【インタビュー】アメリカン・ギター・ロックへの尽きぬ思い…アンダース・ボーが放つメロディックハードアルバム
ABO(エイボー)の愛称で親しまれているアンダース・ボーは、デンマークではひっぱりだこのロック・ギタリストだ。ポップ/ロック・シーンにおいて最も人気があるセッション・ギタリストとして活躍する彼は、マルコ・メンドーサ等のアーティストと共に世界中を廻ってきた経験をも持つ。そんな実力派の彼が初のソロアルバム『Bucket List』を完成させた。
◆エイボー画像
このアルバムはトレンドやファッション性を追ったものではなく、純粋にプレイしたいものを心の感じたままに創り上げた、自然なフィーリング溢れるロック・アルバムとなっている。彼の音楽性を明確に示すその作風は、お気に入りのシンガーを迎えた楽曲をメインとしつつも、ジョー・サトリアーニ、アンディ・ティモンズ、ジャック・サマラット直系のインスト・ナンバーも収録されており、楽曲に組み込まれたキャッチーなメロディが心地よい。
「ハイ、アンダース・ボーさ。オレはABOという愛称で知られているんだ。完成したこのアルバムには大好きな音楽がたくさん詰まっているよ。まさにBucket List(死ぬ前に成し遂げたい行動や目標のリスト)と呼べるものさ。自身のために制作したアルバムさ。ひとりのギタリスト、ミュージシャンとしての自分を見つめ直すためにもね。全曲にオレのバックボーンであるアメリカン・ギター・ロックの影響と情熱が感じられるはずさ。大好きな音楽スタイルを隠すことなく全てをみんなに見せたかったんだよ。メロディックなポップやハード・ロックをね」──アンダース・ボー
長年のパートナーでもあるソレン・アンダーセン(グレン・ヒューズ、マイク・トランプ、ELECTRIC GUITARS、D-A-D、ARTILLERY)とアルバムを制作、ソレンの所有するスタジオ、Medley Studio(ROXETTE、RADIOHEAD、PRINCE、ケリー・クラークソン)にて作業は行われた。10日間で10曲がレコーディングされているが、ギターを含む全ての演奏はエイボーによるものだ。ヴォーカルにはSTELLA BLACKROSEのレベッカ・ルウ、ソレン・アンダーセン、KARMA COWBOYSのトーマス・カールセンらを迎えている。
心地よいメロディが際立つ『Bucket List』を生み出したアンダース・ボーとは、どのようなアーティストなのか、話を訊いた。
──あなたのミュージシャンとしてのヒストリーを教えてください。
エイボー:ミュージシャンだった父からの影響が大きい。17歳の頃からバーやクラブでカヴァー曲をプレイしていた。その時からプロのミュージシャンになるって決めていたよ。コペンハーゲンにある音楽スクールRMCへ入学後は必死に勉強したさ。そしてTHE CHRIS GREYSで活動し、2007年にアルバム『A Dirty Piece Of Art』をリリースした。この活動を通してCelina Ree(セリーナ・リー)と出会い、彼女と活動を共にすることになった。2年間の活動で本格的なツアーを体験したし、アルバムでもプレイしたよ。それからMedina(メディーナ)というリアーナやレディー・ガガ系のアーティストからお呼びがかかり、彼女のバック・バンドに加入することになった。彼女はアルバムではポップにマッチするギター、ライヴではよりロック・エッジなプレイヤーを求めていたんだ。彼女と一緒に5年間もプレイしたお陰でオレは知られたセッション・プレイヤーになれたのさ。他にもLOC、ラスマス・シーバック、SUSPEKT、バーハンGといったトップ・アーティストと仕事をさせてもらっている。いつかは自身がアーティストとして世の中に出たいと思っていたけど、それが実現したのさ。ABOというソロ・アーティストとしてね(笑)。ミュージシャンとして常に進化、発展していくことを信条としているよ。
──セッション以外でのバンド活動はしていたんですか?
エイボー:THE CHRIS GREYSとレベッカ・ルー率いるハードなSTELLA BLACKROSEさ。
──デビュー・ソロアルバム『Bucket List』が完成しましたが、今の率直な感想は?
