【ライヴレポート】DEZERT、「全部やぶれ！全部弦ちぎれ！」

ギタリストが加入し、新体制となったDEZERTが12月12日(土)、新宿BLAZEにて＜年末特別公演【ちみとぼくの最終実験(仮)】＞を開催した。

◆DEZERT 画像

2015年9月に行なわれた赤坂BLITZ公演でギタリストが脱退して以降も、各地イベントに出演を続けていたDEZERTだが、本公演の2日前である12月10日に、サポートメンバーとして参加していたMiyako（G）が正式加入することを発表。この新宿BLAZE公演から再び4人体制として活動することとなった。開演を待ちわびるオーディエンスの熱気に満ちた超満員のフロアには、これまでと変わることなく、ビートルズの「Yesterday」がエンドレスでリピートされている。


場内がゆっくり暗転すると、ステージにかけられた幕の向こう側から奇怪な不協和音が流れ始めた。幕が開き、Miyako、SaZ(B)、SORA(Dr)の3人がすでにスタンバイしている姿が見える。そこへゆっくりと千秋(Vo)が登場、新体制一発目のライヴは「「眩暈」」で幕を開けた。重低音を撒き散らし始めた4人が「メリーさんの自殺未遂」「「殺意」」と続け、それに呼応するようにヘッドバンギングを繰り返すオーディエンスたち。そんな狂乱状態のフロアへ“なめてんのかお前ら！　殴り合え！　殺し合え！”と激しく煽る千秋は、「肋骨少女」や「胃潰瘍とルソーの錯覚」でギターを手に取り、ときに叫ぶようにメロディーを歌い上げていた。


前半戦を終え、よくあるライヴならばこの辺りで一度MCを挟みそうなものだが、4人は休むことなく凶暴なサウンドを繰り出し続けていく。「少し休憩しようか……」と告げるものの、間髪いれずにSORAがカウントを刻み、「包丁の正しい使い方 ～実行編～」「ゴシック」へとなだれ込んだ。「疲れた顔してどうしたの!?　後ろ！　降りてくるなら今だぞ！　柵ごと外して突っ込んでこい！」と狂騒を煽れば、オーディエンスも声を張り上げて、それに応戦。千秋にマイクを渡されたMiyakoが、フロアに半身を乗り出してアジテーションする場面もあった。また、オーディエンスのみならず、「本気だそうじゃねえか！　俺たちのライヴだ！　あっち（フロア）はどうでもいい！　やぶれ！　（ドラムヘッドを）全部やぶれ！　全部弦ちぎれ！」と、千秋はメンバーにも檄を飛ばしていた。


ライヴも中盤を過ぎ、さすがにここで一段落かと思いきや、原曲よりもえげつないほどにテンポをあげた「doze.」を投下。さらにオーディエンス全員が床に座ってヘッドバンギングを繰り広げる「「秘密」」や、SaZの凶悪なベースからなだれ込んだ「包丁の正しい使い方 ～終息編～」では、フロアにウォールオブデスが発生した。そして、そのど真ん中でもみちゃくになる千秋など、まさに地獄絵図のような光景が延々と繰り広げられていた。

ラストこそミディアムテンポな「「追落」」だったものの、セットリストの大半が攻撃的な楽曲で構成され、ほぼ暴動状態の盛り上がりとなった。4人は最後までMCをすることなく、全18曲約90分間をノンストップで激走、Miyako加入後初のワンマンを締め括った。


圧巻のライヴで新体制の幕開けを飾ったDEZERTは、全曲終了後、2016年1月20日にリリースするニューアルバム『最高の食卓』収録曲「君の子宮を触る」のミュージックビデオを公開。こちらは現在彼らのオフィシャルYouTubeチャンネルにアップされている。また、現在発表されているワンマンツアー＜DEZERT ONEMAN LIVE TOUR 2016【楽しい食卓】＞のツアーファイナルが6月5日(日)、ZEPP TOKYOで行なうことも発表された。同公演のチケット最速先行予約は2016年1月5日(火)12時より。

取材・文◎山口哲生　撮影◎インテツ





◆DEZERTオフィシャルサイト