【インタビュー】浜田麻里「ハード・ロック・アルバムって自分で思えるものを作りたいなって」

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Photo by kiseki michiko
Courtesy of LOUD PARK 2015

■戦闘状態的な気持ちに入ってきた
■歌を辞めるという気持ちは一切なかった

――改めて、なぜ自分が歌い続けるのかと問われたら、どう答えます?

浜田:やっぱり、それが天職だからとしか言い様がないんですよね(笑)。さっきも言ったように、物心ついたときから、私は歌を歌っていくんだと決めてましたし、それも夢みたいな感じじゃなく、ホントに現実でしたしね。

――1994年から2001年まで、ステージに立たない時期がありましたよね。そこから再びライヴを行うようになり、それが今につながってくるわけですが、あの復活とも言える2002年の公演時と今の向き合い方も、また違うのではないかと思うんですね。

浜田:そうですね。より自分に対する現役感といいますか、そういうものは強く感じるようになりました。たとえ一瞬……といっても、結構長期に渡りましたけど(笑)、ライヴを休んだとしても、しっかりとした歌を歌っていけば、大丈夫だっていうような自信はあったんですよね、どういうわけか。どこか甘いと言えば甘いんですけど、そういう気持ちがあったと思うんです。だけど、久しぶりにステージに立ったときは、正直、不安のほうが大きいぐらいの感じでした。でも、「求められるというのは、こんなに幸せなことなんだな」とも感じられたんですよね。30周年のときなどは特にみなさんに盛り上げていただいて、お客さんもどんどん、どんどん増えてきているような現実を見ると、ありがたいなと思いつつ……。現役で戦っていかなければいけないなという自分を感じると言いますか。言葉はすごく悪いんですけども、ちょっと戦闘状態的な気持ちに入ってきたんですね。

――特にここ数年の麻里さんには、アルバムにしてもライヴにしても、従来以上のポジティヴさと言えばいいのか、もっともっと前進していこうという気概を感じるんですよね。

浜田:スタッフは「慎重過ぎる」って今でも思ってると思いますけどね(笑)。ホントに20年ぶりぐらいにテレビに出たり……一時は絶対に出たくないってずっと言ってたんですけど(笑)。

――ええ。あのテレビ出演(2013年に放映されたフジテレビ系『FNSうたの夏まつり』等)についても、当初は頑なに拒否していたと伺いました(笑)。

浜田:そうですね。30周年だし、ファンの方々へのプレゼント的なものもありますしということで、じゃあ出てみますとギリギリのところで一大決心をして(笑)。ただ「懐かしい人が出てきた」っていうだけじゃない形で終われたと聞いてますので、結果的に言えば、出てよかったかなと思います。

――特にシンガーであれば、加齢と共に声が劣化していくこともありますよね。しかし、かつても凄かったですが、麻里さんの場合、むしろ「今のほうが凄い!」と言われる状況ですから、それが広く伝わったのは素晴らしいことだと思います。もちろん、そういう自分であるために、日々、喉のケアを含めて、人並み以上のストイックさで歌に臨んでいることは想像に難くありませんが。

浜田:同業者の方と比べてどうかはわかりませんが、たとえば、喉周りもそうなんですけど、お腹もそうですし、歌うための筋肉というのは、ちょっと怠けているとダメになっちゃうんですね。ホントに普通の人の声になっちゃうんです。それを歌う人間の喉に戻していくという作業がありますね。

――ところで、近年は音源のダウンロード販売も増えつつあり、アルバムという概念自体も変化してきていますが、やはり麻里さん自身は、CDなどのパッケージへのこだわりもありますか?

浜田:こだわりは強いほうだと思いますね。ホントはいろんなことを考えなければいけないんでしょうけど、古い人間だから、そこに意識が向かないのかもしれませんけども(笑)。でも、1作品を作るという形で取り組んでいるんですよね。それこそ、何の意味があるのって言われちゃうようなことなんですけども、1曲目と2曲目の間が何秒あるのかっていう、曲間まで全部細かく決めますし。そこから逃れられないんじゃないですかね(笑)。受け手のほうで、どういう聴き方をしていただいても構わないというスタンスではありますけどね。ただ一つ、時代の中で、ちょっと抵抗があったのは、カラオケですかね。曲をヒットさせるということが第一前提ではないんですけれども、たくさんの人に知ってもらうとかヒットというのが、イコール、カラオケだった時代。今はどうなのかはっきりわかりませんけど、そのときは自分のスタンスとしてどうすべきなのかなと、戸惑いはありましたね。実際に(音源に)カラオケを入れることは、一切しなかったですし……もしかしたらですけど、客観的に見た場合、そこからマイナーというか、ちょっとマニアックな活動になったんじゃないかなと自分でも思うんですよ。私たちみたいな音楽性では、音域が広いほうがプラスだったりする部分もありますから、どうしても曲を作るときに、自分でも自分に期待して、すごい音域の広いものを作ったりするんですよね(笑)。それとカラオケで売れることが第一という考え方とは、やっぱり大きな差が出てくる。その辺のジレンマはあったような気がしますね。

――あの頃、ステージに立つのも嫌になってたんですよね?

