ラジオのようなプログラムから好きな曲を登録して自由に聴けるサービス「dヒッツ」
近年、インターネットの急速な普及により大きく変化を遂げてきた音楽業界。特に2015年に入り、「AWA」「LINE MUSIC」「Apple Music」といった音楽ストリーミング・サービスが次々と発表され、音楽に気軽に接する機会が増えている。その半面、いったい自分に合ったサービスがどれなのか? どこが違うのか? と疑問に思っているリスナーも多いのではないだろうか。そんな中、時代やデバイスの変化に合わせ数々の音楽事業を展開してきたドコモが提供するスマートフォン向け定額制音楽配信サービス「dヒッツ powered by レコチョク」が音楽ファンから注目されている。「dヒッツ」とはどのようなサービスなのか?
ドコモ本社にお邪魔して、コンシューマビジネス推進部 主査・下川淳子氏、コンシューマビジネス推進部・宮川聡氏のお2人にお話を伺った。
■dヒッツはラジオ型とオンデマンド型のハイブリッド
まず、dヒッツとApple MusicやLINE MUSIC等、他のストリーミング・サービスとの違い、魅力はひとことで言うとどこにあるのだろうか。
「dヒッツは、ひとことで言えば“新しい音楽と出会える”サービスです。他のストリーミング・サービスと違うところは、dヒッツはラジオ型のプログラムとオンデマンド型の「myヒッツ」を併せた「ハイブリッド型」と呼ばれるサービスという部分ですね。ラジオのように編成されたプログラムから、自分が好きなプログラムを選んで聴いていただいて、気に入った曲をmyヒッツに登録してもらうことで、いつでも自由に聴けるようになるんです。myヒッツには毎月10曲まで登録できてプレイリストを作成することができます。また、邦楽のラインナップが他に比べて圧倒的に豊富なところが強みですね」(宮川氏)
▲コンシューマビジネス推進部 主査・下川淳子氏
■J-POP主要アーティストのプログラムに人気が集中
楽曲の配信について、他のフルオンデマンド型と呼ばれるサービスは56%くらいしか許諾が下りていないのに対し、dヒッツはラジオ型のサービスであるため比較的許諾が得やすく、じつに86%の楽曲について許諾が下りているとのこと。そのためdヒッツでは他のストリーミングサービスでは聴くことができない邦楽アーティストの曲も安価で豊富に聴くことができる。また、新たなアーティストの発掘・育成にも取り組んでいるのだとか。
「dヒッツはラジオ型の番組で聴くだけに、そういった方々が気軽にどれを聴いても「ああ、この曲ね!」といったように、ストレスがたまらないようなみなさんが良く知っているJ-POPの楽曲を中心に揃えるというのがコンセプトに、音楽のライトユーザーの方々をターゲットとしています。サービスの形態によって許諾の差があるのですが、dヒッツのような所謂ラジオ型と言われるサービスの方が今のところは豊富に許諾が得やすいんです。特にJ-POPはその傾向がありますね。dヒッツでは、そのことによってJ-POPのラインナップを安い価格帯で且つたくさん聴いて頂けるんです。また、レコチョクさん、タワーレコードさんとドコモの3社が協力してインディ-ズ・アーティストやミュージシャンを目指す若い方の活動を支援する「Eggsプロジェクト」という取り組みを始めています。その中でオーディション企画を行って優秀なアーティストさんの楽曲をdヒッツでの配信もしているんです」(下川氏)
「アーティスト育成にも積極的に関わって行こうというのがドコモとしての音楽サービスに携わる上での姿勢ですので。「Eggsプロジェクト」は2014年まで行われていた「閃光ライオット」の後継フェスティバル「未確認フェスティバル」に協賛しておりまして、10代のインディーズ・アーティストを応援しています。音楽市場を盛り上げると同時にユーザーさんを獲得するというのがドコモの姿勢なんです」(宮川氏)
■myヒッツには年間120曲を登録できる
dヒッツのサービスの大きな特徴として、ラジオ型プログラムで聴いて気に入った曲をmyヒッツに登録することでいつでも自由に聴くことができ、毎月10曲が登録可能だ。しかし毎月10曲というのはちょっと少なく感じてしまう人もいるのでは?
「2014年4月にdヒッツの月額500円コースを開始したときにmyヒッツのサービスを始めたんですが、それからはお客様からご不満の声などは挙がっておりませんので、10曲で充分ご満足いただけているものと思っています。実際に毎月10曲というと、年間120曲になりますよね。それを考えると決して少なくないと思いますよ。毎月1枚CDアルバムを買うようなイメージをしていただければ、決して少なくないのではないでしょうか。年間12枚ですからね」(宮川氏)
「月額500円の中で10曲ですから、それだけでも1曲50円ですし、さらにラジオの聴き放題の部分もありますので、そこまで考えていただけると相当お得だと思います」(下川氏)
▲コンシューマビジネス推進部・宮川聡氏
■アニソンや演歌も充実
確かに、1曲50円なら相当安い。実際に曲を聴いてみたいけど、アニソンや演歌などの楽曲も聴くことができるのだろうか?
