【インタビュー】defspiralがツアーファイナル直前に改めて語る、新作アルバム『BRILLIANT WORLD』の魅力

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defspiralの3rdアルバム『BRILLIANT WORLD』が10月21日に発売された。“納得のいく作品にしたい”というメンバーの強い意向で発売延期になったものの、2年5か月ぶりのフル・アルバムはdefspiral至上、最高傑作ともいえる仕上がりに。前々身バンド、TRANSTIC NERVEから一緒に音を奏でてきた彼らだからこそできる“遊び”と“本気”。極上のロッカ・バラード、明るいオーラを放つ曲から見えてくるdefspiralの新境地。嘘偽りのない言葉で綴られるdefspiralの“現在”(いま)。表現の幅をさらに広げ、defspiralのさらなる未来をも感じさせてくれる本作を引っさげてのツアーも残すところ12月11日、新宿BLAZEのみ。ツアー・ファイナル直前に控えた彼らに、あらためてニュー・アルバムの魅力を語ってもらおう。

◆defspiral~画像&映像~

■アルバムを作っていて思いました、
■自分で言うのも何だけど、センスいいバンドやなって(笑)。


──アルバムとしては前作『Voyage』からずいぶん時間が空いた気がするんですが。

RYO:約2年半ぶりです。

MASAKI:そんなに経つんや、前のアルバムから。

TAKA:その間もコンスタントにシングル出したりツアーをしてはいたので、そんなに空いてるという感じはしないんですけどね、俺らとしては。

──久しぶりのアルバムってことで、本作『BRILLIANT WORLD』を制作するにあたってコンセプトはバンドで話し合ったりしました?

RYO:いつものことなんですけど、“こういうテーマでアルバムを作ろう”とか、あんまり話をしないんですね、うちのバンドは。今回も単純に2ndアルバムの後に発表した既存のシングル曲を入れることを頭に置きつつ、アルバム用に曲を作りましょう、という感じで各々が曲を持ち寄って。まずはMASATOがガンガン曲を作ってきてたので、それを聴きながら“もっとこういう曲があったほうがいいんじゃないか?”と話し合いつつ、足りないところを埋めていく感じで僕は曲を作っていきました。

──そうですか。何かテーマがあるのかと思いました。というのはイメチェン?と思うくらいアルバム全体のトーンが明るいから。1枚目のアルバム『PROGRESS』はdefspiralのバンド・カラーともいえるようなダークな雰囲気、2枚目『Voyage』は自由度を増したイメージがあったじゃないですか。

MASATO:今までも暗い曲、明るい曲、いろんなタイプの曲があるにはあったにせよ、メインで打ち出す曲はあまり明るい曲じゃなかったかもしれないですね。その点でいえば『BRILLIANT WORLD』を作るにあたって、光の見える曲をメインに置くのもいいんじゃないかな?と思ったことがアルバム全体の印象に繋がってる気はします。そう思ったからこそ1曲目の「NEW DAYLIGHT」を書きましたし。

RYO:「NEW DAYLIGHT」のデモを聴いた時、このイントロの長さ…間違いなくMASATOは1曲目を意識したんやろうなって思いましたね(笑)。完全に幕開けをイメージだから。

MASATO:確かにイントロは長い(笑)。徐々に光が差してくるのをイメージしながら作っていて。

TAKA:正に夜明けのイメージですね。実際、ライヴではオープニング曲にしてます。

RYO:楽曲自体はMASATOの王道というか。

TAKA:サビで空が開けていく感じが浮かんで。この曲が出来た時、“これでアルバムの全体像が見えてきたね”って話したのを覚えてるな。

MASATO:そうやったね。

TAKA:そういう全体の雰囲気が掴めたからこそ、このタイミングでポップスに振り切ってる「ESTRELLA」(※スペイン語で“星”の意味)も形にできたという。実は結構前から曲はあったんですよ。

RYO:MASATOにとって人生初のバラードやな?

MASATO:厳密にいうと実は高校の時、1回バラードは書いてるけど(笑)。TAKA:しかも俺、そのバラード唄ってた(笑)。

──高校の先輩後輩であるTAKAさんとMASATOさんが一緒にバンドをやってた時に。

TAKA:その時に(笑)。

RYO:とにかく、このサビがずっと続いていって曲が終わらないような感じ、もっと聴きたい、と聴き手に思わせるメロディーの作り方は正にMASATO節って感じがしますよ。

MASAKI:defspiralでは8thシングルのカップリング曲「Not Alone」はバラードっぽい曲でしたけど、またタイプの違う曲ですよね。

──あと「ESTRELLA」に関していえば、半音を用いたメロディー展開が肝になってますよね。以前、「DREAM OF YOU」を聴いた某ミュージシャンが“defspiralは半音の魔術師だ”と言っていたのを耳にしたことがありましてーー。

RYO:“半音の魔術師”(笑)。

MASATO:半音を使ったメロディー、スゴい好きなんですよ(笑)。

TAKA:“音楽の気持ち良さって半音だろう”っていう話はよくしますね、MASATOと。

RYO:ドラマチックさが増すよね。その辺も含めて、デモを聴いた時からMASATOのツボがすべて入った曲やな、と思いました。次のコード、MASATOならこう来るやろ…来た!って感じで読みどおりだったし、間奏でも後奏でも転調しまくりやし。

MASATO:確かに、やってやったぜ感がバリバリありますね、この曲は。

──揺れまくって終わりそうで終わらないコード・ワークの妙もらしいというか。

RYO:そう。ホンマ、センスいいと思います…って自分らで言うのも何ですけど(笑)。



■RYOが作詞に初挑戦。
■歌詞にはRYOのA型的な性格が…?


