【ライブレポート】チキパ、「天使にラブ・ソングを・・・」公演は歌で魅せた。ソロ歌唱も弾き語りも
Cheeky Paradeが、12月26日、ニコファーレで定期ライブのVol.2公演を行なった。
◆チキパ 定期ライブVol.2「天使にラブ・ソングを・・・」公演 画像
1部がコンセプトライブ、2部は対バンという構成の定期ライブ。今回の1部のテーマは「天使にラブ・ソングを・・・」。前回の「Back to the Future」同様に、先に公開されたPRビジュアルを含めて、映画『天使にラブ・ソングを・・・』をフィーチャーした公演となった。
ライブ冒頭。心持ち肩幅が広くなったスティーブン・シマザキバーグが、助手の亜紗美ちゃんを引き連れて登場する。そして映画『天使にラブ・ソングを・・・』のあらすじを、亜紗美ちゃんの落が……いや、抽象画のような絵を使って説明。スティーブンに「亜紗美ちゃん、絵が上手くなったねぇ」と褒められて、亜紗美ちゃんは嬉しそう。そして「映画って本当に、素晴らしいですね。」と、スティーブンも満足気だ。
暗転してステージ上手に制服姿の関根優那がスタンバイ。いつものライブと異なるのは、関根の前にはピアノがセッティングされている、ということ。そしてステージには山本真凜も登場。関根のピアノ生演奏をバックに「M.O.N.ST@R」を歌いあげる。そこに普段のチキパらしい元気なパフォーマンスはなく、代わりに存在していたのは、強いメッセージ性を持った歌詞と流麗なメロディーライン。そして山本の確かな歌声に関根のピアノの音色。冒頭から“チキパらしいライブ”を期待していたファンからすると、この展開に梯子が外された格好だったのかもしれないが、このふたりが音楽に真摯に向き合い作り上げた世界観を前にすれば、誰もが納得、そしてすぐに引き込まれてしまっていた。
さらにチキパのメインボーカルを担う山本真凜、鈴木友梨耶、永井日菜による「LEFT or RIGHT…?」。そして渡辺亜紗美、関根優那、島崎莉乃、溝呂木世蘭、鈴木真梨耶という新鮮な組み合わせが「片想いファクトリー~ボサノバver~」を披露する。なお今回のライブでは、ニコファーレの前方および側方のLEDパネルに、時に淡々と、時にダイナミックに歌詞を表示。このドラマティックな映像演出が、パフォーマンスをさらに際立たせていた。
1曲目の「M.O.N.ST@R」で、山本真凜のボーカルをピアノでしっかりと支えていた関根優那は、「HAPPY DAYS」を弾き語り。想いと感情を鍵盤と歌声にぶつけた関根。いつもの“かみかみリーダー”の姿ではなく、実に頼もしいアーティスト然とした姿がそこにあった。
一方、普段のキャラクターを増幅させたステージを展開したのが小鷹狩百花だ。新幹線の好きな座席はBという“ポンポンMOMOKA”として、「あこがれストリート」を、昭和感たっぷりに(まるでアイドルのように)(もっともアイドルなのだが)元気いっぱい可愛く披露すれば、「じゃんけん大会」「質問コーナー」で、観客を遥か後方に置き去りにするトークを展開し続けて爆笑をさらった。
そして小鷹狩以外のメンバーがシスターのコスプレで登場すれば、360度に張り巡らされたLEDパネルにはいくつものステンドグラスが表示されて「Challenger」。修道院か、それとも『ダークソウル』でいうところのアノール・ロンドかという荘厳な雰囲気の中、チキパは映画『天使にラブ・ソングを・・・』のように、自分たちの音楽を全力で歌い、踊り、楽しむ。「みんな、『天使にラブソングを・・・』は、音楽を楽しむぞっていう映画だから、みんなもチキパの音楽で一緒に楽しんでいきますよ!」と、鈴木友梨耶が呼びかけて「チィキィ ファイター」「チェケラ」。天真爛漫な9人に会場のボルテージは急上昇していく。
