【インタビュー】ポップのDNAを受け継ぐコレサワ「そばに行きたいけど、行くことはできないから──」

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■「コレサワ」が私自身を救ってる部分もあるんです



── コレサワさんの歌詞って、独特の共感性があるんですよね。「君のバンドも」、今回のEPのリード曲の「あたしを彼女にしたいなら」も、 “あたし”っていう言葉がいっぱい出てくるから一見、主張が多いようだけど、それと同時に気持ちを代弁してくれてるように感じる女の子は多いと思います。コレサワさんの歌詞の大きなテーマには “女の子の気持ち”がありますよね。女の子たちに、「ひとりじゃないんだよ」っていうことを言いたいのか、それとも、こういう作風をコレサワの個性にしていきたいんでしょうか。

コレサワ:私、凄くワガママなんですね。でもコンプレックスもめっちゃある。ワガママ過ぎると言われて人によく思われてない女子っていっぱいいて、そのせいで余計強がっちゃったりする。私の歌で、そういう女の子のことを許してあげたいっていうか……自分も含め、勘違いをされやすい女子の気持ちを歌うことで、その子達が生きやすくなったらいいなというのはありますね。

── うん。

コレサワ:……私、「コレサワ」っていうアーティストのことは結構好きだし愛せるんですけど、本当の自分自身のことはそんなに好きじゃなくて。「コレサワ」が私自身を救ってる部分もあるんです。だからアーティスト名も、本名に近いけど一緒にはしたくなかった。アーティスティックなものをやってた時は本名でやってたんですけど、「コレサワ」にしてから自分がやるべきことがわかったんですよ。仕事部屋と寝る部屋は分けたほうがいいっていうのと一緒ですね。凄くすっきりしました。

── わかりやすい(笑)。コレサワさんの曲って、弾き語りのしっとりした曲だと夜中に友達と喋ってるような気持ちになるし、バンドセットだと思わず明るい気持ちにさせられる。そういう親近感や安心感が、これだけ歌の強さになっていくのって、特別な女性シンガー・ソングライターのかたちだと私は思うんですね。Jポップシーンで活躍する女性アーティストって、たとえば恋や愛にある情念を表現してその重みで歌に説得力を与えていくとか、女性特有の気持ちの不安定さみたいなものを繊細に表現して共感を得るとか、もしくは、凄く透明感のある漂白された表現をしていったりする方がいます。

コレサワ:はい。

── コレサワさんがこれだけポップかつ敷居の低い音楽に振り切っているのは、ポップシーンが実は求めてる新しい存在として、「コレサワ」をかなりプロデュースしてるんじゃないかなと。

コレサワ:確かに今は、「こうなりたい」というアーティスト像は特にないですし、コレサワをプロデュースすることは好きだと思います。コレサワというアーティストのターゲットは、私自身みたいな女の子だと思ってるので、根のコレサワが本当に思うことや、ドキドキできたり喜ぶものじゃないと伝わらない、というのはありますね。そう捉えてもらえて嬉しいです。

── あと訊きたいのが、ご自身にはコンプレックスが多いっておっしゃったように、根明な性格の持ち主ではないと思うんですよ。歌詞の内容が明るくない歌もこれだけ前向きでポップな曲調にしていくのだって、ネガティブを知ってるからこそだと思う。ネガティブなままではとてもじゃないけどやってけないから、ポジティブであろうとしてるというか。

コレサワ:あ、そうかもしれないですね(笑)。諦めがいいんです、私は。自分のネガティブな部分は自覚してるんですけど、いつまでもクヨクヨしててもしょうがないっていう気持ちがある。「死ぬこと以外かすり傷」っていう誰かの名言があるんですけど、私はそれをポリシーに生きてます。

── たくましい(笑)。パンクバンドの練習部屋に貼ってありそうですね。でもこうしてCDのリリースも重ねて、ライブのスケールも大きくなってきてるわけで、そういう精神が根っこにあるのは頼もしいなと思います。作品についてお訊きしていきますね。前作のEP『君のバンド』は、「君のバンド」が完全に主役の作品でしたが、今回のEP『女子、ジョーキョー。』は何かコンセプトはあったんですか?

コレサワ:新しいCDを作ることになった時に、やっぱりタイトルに“女子”っていう言葉を使いたいなとは思ったんです。で、候補になった歌はどれも曲の中で女の子が頑張ってたり、個性的だったり、都会で生活する女の子の歌だったので、割と自然にできていったEPですね。でも、「君のバンド」でコレサワのことを知ってもらえたので、その次に出す作品という意味でのプレッシャーはありましたね。

──リード曲の「あたしを彼女にしたいなら」も「君のバンド」も、“あたし”からのサビ始まりの曲ですよね。これは偶然?

コレサワ:意識はしてなかったんですけどね(笑)。「あたし」から始まる曲は他にもいっぱいあるので、「あたし」って言いたいんでしょうね(笑)。


── でも、エゴイスティックな感じはないんですよね。次々と彼氏の条件を挙げていくワガママな歌詞のようだけど、本当は切ない曲で、<いつか終わりがくることを 心得て愛してね>と歌い終わるという。

コレサワ:そうなんですよー! 私の歌は、本当は全部切ない要素をいれてるんですけど、それに気づいてハッとしてくれる方もいるし、そのままの意味で捉えられることもあるし。歌って面白いです。

──「君のバンド」の歌詞もツッコミどころが満載で、「え、『恋の罪』好きなの? ひくわ~」とか「わかるー!」とか、それぞれみんな好き勝手に捉えられたんじゃないですか?

コレサワ:聴き手によって好きに捉えてもらいたいんです。「この曲ウザい」でもなんでもいいから、その人の耳に引っかかって欲しい。一番イヤなのは、何も思われないこと。「なんだこれ?」でもいいから(ツイッターで)呟いてもらうことで歌が広まっていくから、コメントとか批判を全然ツライって思わないんですよ。「あたしを彼女にしたいなら」は、<尖ってるクツはやめてね スニーカー履いてデートしよう>とか、私が実際に彼氏にしたい人の条件を挙げてる自己紹介的な曲ですけど、女子に共感してもらえそうだなというのもあるし、自分の歌をラジオでも流してもらうことも増えたので、ラーメン屋で食べてる人や、何かの作業をしてる人が、「今の言葉なに?」って手を止めてくれるように仕掛けたいってワクワクしながら書きました。

── この曲は、曲の展開もコロコロ変わるし、一瞬も曲から耳が離れない曲ですよね。ポップなのにドキドキする。あと、<割り勘ばっかは嫌>という部分もリアルで面白い。<割り勘は嫌>より、こっちのほうが普通の女の子の感覚に近いですよね。

コレサワ:確かにそうですね!(笑)。やっぱり記念日とかにはごちそうして欲しいけど、普段は別に割り勘でもいいかなって思いますからね(笑)。

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