──先にMASATOさんが人生(ほぼ)初のバラードを書いた話が出ましたが、RYOさんも人生初の作詞に挑戦されたそうで。

RYO:書きましたね、「FAR AWAY」の歌詞を。これまで歌詞にはまったく興味がなくて(笑)、曲しか書いて来なかったんですけど、いってしまえば作詞も作曲も合わせっての1つの楽曲なワケじゃないですか?

──ですね。

RYO:そう思ったのと、ここ最近、これまでとは違ったクリエイトをしたいという欲求が出てきて、この年になって新しい挑戦なんぞをやってみようかな、と。そう思って“ちょっと歌詞にチャレンジさせていただきたいんですけど”ってメンバーに言ったら“おぉ、それは面白いな”みたいなことになり。

TAKA:あまりにも唐突だったからRYOにそんな心意気があったんだ、と正直驚きましたよね(笑)。と同時に面白いと思って“ぜひぜひ、やっちゃってよ”って。

──でもまたなぜ、ご自身が書いた曲ではなく、MASATOさん作曲の「FAR AWAY」で?

RYO:ぶっちゃけ曲はどれでもよかったんです(笑)。

TAKA:もう何曲か歌詞を書いて録り終わっていた時期だったので、イメージだけで歌詞は手つかずだった「FAR AWAY」を書いてみるということで。

RYO:で、自分から言い出してみたものの、いざ書こうとしたら歌録り前日になっても2、3行しか書けてなくて(笑)。

──おやおや(笑)。

RYO:いや、研究はしてたんですよ。いろんな歌詞を見て、切り口とか、言葉の並びとか、いろいろ研究しましたし。

TAKA:歌詞を書くと言ってから1日、2日…と時間が経ち“どう?”って訊いたら、“まだまとまってない”と(笑)。そこで“俺はこの曲で、こういうテーマでこういうの書きたいんだよね”っていう話を聞いて少しディスカッションをしたら、もう次の日には仕上がってきて。

──速い(笑)。実際、RYOさんの歌詞を唄ってみていかがでした?

TAKA:言葉も整理もされてて、聴き手がすんなり受け入られる歌詞だな、これ初めて書いた歌詞? 凄いな、と思いましたね。それと、ある意味、A型っぽい歌詞なのかな?と(笑)。

──A型っぽい歌詞?(笑)

TAKA:A型っぽいというかRYOっぽいというか。整理整頓されてて美しいなと。音楽的にもメロディーと言葉の関係がちゃんとしてて完成されてるなと思ったんです。

MASAKI:俺は唄の入った「FAR AWAY」をちょっとニヤニヤしながら聴きましたけど(笑)。で、聴いてみると、まったく違和感なくサーッと入ってきました。歌詞の世界も見えてきたし。特に、これは曲を作ったMASATOが“ドラムを好きに叩いてくれ”って言って好き勝手に叩いた曲だったんで、俺がドラムを叩いた後、RYOのベース、MASATOのギターが入って、さらに唄が入って、どうなるのか? いちばん仕上がりが気になる曲でもあったから、“おぉ~、こうなったか”という感じでしたよ。

MASATO:実際に歌詞を書いたのはRYOなんですけど、やっぱTAKAが唄うことを意識して書いてるのかな?みたいなのは感じたかな、俺は。

RYO:それはもちろん、意識して書いてるよ。

MASATO:そのせいか言葉の選び方がTAKAっぽいんですよね。ハマりもよくて良い意味でビックリでした、“これRYOが書いたの?”って(笑)。

RYO:俺らしく書いたら平仮名で♪いぇ~い!♪とか軽いタッチの言葉が入ってそうやもんな(笑)。ま、作詞に挑戦させていただいて、その難しさも思い知らされただけに、僕が作った「SILVER ARROW」の歌詞をTAKAが2、3時間でサラッと第一校を書いて来た時は、やっぱスゲー早いな、やっぱSILLVER ARROW(=“銀の矢”)だけに矢のごとく速いな…と感動しまして。

一同:……。

RYO:あ、今の例えアカンかった?(苦笑)

MASATO:…ん? 聞いてなかった(笑)。

RYO:実際、楽曲も3分ちょっと、矢が飛んでいって突き刺さるくらい短いんですけど。

MASAKI:曲の長さを矢の飛んでいく速さに例えるのは無理があるやろ(笑)。

RYO:ちょうど楽曲を作ってる時、Aメロとサビしかないっていう洋楽的な構成の曲を作りたいなと思っていて。どうだい? 潔くていいだろう?って感じだったんですね。

TAKA:RYOからコンセプトを聞くまでもなく、楽曲の意図はわかった…というか俺なりの解釈と一緒だったんで、楽曲の構成同様、シンプルな言葉をリフレインさせていくことによって伝えていければいいな、と思って歌詞は書きましたね。実はシンプルであればあるほど難しかったりもするんですけど、唄ってみるといいなって思えたし、ライヴでやると思った以上に評判もよくて。正に、真っ直ぐに突き刺さる矢のような唄、曲になったと思います。

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