【インタビュー】ダウト、3年ぶりのオリジナルアルバム完成。「自分たちでも納得できる自信作」

■選曲会で鳥肌が立った
■「できないことはないな」って

――歌詞には翻弄されがちな時代の中で、生きるというメッセージも込められているのかなと。

幸樹：共感は大事にしていますよね。限られた人たちかもしれないけれど、そういう曲のほうが響いたり、時にエグく刺さってくると思うんですよ。僕は現実派なので幻想的なことを歌うよりも身近で起こっていることに対して訴えかけたいし、曲によって背景や心理が異なるので、わかってくれる人にわかってもらえればいいかなと。

――恋ができなくて困っている人や、シングルマザーの人や、消えたいほど悩んでいる人だったりとか？

幸樹：そうですね。

――日本語の歌詞を貫いてきたダウトですが、「国立競技党」では英詞の曲を歌っていますね。

幸樹：はい。英語にするとどうしても直接的になるんですよね。日本語特有の言い回しを英語にするのは難しいので、あらためて日本語の良さにも気づいたし、同時に初めて英詞で歌う楽しさも感じられたのでまたチャレンジしたいと思いましたね。

――そこも新たな発見ですね。リード曲「SM」はしっとりしたバラードであり、さっき幸樹さんが現実派と話していたようにリアリティーがハンパない。子供と一緒に強く生きていこうとする女性の姿が描かれていますよね。

ひカる：母子家庭の方から視聴の段階でメールが来たんですよ。「わかります」って。

幸樹：1番しか流れてないのにね。

ひカる：MVのイメージシーンにも家族を思わせる描写があるから刺さる人には刺さると思うんですよね。

幸樹：今はシングルマザーの人、多いですからね。

ひカる：作ったときはアルバムの中に入ると色あいが浮くかなと思ったんです。でも、作っている最中に幸樹が『SM』というタイトルを送ってくれたので、ちょっと悲しげな音を入れようとか、エンディングもリバーブをきかせて意識がなくなっていく感じを出そうとか、イメージが湧いてタイトルに感化された部分はありますね。

――鍵盤やストリングスが入っているドラマティックで切ないバラードということもあってアルバムの最後に持ってきた？

幸樹：この曲の後には何も持ってこられないなっていう。それぐらい個性が立ってる曲なんでしょうね。

直人：作曲者（ひカる）にも「ダウトっぽくないけど、それがいいよね」って伝えました。選曲会で鳥肌が立った曲ですね。

――電飾を背景にしたアーティスト写真とシックなスーツ姿で演奏している「SM」のMVにはギャップがありますが、それも今のダウトの振り幅なんでしょうか？

玲夏：アー写に関しては最初は別のシチュエーションをメインに考えてたんですけど、サブで考えていたほうがあまりにもカッコよく撮れたので。

幸樹：音楽はもちろんですけど、ジャケット、MVなどのアートワークは毎回、頭を悩ませて作っているんです。僕らはもちろん関わってくれた方々の力添えもあって出来たアルバムなのでぜひ手にとってほしいですね。

――初回限定吟盤のDVDのほうには“ダウトJAZZ SHOW”も収録されていますよね。ダウトの楽曲をジャズアレンジで演奏している。これも今の振り幅ですよね。

幸樹：前作にはライヴDVDを収録したんですが、今回はまた違う視点でアルバムでしか見られない、聴けないものを入れようって。ジャズバーを借りて演奏して、そのまんまのテイクを使ったんです。今度はお客さんの前で聴かせたいっていう欲にも繋がったし、やってみて思ったのは「できないことはないな」って。やろうと思えばメタルもできる。

直人：やれるさ（笑）。

――では最後にツアーについてメッセージを。

幸樹：ホントにウチらのライヴはすごく楽しいので、だまされたと思って足を運んでもらえたら。みんなと一緒に『心技体』を成長させていきたいですね。

ひカる：個人的にはエモいアルバムだと思っているので、演奏している側も燃えるし、その熱が見に来てくれた人にも伝わるライヴになると思います。早く目の前で演奏したい。

威吹：前もって『心技体』を聴いて来てもらえたら、なおさらライヴが楽しめると思います。誕生日プレゼントはいらないのでCDとチケットを買ってください（笑）。

取材・文◎山本弘子