浜田:いや(笑)、今考えると、確かに不思議なんですけども、あれはちょうどデビューから10年っていうところで、デビューしたときに、これぐらいまでは最低でも行きたいなと思っていたところに行けた自分がいたんですよね。たとえば武道館も毎回満杯で、アルバムも数十万枚売れて。でも、そこで自分が飽和状態になってしまったんですよね、スケジュールはパンパンに入って、1年に1枚(アルバムを)作らなければいけないというプレッシャーをずっと受けながら。コンサートも長いときは年間で70~80本、全国でやってましたから。でも、別に歌を辞めるという気持ちは一切なかったんですね。ずっと一生の仕事だと思ってきましたので。でも、その10年後の自分を考えたときに、多分、どこかでバタンと力尽きるなというのが見えてたというか。だったら、自分の中に何かを溜め込んだり、ノウハウを勉強したりする時間が欲しいなというのが、まず第一にあって。だから、ステージに立ちたくないというのとはちょっと違うんですけど、具体的に言えば、いい状況になってきた自分に対しての、周りの人たちの態度というのも変化があるわけですよね。その辺にやっぱり納得できないところも正直あって。1993年の武道館を最後に、日本ではライヴをやらなくなったんですけど、そのツアーもかなりキツかったんですよね。いいミュージシャンたちなんですけど、もうバンドとも全然上手くいってなくて、まずはバンドを1から立て直さなきゃ、次にステージに立てないなって。

――その後の沈黙期間は、音楽業界に対する、浜田麻里なりの反発でもあるんだろうなと思っていましたよ。

浜田:それはおこがましいですけど……そういうふうに的確に言ってくださった方はほぼいないですけども、多分そうです(笑)。

――だからこそ(笑)、ライヴ活動が再開されたときにはファンも大いに喜んだわけですが、実際のステージを観るたびに、とにかく多くの人が観るべきライヴだなと思わされるんです。来る3月からスタートするツアーも楽しみですが、この『Mission』に伴うものだからこそ考えていることもありますか?

浜田:まだ内緒にしておきたいこともちょっとはあるんですけど(笑)、まずはホントに一所懸命ステージに立つということですね。健康管理。2つぐらいの前のツアーで体調を崩すという恥ずかしいことがあったので、ああいうことがないように頑張らなきゃなって。

――でも、あのときもファンは「一体、浜田麻里に何があったのか!?」と驚いていましたよね。それほど、体調も含めて、すべてを完璧に仕上げてくるシンガーであることが知られていますから。『Mission』の楽曲も数多くセットリストに入ってくることにはなりそうですよね。

浜田:そうですね。アルバムも相当数出してますから、結構、選曲は大変なんですよ(笑)。ただ、『Mission』の曲も全部ではないと思いますけど、今回はかなりライヴ向きというか、実際のステージで演奏することで、より曲そのものも浸透したり、盛り上がっていただけるものは多いとは思うので、大いにやるつもりです。

取材・文◎土屋京輔

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ニューアルバム『Mission』のリリースを記念して、浜田麻里さんの直筆サイン色紙を抽選で2名様にプレゼントいたします。ご希望の方はプレゼントフォームよりご応募ください。なお当選者の発表は、商品の発送をもってかえさせていただきます(応募締め切り:2016年1月31日(日)23時59分)。

◆プレゼント応募フォーム

New Album『Mission』

2016年1月13日(水)発売
TKCA-74320/¥3,000+税
※初回プレス分のみ2枚組(特典音源1曲入りDISC付)
[収録楽曲]
01.Sparks
02.Dystopia
03.Superior
04.Rin
05.Monster Wave
06.Tears Of Asyura
07.Rainbow After A Storm
08.In Your Hands
09.Carpe Diem
10.Beautiful Misunderstanding
11.Orion
特典音源:Obsidian

<Mari Hamada Tour 2016 “Mission”>

3月4日(金) Zepp Sapporo
3月11日(金) Zepp Nagoya
3月19日(土) BLUE LIVE広島
3月21日(月・祝) Zepp Fukuoka
3月27日(日) Zepp Namba
5月29日(日) 東京国際フォーラム ホールA

[追加公演]
チケット一般発売:2月20日(土)各プレイガイドにて
※チケット一般発売に先駆けて、CD「Mission」購入者対象のCD封入先行受付有り
4月17日(日) Zepp Nagoya
4月23日(土) Zepp Sapporo
4月28日(木) Zepp Namba

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