「アニソン好きなお客様向けのプログラムというのもご用意させていただいています。例えば、僕はよくツイッターでdヒッツについてどんな声があるのか見てみるんですけど、「こんなアニソンもあるんだ!?」という声も良く目にしますので、アニメファンの方にも喜んでいただけています。実際にキーワードとしてもアニメは頻繁に検索されていますので、これからも伸ばして行きたいと考えています」(宮川氏)
「演歌についても同様です。ただ演歌というくくりだけでなく、例えばカラオケで「1980年代に流行った曲」とか、年代別にまとめられているものがありますよね。ああいう感じで昔の歌謡曲も含めた演歌というものをちりばめて、幅広い曲をご用意させてもらっています」(下川氏)
■いま人気の曲をプログラムでオススメ
ラジオのプログラムは1000以上あるというので、それだけ幅広く色々なジャンルの楽曲を聴くことができそうだ。でも正直自分が聴きたい曲を探すのって結構大変かもしれない。
「自分で好きな音楽を探すのが苦手な方には、こういうラジオ型というのは向いていると思いますよ。なんとなくヒット曲を聴いておきたいとか、今話題のあの曲を知っておきたい、という人には「今こういう曲が人気ありますよ」というのをこちらからおすすめして聴いていただくというのが、私たちがターゲットとしているお客様が求めているところだと思いますし、dヒッツはそこを中心に設計していますので、おすすめのプログラムというのは全面に出すようにしています」(下川氏)
「1コイン500円という低価格も、そうしたリスナーの方にも簡単に気軽に曲を聴けるように設定した価格なんです」(宮川氏)
■約80%の楽曲で歌詞を表示
ヒット曲をいち早く覚えて、カラオケ歌いたいというリスナーの方も多いはず。dヒッツでは、そんな方にも嬉しい機能を備えている。
「全体の約80%の楽曲で、歌詞が表示されています」(宮川氏)
「やはりライトユーザーの方向けですので、カラオケの練習などに使っていただけるようにしています。じつはサービス開始当初は歌詞は入っていなかったんですが、使っているうちにより良い機能に改善して行く中で、特にライトユーザーの方は新曲を聴いてカラオケで歌いたいという方が多かったので、そうなると歌詞は絶対に必要だなということで追加したんです」(下川氏)
■「クリエイターズプレイリスト」であの人がおすすめするアーティストの曲を楽しめる
プログラムの1つとして、音楽業界をはじめ各業界で活躍するクリエイターによるプレイリストを公開中。
音楽評論家・萩原健太「恋と夕陽とアメリカンポップス」、片寄明人(GREAT3)「ロマンティックな洋楽」など、音楽に詳しいクリエイターがおすすめしてくれるアーティストの楽曲で新しい音楽との出会いを体験できるのも嬉しいところだ。
■ついに始まるfacebookとの連携
これだけ気軽にたくさんの曲を聴けるとなると、他の人も教えてたくなってしまうかも。dヒッツではfacebookとの連動も予定されているとのことだが、これはどういったものなのだろうか。
「実際に見ていただければわかりやすいと思います(実際にdヒッツのプログラムの中から曲を再生しながら)。こうして曲を聴いているときに、「この曲いいな」って思ったら、ボタンを押すとfacebook上でシェアされます」(宮川氏)
「これまではシェアするとタイムラインにバナーが表示されて、そこからリンク先のdヒッツのページに飛ばないと曲が聴けなかったんですが、9月上旬から開始されるのはそれより一歩進んだ連動で、シェアした曲が自分のタイムラインの中に出てきて、再生ボタンを押すことでそのまますぐに聴くことができる機能なんです」(下川氏)
シェアされた曲がタイムライン上で直接試聴できるというのは、国内初の機能なんだとか。その曲を気に入ったら会員の方はそのままdヒッツに行けば聴くことができ、もっと気に入ったらmyヒッツに登録すればいつでも聴くことができる。非会員でも1曲だけ欲しいと思ったときにはダウンロード型の音楽サービス「dミュージック」でDLして購入することが出来るのも、ドコモならではのサービス体系だ。ところで、新曲が出たらすぐに聴くこともできるのだろうか?
