【インタビュー】白獅子の貴公子マイク・トランプ、広大な大地に響く『Nomad』

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元WHITE LIONのシンガー、マイク・トランプが9作目となる最新ソロ・アルバム『Nomad』を完成させた。

◆マイク・トランプ画像

デンマークに腰を据え音楽活動を行っているマイクは、自身の考えに忠実に、さらなる音楽の探求を行い現代の遊牧民(ノマド)として世界ツアーとロックン・ロール・ライフを送ってきている。先日、3度目となるアメリカン・ソロ・ツアー(50ショー)を終了させたところだが、普段は訪れることのないカントリー・サイドまで足を伸ばしたことで、多くのインスピレーションを受けたという。そして2014年に発売したアルバム『Museum』に続くニュー・アルバムの制作に突入している。

「アーティストとしての自分とは何か?ということを示したアルバムだね。リスナーにはこれまでの自分とは少し違ったサウンドと感じるかもしれない。同じことをただ繰り返しやっていても進化することはできないと思うからね。そこには発展し、前向きなメッセージが込められているのさ。」──マイク・トランプ

アメリカでの経験と感性が明らかに反映された最新作『Nomad』は、まっすぐで自然な気持ちを音に託した広大で大らかなロック・サウンドだ。


──9作目となるソロ・アルバムがついに完成しましたね。

マイク・トランプ:このアルバムを、アーティストとしてとても誇りに思っているところさ。このスタイルに辿り着くまで、とても長い道のりだったことを再認識している。知識と経験を積み重ねて40年さ。

──アルバム・タイトル『Nomad』に込めた意味合いを教えてください。


マイク・トランプ:「ノマド」と聞いて、みんなはどんな意味かは知っていると思う。オレにとっては、自身の存在とどのようにして40年間、アーティストとしての生活を送ってきたかを見つめ直す意味合いがあるんだ。心に従い、心に問いかけてきたけど、ホームと呼ぶことの出来る一箇所に落ち着く場所をなかなか見つけることができず、ずっと動き回ってきたと思う。これまでもアルバムごとに居るべき場所を探し続けていたのさ。思うに「ノマド」とはその場所をようやく見つけたということさ。そして旅と音楽の終着点に辿り着いたのかもしれない。そう思ってこのタイトルにした。全曲を繋ぎ合せて「ノマド」になるのさ。

──あなたの音楽的なバックボーンを教えていただけますか?

マイク・トランプ:オレのことは十分に知っているだろ?(笑)フォークで育ってきたさ。ボブ・ディランやデンマークのフォーク・アーティストに影響された。母がエルヴィス・プレスリーやロイ・オービソンが好きでいつも自然に身体の中に入ってきた。それからシン・リジーやクイーンを聴くようになって大好きなバンドになったよ。他にもスレード、スイート、UFO、レインボーなんかにも夢中になった。それからより洗練されたアメリカン・サウンドに没頭するのさ。特にジャーニーのスティーヴ・ペリーにね。アーティストになると自身とバンドを磨き、オリジナルティーを確立するのに必死だったから、残念ながらファンとして他のアーティストをチェックすることがあまりできなくなった。でも今はルーツに戻り、大好きなクラシック・ロックをメインに聴いている。ビートルズ、ストーンズ、ツェッペリンなんかをね。でもボブ・ディランだけは別格。最も影響を受けたアーティストといって間違いないよ。

──あなたにとって「なくてはならない大切なアルバム」を5枚挙げるとすれば?

マイク・トランプ:1.BOB DYLAN『The Freewheelin'』/ 母がいつもかけていて心に刻まれたアルバム。
2.SLADE『Slade In Flame』/ 初めて購入したアルバム。今でも大好きな作品さ。
3.QUEEN『A Night At The Opera』/ “Bohemian Rhapsody”を初めて聴いたときには震えたさ。僕もアーティストになる!ってね。
4.THE ROLLING STONES『Exile On Main St』/ これは紛れもないロックン・ロールのシンボルさ。今でも古く感じることなくバンドが輝き続けているアルバム。ロック史においても重要な位置を占めるアルバムと言えると思う。
5.BRUCE SPRINGSTEEN『The River』/ ボブ・ディランの姿を発見できるね。

──現在のバンドのメンバーはどういうラインナップですか?


