【インタビュー】ゼブラヘッド「毎晩、パーティみたいになると思うよ」
今月初め、結成20周年記念となるニュー・アルバム『Walk The Plank』を日本先行リリースしたゼブラヘッドが来日した。単独公演もあったが、今回の目玉はMAN WITH A MISSIONとのジョイント・ツアー。
◆ゼブラヘッド画像
20年経ったいまもエネルギッシュで、「音楽作るの大好き! コンサートはいつもパーティ」、おまけに「ニホン、ダイスキ!」というアリ・ダバタビィ(Vo)とダン・パルマー(G)に、ニュー・アルバムやMAN WITH A MISSIONとのコラボ、そして元気の源について話を聞いた。
――今年は2枚のアルバム、EP1枚をリリースするなど大忙しですが、そのエネルギーの源は?
アリ:僕らにとって、音楽を作り、世界中を周って、それをみんなの前でプレイできるっていうのはまさに夢の仕事なんだ。音楽を作るのは楽しい。だから、全然苦痛じゃなくて…、ほかの人たちが仕事を楽しんでないって言っているわけじゃないよ。それに、MAN WITH A MISSIONとのEPにはすごくインスパイアされた。あらかじめ一緒にやろうって計画してたわけじゃないんだ。ある日、飲みに行って、そのノリで、次の日、彼らをスタジオへ連れて行った。で、一緒に曲を作り始め、“EPやってみない?”ってことになったんだ。その後、『Walk The Plank』を完成し、またツアーが始まる。すごく楽しみだよ。
――20年経ったいまでも?
アリ:もちろん(笑)。
ダン:楽しいよ。僕ら、仲いいからね。一緒に世界中周って、その土地の友達に会ったり…、ずっとやっていたいよ。
――ではまず、新作について教えてください。『Walk The Plank』と名づけた理由は?
アリ:こう言うのが一番いいかな。僕ら、前と同じような曲は作りたくなかった。居心地のいいゾーンから飛び出し、いままでとは違う曲を書いてみたかったんだ。そういう意味で、Walk The Plank(目隠しをされて板の上を歩く)っていうのは、何が起きるかわからないってとこがピッタリだと思った。このアルバムは、過去の作品とは違う曲がいっぱい入っている。
――居心地のいいゾーンというのはどんなものだったのでしょう?
アリ:メンバーそれぞれ違うと思うけど、僕にとっては…、このアルバムにはメロウな、アコースティックな曲がいくつかある。僕は、速いスピードのラップ、アグレッシヴなものをやるほうが居心地いい。だから、僕にとって居心地いいゾーンから踏み出すっていうのは、そういうメロウな曲にどう取り組んだらいいのか、どうやったらベストなものができるか、その方法を見つけることだった。ダンはシタールを弾いたんだよ。
ダン:あれは面白かった。半日かかった。あれが僕にとっては挑戦だったね。それに、ヘヴィな曲をよりヘヴィに、メロウな曲をよりメロウに作るのもチャレンジだった。いろんな要素があるアルバムを作りたかったんだ。
――アルバムを作り始めたとき、コンセプトやテーマはあったのでしょうか?
アリ:うーん…、なかったね。何十もの曲を作って、その中から力強いものを選び、攻撃的になるまで手を加えた。50曲以上作って半分に絞って、最終的には16曲レコーディングした。
ダン:月曜から金曜まで朝10時か11時に集合し、“今日はどんな曲作ろうか”ってアイディアを出し合った。何も浮かばなかったときは、ドラムのソロから始めてみようとか、スタジオに向かう車の中でラジオから流れてた曲を思い出し、あんな感じ作ってみたいなとか、いろんな角度から取り組んだ。
――最大のインスピレーションは?