「新曲がリリースされるのは基本的に毎週水曜日ですが、ラジオ型では新曲の許諾も得やすいので、その週の水曜日に出る新曲はそのまま聴くことができます。その辺りもdヒッツだからできることだと思います」(宮川氏)
「それに、レコメンドという形でメルマガを定期的にお送りしています。ユーザーが以前聴いていたアーティストが“ゆず”だったとして、次にゆずの新譜が出るときにはメールでお知らせしたりもしています」(下川氏)
■手頃な価格でJ-POPの人気曲を中心に提供
訊けば訊くほど、気軽に音楽を楽しめる音楽ストリーミングサービスのdヒッツ。こうしたサービスが現在の形になったのも、他社に先駆けて新たな音楽サービスを提供してきた会社としての経験値があったからこそ。だからこそ、担当者のお2人も手軽に音楽と接することができるdヒッツをより多くの人に使ってほしいと願っているようだ。
「ドコモが音楽サービスを始めたのは2000年くらいからで、その頃はNapster(ナップスター)という洋楽中心のサービスをやっていたんです。1,000万曲くらいあって、値段は月額1,480円でやっていたんですが、そのときにやはり洋楽だけだと駄目だとか、金額も高価格帯だと無理だというのがわかったんです。そうした経験から、dヒッツは邦楽中心のラインナップで500円という低価格設計になっているんです。そこに関しては他社さんに比べて圧倒的な経験値があると思いますので、それを踏まえたサービスであることをご理解いただけたらな、というのがサービスを提供する側の想いとしてありますね」(宮川氏)
「dヒッツはお手頃な価格でみなさんが聴きたいようなJ-POPの人気曲を中心に提供するのがメインコンセプトです。ですからまずたくさんの人に聴いてもらって、お客さまの音楽体験の入口として「入門編」的に使っていただいてもありがたいなと思います。会員さまもおかげさまで増えて来ていますので、今後はみなさんが求める多種多様な楽曲を幅広く揃えていかなければと思っています。ただ幅を広げれば広げるほど、検索やおすすめもちゃんと実装していかないと探すのが大変になってしまいますから、プログラム、ページの見え方も工夫して行きたいと思って取り組んでいます。海外ではSpotifyをはじめとして聴き放題のサービスが中心になっていますけど、日本ではまだ、いわゆるサブスクリプションというものが今回Appleさん等で始まったばかりですから、今後どうなるのかというのも気になりますけど、そうした動きを横目で見ながら、dヒッツとしては今まで作ってきた基盤からお客さまと一緒にサービスとしても育って行きたいなと思っています」(下川氏)
「初回31日無料というキャンペーンも提供していますので、まずはお気軽に使ってみて欲しいなと思います。dヒッツって、僕らにとっては子供みたいなものなので(笑)。「うちの子どうですか?」という感じで成長を見守って行きつつみなさんにご利用いただきたいですね」(宮川氏)
■まとめ
今回お話を伺い、実際に使ってみてわかったのは、dヒッツは画面を開いたときに見るだけで楽しくなる「アーティスト」「恋うた」「ジャンル」など、豊富なプログラムを選んでボタン一つで簡単に再生でき、最新のヒット曲から懐かしい曲まで気軽に楽しめるのが嬉しいということだ。また、次から次へと曲が流れてくるラジオ型のプログラムというのも、意外な曲が飛び出してきたりして面白い。歌詞を見ながら新曲を聴いてカラオケで歌ってみるのも良し、お気に入り曲をmyヒッツに登録して自分だけのプレイリストを作って楽しむのも良し。生活の中に楽しさを運んでくれる音楽体験ができる充実した音楽サービス「dヒッツ」を、あなたもぜひお気軽に体験してほしい。
取材・文●岡本貴之
dヒッツの詳細
●1,000以上の音楽プログラムが定額500円で聴き放題
●毎月10曲ずつ「myヒッツ」に保存できる
●歌詞表示可能
●楽曲のほとんどは試聴が可能
●スマホ内のほかの曲もdヒッツで聴ける
【主なチャンネル】
●アーティスト
いま旬なアーティストのヒット曲を厳選
●新曲
発売されたばかりのJ-POP、洋楽の最新曲
●年代別
J-POP・洋楽の懐かしのヒット曲を年代別で
●恋うた
初恋、失恋、告白などなどラブソング専門チャンネル
●特集
最新ヒット曲特集から季節イベントまで
●キモチ
気分に合わせて選ぶ
●タイアップ
ドラマ主題歌、アニメ主題歌、CMソングなど
●シチュエーション
通勤・通学用、ドライブ用など、様々なシチュエーションで
●ジャンル
ロック、HIP HOP、R&Bなど、音楽ジャンル別の特集
【dヒッツ】
価格:500円+税
サービス仕様:ラジオ型+オンデマンド型のハイブリッド
視聴:1000以上の中から好きなプログラムを選ぶ(無制限にスキップ可能)
プレイリスト:月10曲、年間120曲Myヒッツ設定可能
新規:Facebookとの連携が可能(9月上旬(予定)より提供開始)
【利用方法】
●番組を再生
1.プログラムを選択
2.「PLAY」を選択
3.再生開始
●myヒッツで曲を再生
1.気に入った曲をmyヒッツに登録
2.その曲を再生
3.好きな順番に入れ替える