エイボー:まだ信じられないけど、誇りに思える出来栄えだし、みんなに感謝の気持ちでいっぱいさ。孫の代にも聴いて欲しいアルバムだよ(笑)。リリースの日が待ちきれないな。アルバムは自分の産んだ子供のように思えるし、遂に夢が叶ったんだよ!仕上がりには満足しているし、誇りに思える出来栄えなんだ。自分のミュージシャン、アーティストとしての今の姿をここで証明できたと思うよ。
──今回タッグを組んだソレン・アンダーセンという人物は、どういう人ですか?
エイボー:彼は大事な友人さ。マルコ・メンドーサがデンマークでライヴを行う時にソレンがバンド・メンバーに選出され、オレがセカンド・ギターとして呼ばれたんだ。その後、オレはオリヴァー・ウィアーズのツアーでもギターを弾くことになった。ソレンとオレは同じような音楽を聴いてきたから、様々な場面でお互い共感できるし、理解するのも早い。まるで音楽の竹馬の友だね。しかもここ2年間は家が隣同士だったから、いっそう友情を深めることができた。とにかく彼はミュージシャンとしても精力的に活躍しているし、有名なバンドを多く手掛ける敏腕プロデューサーとしても有名なんだよ。
──あなたから見たこの『Bucket List』のセールス・ポイントは?
エイボー:『Bucket List』は3つのポイントから構成されているんだ。
1.10日間で10曲をレコーディング。
2.全ての楽器演奏は自身によるもの。
3.ヴォーカル楽曲はヴォーカリストとの共同制作。
さらにオレが100%納得した音楽的要素から成り立っている。そしてシーンのトレンドやファッションを追ったものではないということ。渾身のインスト曲もぜひ聴いて欲しいね。
──直接影響を受けたバンドやミュージシャンは誰ですか?
エイボー:ザ・フーのキース・ムーンとクリームのジンジャー・ベイカーに憧れてドラマーになりたかった。1990年代に父と一緒にBBMを観て感銘を受けた。特にゲイリー・ムーアのギターにね。彼がきっかけでギターに夢中になったというわけさ。スラッシュにも影響を受けたし、スティーヴ・ルカサーがオレのヒーローになった。ジョー・サトリアーニ、スティーヴ・ヴァイ、ポール・ギルバート、ヌーノ・ベッテンコート、スティーヴ・スティーヴンス、マイク・ランドウ、ダン・ハフ、ダグ・アルドリッチ、アンディ・ティモンズ、ジョン・メイヤー等聴き漁ったなあ。最近はモダンなバンドが好きで、SEVENDUST、ALTER BRIDGE、SHINEDOWN、AVENGED SEVENFOLDなんかを聴いている。とにかく音楽はジャンル関係なくいいギター・プレイと楽曲、そしてメロディが一番重要だと思うよ。PINKでギターを弾いているジャスティン・デリコやMAGNETIGOのラファエル・モレイラもいいね。
──ソングライトはどのように行っているのですか?
エイボー:全てアコースティック・ギターで作る。シンガーと一緒にiPhoneでデモを録って骨格を作る。それからスタジオでドラムとベースを加えて肉付けしていくんだ。
──それでは、日本のロック・ファンにメッセージをお願いします。
エイボー:Hey guys、地球の裏側に住んでいるみんながオレのアルバムを聴いてくれるなんて、とてもシュールに感じるよ。アルバム発売後はデンマークをツアーして4月からはソレンのバンドELECTRIC GUITARSのサポートでプレイする。とにかくこのアルバムを気に入ってもらって、いつか日本へ旅立てることを願っているよ。そしてみんなに会えることを楽しみにしているからね。ありがとう。Rock On!!
エイボー『バケット・リスト』
BKMY-1009 2,222円+税
※輸入盤日本仕様
1.Go Down(feat.Rebecca Lou)
2.Shadow(feat.Soren Andersen)
3.Promise(feat.Jenny Sjöwal)
4.Stage Right
5.Cherrytrees(feat.Celina Ree)
6.Grace(feat.Rebecca Lou)
7.Cars & Guitars
8.Stay(feat.Rebecca Lou)
9.Back To Me(feat.Thomas Carlsen)
10.Picks & Cows
Produced by Søren Andersen
Line-up:
・Anders Bo – all Instruments
・Rebecca Lou – vocal
・Søren Andersen - vocal
・Celina Ree - vocal
・Jenny Sjöwal - vocal
・Thomas Carlsen – vocal