ダン:僕の場合、大学でクラシック・ギターを勉強していたのと、ヴァン・ヘイレンが大好きで、その2つはいつも大きなインスピレーションになっている。それにジプシー・ジャズもね。その影響はこのアルバムの底のほうにあるんじゃないかな。
アリ:僕はいつもヒップホップ以外のものからインスピレーションを得る。ロックやオルタナティヴの歌詞は、必ずしも現実のことを歌っているわけじゃない。自分のラップにオルタナティヴの要素を採り入れることで、独自のスタイルを作り上げようとしているんだ。ヒップホップは大好きだけど、ホントにいろんなタイプの音楽を聴いているよ。ザ・ナショナルってバンド、知ってる?彼らの歌詞、大好きなんだ。ニュー・アルバム作っているとき、彼らの影響はあったと思うよ。
――ヒップホップのシーンもこの20年でずい分変わりましたが、共感を覚える若手アーティストはいますか?
アリ:最新のヒップホップはよく聴いてるよ。ロックとヒップホップを融合してるTwenty One Pilots、彼らのやり方は大好きだ。New Politicsも同じようなことをしていた。それにドレイクのアルバムは大好きでよく聴く。ミーク・ミルも好きだ。彼はヒップホップというよりスポークン・ワードが多くてユニークだ。ケンドリック・ラマーも詞をハードでアグレッシヴなヒップホップにしている。実験的なことをするアーティストがいっぱいいる。Childish Gambinoもそうだね。インスパイアされるヒップホップ・アーティストは今もたくさんいるよ。
――20年前、40歳を過ぎてもラップしている自分の姿は想像できましたか?
アリ:ハハ(笑)。音楽は大好きだったからね、自分の人生が音楽に影響されるのはわかっていた。でも、これだけ長い間やってこられるとは思ってなかった。すごくラッキーだと思っている。
――では20年後は?
アリ:イエスだね(笑)、歩行器使ってやっているよ(笑)。ああ、そう願っている。できるだけ長くやりたい。ダンが言った通り、友人とツアーをやるのはホントに楽しい。仲悪かったら最悪で、仕事って割り切らなきゃいけないんだろうけど、僕らはそうじゃないからさ。
ダン:いつもキャンプしてるみたいだよ。
――ダンに質問です。2013年バンドへ加入したとき、そうやって結束が固い仲間うちに入り込むのは難しかった?
ダン:いや、前から知っていたからね、そんなことなかったよ。何度か一緒にツアーやってて、仲良かったし、ゼブラヘッドのみんな、いい奴だから。
――プロデューサーのポール・マイナーについて教えてください。ダンの元バンド・メイトだったんですよね?
ダン:そう、20年くらい知ってるよ。いい友達なんだ。
――彼はどんなヴァイブをスタジオへ持ち込んだのでしょう?
ダン:ポールはすごくいいミュージシャンなんだ。なんでもプレイできるし歌も上手い。アイディアもいっぱい持っているし、レコーディングでのベストなサウンドってものもよくわかっている。ゼブラヘッドのみんなとも気が合ったし、みんなハッピーだったよ。彼は僕の友人だからね。友人連れて来て、それが最悪だったら僕のせいになっちゃうよ(笑)。僕までクビになりかねない。上手くいってよかった(笑)。
――日本のことを第二の故郷と言ってくれて嬉しかったです。日本でのオフはどんなことをして過ごしているのですか?
アリ:どこにいるかによるけど、20年の間30回以上は来てるからね、昔からの友人がたくさんいる。とくに東京にはね。今日もこれから彼らと会って食事するんだ。もうファミリーみたいなものだよ。だから第二の故郷のように感じるんだ。
――今回のMAN WITH A MISSIONとのツアーについて教えてください。彼らとはどうやって知り合ったのでしょう?
ダン:共通の友人がいて、彼らが(アメリカへ)来たとき一緒にビール飲んで、スタジオへ招待したんだ。ジャムしてみようってことになって、2時間だったかな、プレイしまくった。すごくいい連中だし、気が合って、曲作ろうぜ、ツアーやろうぜってトントン拍子に進んだんだよ。
――初めて会ったのはいつ?