ところがここでいきなり「お前ら、アイドルのライブ観にきてんじゃねーんだよ! ちゃんとついてこいよ! 地獄行くぞ!」と、マイクスタンドを引きずって島崎莉乃が登場。ウィンプルを投げ捨てて「チェケラ~ヘビメタver~」へ。ステンドグラスは鮮血のような深紅に染まり、さっきまで笑顔で歌声を響かせていたシスターたちは、メロイック・サインを掲げて一心不乱にヘッドバンギング。「Go to Hell!」と島崎のシャウトが空間を引き裂けば、まさに蝋人形にでもされてしまいそうな勢いである。
さっきの島崎のライブパフォーマンスは夢か幻か。渡辺亜紗美の「恋テレポーテーション」と溝呂木世蘭のスウィングした「Tactics」でニコファーレにはロマンティックに雪が降り積もっていく。そして、「Cheeky dreamer」を歌いあげる永井日菜。その安定した歌唱力と背面のLEDに下から上へと流れていく歌詞が、早くもこの公演のエンディングを迎えたかのような感動的な光景を生み出していく。
「無限大少女∀」は鈴木友梨耶。弱さや不安を内包しつつも、未来を信じて立ち向かう少女を描いたこの曲を、彼女はメロディーで歌うのではなく歌詞を撃つことで、オーディエンスひとりひとりのハートへと直接響かせる。そんな歌声に会場は水を打ったように静まり返って、ただただ魅了されていた。
さらに友梨耶はエレアコを手にする。そして陽気なレゲエアレンジの「Together」をお姉ちゃんのギターをバックにつけて歌うのは、もちろん妹・鈴木真梨耶。ステージ上にはふたりだけという鈴木姉妹によるライブは、観客をも巻き込んで、いかにも真梨耶らしさが溢れたハッピーなものとなった。
そんな“実験的ライブ”にふさわしいメンバー全員のソロ歌唱が披露されたのち、映画『天使にラブ・ソングを2』でおなじみ「Joyful, joyful」をエモーショナルに歌唱。自分たちの精一杯のパフォーマンスに、会場とニコ生で見守ったファンも気づけば笑顔になっている。そんなチキパの新しい面も観ることができた、新たな方向性、可能性を感じさせる定期ライブVol.2「天使にラブ・ソングを・・・」公演だった。
ところで、本公演にはもうひとつ大きな見せ場があった。それが新曲。ミディアムバラードの「faith」が初披露された。たとえ遠く離れてしまっても、同じ空の下で笑顔でいられますようにと、決して代わりのいない仲間のことを歌いあげるこの曲。それは彼女たちの信念であり約束。そんな響きをもった楽曲になっていた。
さらにこの新曲披露と同時に、6枚目のシングル「SKY GATE」が2月24日にリリースされることも大発表。初披露したばかりの「faith」も収録されることが明かされ、会場は一気に歓喜の渦へと巻き込まれた。
一転、2部はTEMPURA KIDZと2マンライブ。きゃりーぱみゅぱみゅのバックダンサーを務めていた経歴を持つTEMPURA KIDZは、天才的なまでの独特なダンスパフォーマンスで「ONE STEP」「LOLLiPOP」などシングル楽曲含む9曲を披露。対してチキパは、最新楽曲「M.O.N.ST@R」「カラフルスターライト」、さらに1部で披露した新曲「faith」を立て続けにパフォーマンスし、バリエーションの高さを魅せつける。
そしてダンスバトル。キレキレのダンスで一気に会場のボルテージが上がったところで、ラストに投下されたのはTEMPURA KIDZの「CIDER CIDER」とチキパの「Tactics」のマッシュアップソング「TactiCIDER」。一夜限りのミラクルなコラボは、両組のパフォーマンススキルもあいまって、音楽性の高さが余韻として残る2マンライブとなった。
なお、2016年1月15日に行なわれるチキパ定期ライブVol.3のコンセプトは「地獄の黙示録」。なんとチキパの持ち歌すべてを披露する90分ノンストップライブとなる。まさにメンバーにとっても、観客にとっても“地獄の黙示録”となりそうである。