【ライブレポート】無限に広がるSalyuの音楽宇宙があらわになった一夜
Salyuと小林武史が濃密なセッションを重ねるライブシリーズ<“minima”-ミニマ->の1年半ぶりの公演となる<a brand new concert issue "minima" - ミニマ - Salyu × 小林武史 - session 1 ->が、下北沢GARDENにて、12月7日と10日の2日間にわたって開催された。この稿では10日の模様をレポートする。
◆ライブ画像
Salyu自身も「ワンマンでスタンディングなんて何年ぶりだろう?」とオーディエンスとの距離の近さに喜びを隠せない様子だった。ライブのタイトルからもわかるように、この公演は“minima”シリーズの新局面の始まりを告げるものであり、“session”がキーワードになっている。Salyuと小林武史に加えて、今回はドラマーのあらきゆうこが招かれた。Salyuという天賦の才を持ったボーカリストが追求する、比類なきポップミュージックの極意。そこに無限の音楽的な可能性が広がっていく瞬間を、ミニマムな編成によってオーディエンスとともに体感する“minima”のあらたなる妙趣は、1曲目の「emergency sign」を皮切りに、鮮明な輪郭をもってあきらかになった。
軽重や剛柔を自在に操るドラミングでグルーヴの根底を支える、あらき。キーボードで音像をコントロールする小林は、ピアノやシンセの フレーズのみならず左手でベースラインも弾いてみせる。そして、万能感とすごみに富んだSalyu のボーカル力である。広い音域と多彩な旋律を天衣無縫に紡いでいくSalyuのボーカルは、シリアスなムードが流れる楽曲ではフロアを心地いい緊張感で満たし、光量の高い楽曲では解放のカタルシスを生むように躍動した。またSalyu は「エロティック」ではサンプラーとパッドを駆使しサウンドにスパイスをまぶし、「landmark」ではルーパーを使用し自らの声をその場で重ね、神秘的なコーラスを構築した。こういったアプローチはsalyu × salyuの経験と方法論を昇華したものとも言えるだろう。
ポストロックやエレクトロニカ、あるいはミニマルミュージックや現代音楽にも通じるサウンドスケープを展開しながら、最新アルバム『Android & Human Being』からLily Chou-Chou名義の楽曲まで幅広くかつレアなセットリストを染め上げた全16曲。「これは、前から密かにやりたかった試みなんです。フルバンドのアンサンブルも楽しいんだけど、ここまでシンプルな編成で、ときに暴力的なまでに自由自在のライブをやる。これは、なかなか楽しいですよ」MCで小林はこのように語っていたが、“minima” の“session”シリーズは、今回を機にさまざまなトライアルを実施していくだろう。そして、そこで浮き彫りになるのは、Salyuと小林が切り拓くポップミュージックの革新的な地平に違いない。日本のポピュラーミュージックシ ーンにおける至宝とも言うべきボーカリストは、2016年もその進化を止めない。
文:三宅正一
<毎日がクリスマス 2015>
OPEN/START 18:00/19:00
チケット:全自由
前売 ¥6,500(税込・ドリンク代別途)
当日 ¥7,000(税込・ドリンク代別途)
※整理番号順入場
※未就学児童入場不可
※枚数制限4枚
この記事の関連情報
Salyu、小林武史と名越由貴夫を迎えてデビュー20周年記念ワンマンを今秋開催
YEN TOWN BAND、Lily Chou-Chou、Kyrieが出演する<円都LIVE>開催決定
<ap bank fes '23>にAnly、KREVA、Salyu、チャランポ、ハナレグミ、宮本浩次、MOROHA
Salyu × haruka nakamura、『TRIGUN STAMPEDE』エンディング主題歌含むEP『聖者の行進』発売決定
Lily Chou-Chou、一夜限りのライブの未公開映像がSalyu公式YouTube Channelにて1日限定上映
Salyu × haruka nakamuraの新曲「星のクズ α」が『TRIGUN STAMPEDE』エンディング主題歌に
<FUJI & SUN '22>第二弾発表で青葉市子、GEZAN、Salyu、CHAI、フジファブリックら
Salyu、新曲「Tokyo Tape」デジタルリリース。ティザー映像も公開
Salyu、小林武史プロデュースの新曲「器」配信リリース