マイク・トランプ:『Nomad』は、プロとして素晴らしいミュージシャンを揃えて表現したアルバムさ。彼らはスタジオへ入ると自分が伝えたこと、聴かせたことを理解して、プレイすることができるプロフェッショナルなんだ。自身のエゴや個人的な好みを排除して忠実に表現してくれることができる。本当に素晴らしい連中さ。モーテン・ヘルボーンがドラム、ここ5枚のアルバムでプレイしてくれている。リンゴ・スターやチャーリー・ワッツ・スタイルのファンタスティックなドラマーさ。どんなメタルのドラマーよりも好きなプレイヤーだ。ジェスパー・ホガードがベース。彼はポール・マッカートニーの音楽学校で学び、自身のスタイルを確立している。でもオレの書いた曲をすぐに理解してくれるからありがたい存在さ。モーテン・バックホルツはハモンド担当。素晴らしいキーボードのスタイルを持ったプレイヤー。オレはまさに絵を描いていくようなハモンド・オルガンの音色が大好きさ。オーガニックだし、機械的ではなく、生き生きとしているテイストが素晴らしい。ソレン・アンダーセンはミュージシャンズ・ミュージシャンさ。プロデューサーとしても腕があり、信頼できる素晴らしい人物なんだ。

──WHITE LIONに関してですが、『Mane Attraction』をリリースした後、結局は何が理由で解散することになったのですか?

マイク・トランプ:OK、でも説明するにはとても長い話になってしまうよ。細かなことナシで簡潔に説明すると、いつからかバンド内の関係が次第に悪くなってしまい、空気も澱み、だれもが喧嘩さえしたくもない状況に陥ってしまった。原因はわからないけど、細かいことの積み重ねだと思う。特に悪いことのね。交渉することや和解するということも一切なかった。今思うと答えを出そうと急ぎすぎたように思える。その時はもっと話し合い、より深く考えるということもしなかったよ。全てが悪い方向に向かってしまったね。とても残念なことだけど、全ての楽曲を一緒に創り上げたヴィト・ブラッタとはそれ以来一切の交友関係がないんだ。25年が経過したけど、何も変わっていない。

──今でもライヴではWHITE LIONの曲をプレイしていますよね?

マイク・トランプ:ここ5年で、アコースティック・セットでWHITE LIONの曲をプレイしている。4枚のアルバムから自分で創った曲を選んでね。アコースティック用にアレンジしてフィットするようにプレイするのはとても楽しいことさ。原曲のメロディがとても活き活きと感じられるんだ。アコースティックでプレイしていい曲と感じることができるのは本当にいい曲という証明さ。

──現在、更なる夢と目標、ゴールなどはありますか?


マイク・トランプ:今はそんなに多くの夢は持っていないよ。個人的にとても事情がある生活を送っているからね(笑)。どこかで生活している自分の子供たち、そしてオレがどこにいるかもわからない子供たち。残念なことに今は彼らと一緒に生活を送ることができないのさ。正直、とても苦しい。でも、そんな気持ちが自然と音楽に反映して、エモーショナルになっているのだと思う。何も隠さない状況と感情がね。とにかくプレイし続け、アルバムを制作し、自身の表現をしていくということさ。バンドを新たに結成する予定はないけど、将来的に何かプロジェクトを行う可能性はあるかもしれないね。

──今後のスケジュールを教えてください。

マイク・トランプ:アルバム『Nomad』は間もなくヨーロッパとアメリカでリリースされる。そして大規模なヨーロピアン・ツアーをキック・オフする。そしてそのまま2016年のアメリカン・ツアーにつなげて行く予定さ。日本にも再び訪れることができたら素晴らしいね。今交渉中だよ。

──最後に日本のロック・ファンへメッセージをお願いします。

マイク・トランプ:再び日本の音楽シーンにもマイク・トランプの音楽を届けることができて光栄な気持ちでいっぱいさ。今でも1988年にWHITE LIONが日本へ行って、初めてのショウをプレイしたことを鮮明に憶えている。全てが成功に終わったこともね。1993年にはFREAK OF NATUREでも日本公演を実現することができた。これも憶えているさ。とにかく日本でのことはどれもが素晴らしい思い出になっているし、いろいろなストーリーがあったことを思い出すよ。日本のファンが新しいアルバムを聴いてくれると光栄さ。過去とは関係なくフレッシュで新しいスタートのような感覚で聴いてくれると嬉しいね。このアルバムは過去にとらわれることなく、今そしてフューチャーを見据えている。聴いてもらえればわかると思う。日本のロック・ファンのみんな、本当にありがとう!

マイク・トランプ『ノマド』


2015年9月16日発売
BKMY-1003 2,222円(税抜価格)+税
輸入盤日本仕様
1.Give It All You Got
2.Wait Till Forever
3.Counting The Hours
4.Bow And Obey
5.High Like A Mountain
6.No More
7.Stay
8.Who Can You Believe
9.Live To Tell
10.Moving On
Produced by Søren Andersen & Mike Tramp

メンバー
Mike Tramp – vocals, guitars
Søren Andersen – guitars
Morten Hellborn – drums
Morten Buchholz – Hammond B3
Jesper Hauggard – Bass
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