイズのことはほとんど知られていません。バンドのヒストリーを教えていただけますか?
マーカス:クリスチャン(Dr)とオレがブラック・メタル・バンドで一緒に活動していた。よく音楽性が変わるバンドでね。そして2人はテクニカルでプログレッシヴなメタルをやろうという話になったんだ。メロディックでストロングなサウンドでね。それから2011年にザ・ヴィジョン・アブレイズを結成した。人々に大きなインパクトともに聴いてもらえる音楽が重要だと考えていたよ。最近は自分達の音楽がプログレ・メタルとメロディック・デスメタルと他のジャンルの音をうまくミックスしたサウンドになっていることに気が付いたし、自身の楽曲がとても心地よく感じられるよ。
──バンド名にはどんな意味があるのですか?
マーカス:このバンド名になるまで何ヶ月もかかって、最終的にこの名前になった。我々の将来は炎に包まれている、それが現代さ。無力な人類と世界の破滅、それがオレたちのメイン・テーマなんだ。
──どのような音楽に影響を受けてきたのですか?
マーカス:様々な影響を受けているよ。ポップやクラシック・ロック、メタルと多くのジャンルの音楽を聴いてきた。ガンズ・アンド・ローゼズに衝撃を受け、それからはメタリカさ。彼らのエモーションと造詣が深い点がいいよ。ピンク・フロイドも好きだけどね。そしてモダンなバンドと偉大なミュージシャンにはインスパイアされた。キルスウィッチ・エンゲイジ、エバーグレイ、マシーン・ヘッド、マーサナリーさ。音楽的な面以上に精神面で影響された部分が大きいと思う。
──今作はどのような作品になりましたか?
マーカス:正直な音楽だし、アルバムを聴くと身体が震えて目から涙がこぼれるはずさ。ヘドバンし拳を握りしめ、気持ちが高揚する曲もある。音楽が生み出すマジックを知っている人なら、それが感じられるはずさ。プロデューサーはVOLBEAT、PRETTY MAIDS、MERCENARYなんかを手掛けてきたヤコブ・ハンセン。ヨーロッパでは高い評価を得ているし、デンマークのメタル・アルバム・オブ・ジ・イヤーに選出されるかもしれないよ。
──ヤコブ・ハンセンはどういうプロデューサーですか?
マーカス:プロフェッショナルな仕事ができる素晴しい人物だよ。彼はバンドをワールド・クラスへと導くことができる経験と技を持っている。彼はミュージシャンでもあり、音を聴き分けるいい耳を持っている。以前EPでお世話になったから今回は全てが上手くいったよ。このアルバムを聴いたらヘヴィなパートはかなりヘヴィだし、クリーンなパートは繊細でエモーショナルなことに気が付くと思う。クールなヴァイブもあるね。ヤコブは真面目な人さ。また彼はケーキが大好きで、コーヒーもよく飲む。そしてよく笑うね!
──アートワークも非常にインパクトのあるものですが、何を表現したものなのですか?
マーカス:最初から写真を使いたいと思っていた。写真の方がシンプルに見た人の目に直接訴えかけるし、リアリティーがあるよね。彼女は裸で全てを失ってしまった。最後の選択の瞬間にも目を開くことを拒絶しているのさ。心と魂は正直に、運命の選択は目をしっかりと見開いて選ぶ必要があるということを表現しているんだ。
──今後の活動予定は?
マーカス:2016年初頭にはデンマークを廻る予定だ。その後はフェスへ参加してからヨーロッパでプレイすることになるだろう。もし日本でオレたちのライヴを観たいという人がいたらキミ達の美しい国でも喜んでプレイするさ。とにかく今後は世界中でプレイしていきたいと思っている真っ最中さ。
──日本のファンへメッセージを。
マーカス:(日本語で)「すばらしい日本の皆様、我々の音楽を聴いてくださって大変ありがとうございました。皆様と一緒にできたことは名誉です」。君たちの国へ行ったことがないけど、みんなは素晴しい心を持っていると同時にロック・クレイジーが大勢いるだろ?みんなと酒を飲み、語り合いたいね。笑顔と音楽が溢れるのは間違いないと思うよ。
ザ・ヴィジョン・アブレイズ『ユートピア』
BKMY-1010 2,222円+税
輸入盤日本仕様
1.Absent
2.Under The Killing Moon
3.Dreaming Awake
4.Subversion
5.Fall From Grace
6.Fear
7.Into My Brain
8.Monster
9.Utopia Calling
10.A Jaded Miracle
メンバー
・Peter Kelkelund - Vocals
・Christian Raad Lilliedal - Drums
・Brian Porsche - Guitars
・Marcus Grønbech - Guitars