アリ:2年前のサマー・ソニックだったかな、彼らのパフォーマンスを観て、すごいバンドだなって思った。ダンがずっと彼らに会いたいって言ってて、彼らがアメリカに来たとき実現したんだ。
――コラボした「Out Of Control」、すごくかっこいいですけど、どうやって誕生したのでしょう?
アリ:彼らがスタジオへ来て、2時間で90%できた。最高のソングライティング体験の1つだったよ。僕ら、そんなには他のバンドとコラボしないからね。夢のコラボだった。
ダン:みんな、それぞれアイディアを持っていて、そのほとんど全てを曲につぎ込んだんだ。ポジティヴな体験だったよ。
――狼たちとコミュニケーションを取るのは問題なかったわけですね。
アリ:なかったよ。ダンは大学で狼語を勉強していたんだ。だから、狼の言葉ペラペラなんだよ。
ダン:え?! ああ、そうそう、ペラペラ。ワハハハ!
――ジョイント・ツアーの初日(名古屋)はどんな感じでしたか?
アリ:すごいエネルギーで、観客はクレイジーになっていたよ。ほとんどがMAN WITH A MISSIONのファンだったと思うんだけど、僕らのことも歓迎してくれた。最後が特にクールなんだ。両バンドのメンバー全員がステージに上がって、“Out Of Control(抑えが利かない”状態でプレイする。僕らもすごく楽しいし、ファンも楽しんでくれたと思う。
――20周年を記念し、何か計画していますか?
アリ;僕ら、どの公演も楽しんでいる。このツアーも毎晩、パーティみたいになると思うよ。
――20年の間にはいいことも悪いこともあったと思いますが、バンドの危機はあったのでしょうか?
アリ:家族みたいなものだよ。誰かに辛いことがあったら、ほかのメンバーが寄り添う。20年の間、そういうことは数えきれないほどあった。でも、友達ならお互いを理解しサポートするのが大事だと思うんだ。いろんなことがあったけど、僕らはそうしてきたから続けて来られたんだと思う。
――そして、この先も安全地帯に留まらず、前へ進み続けるのですね?
ダン:そうしないとね。このアルバムで体験したことは楽しかったし、出来にも満足してる。だから、またやってみるよ。
――最後に日本のファンへのメッセージをいただけますか?
アリ:みんなには感謝してる。
ダン:ニホン、ダイスキ!
アリ:そう、ニホン、ダイスキ! 長年のサポート、ほんとにありがとう。またみんなとパーティするのを楽しみにしてるよ。
取材・文:Ako Suzuki
Photo by photo by Nobuyuki Kobayashi & Daisuke Sakai
ゼブラヘッド『Walk The Plank/ウォーク・ザ・プランク』
SICX-13 スペシャル・プライス\2,200+税
1.Who Brings A Knife To A Gunfight? / フー・ブリングス・ア・ナイフ・トゥ・ア・ガンファイト?
2.Worse Than This / ワース・ザン・ディス
3.Headrush / ヘッドラッシュ
4.Keep It To Myself / キープ・イット・トゥ・マイセルフ
5.Running With Wolves / ランニング・ウィズ・ウルヴズ
6.So What / ソー・ホワット
7.Save Your Breath / セイヴ・ユア・ブレス
8.Walk The Plank / ウォーク・ザ・プランク
9.Under The Deep Blue Sea / アンダー・ザ・ディープ・ブルー・シー
10.Wasted Generation / ウェイステッド・ジェネレーション
11.Battle Hymn / バトル・ヒム
12.Kings Of The Here And Now / キングス・オブ・ザ・ヒア・アンド・ナウ
13.Freak Show / フリーク・ショウ
14.Dance Sucka! / ダンス・サッカ!(日本盤ボーナス・トラック)
15.Down Without A Fight / ダウン・ウィズアウト・ア・ファイト(日本盤ボーナス・トラック)
16.Blue Light Special / ブルー・ライト・スペシャル
*M-6&8: DJサンタモニカ(MAN WITH A MISSION)ゲスト参加
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