【インタビュー】石川智晶、新作『物語の最初と最後はいらない』で紡ぎ出される珠玉の“移ろい”

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■「ヘブンリーブルー」は千利休の話なんですよ。千利休について調べ始めたら、実は誰よりも武将的だった

――曲調もお洒落で小粋と対照的で、音楽的にもバラエティ豊かな新曲6曲が揃いましたが、7曲目からは『戦国BASARA』のタイアップ曲が続いて、ガラリと世界が変わる。

石川:やっぱり世界観的に新曲とミックスすることができなかったので、潔く後ろにつけました(笑)。で、7曲目の「ヘブンリーブルー」は今年7月に発売されたゲーム『戦国BASARA4 皇』のエンディングテーマなので新曲なんですけど、その後の「逆光」「落涙」「涙腺」の3曲は、今年1月にやった実験的“和モノ”ライブでのアレンジを元にセルフカバーしたものなんです。

――ああ。それで三味線や笛といった和楽器の音が足されていて、特典DVDには「逆光」「青の中の青」と、1月のライブ映像が2曲収録されるんですね。

石川:そうなんです。そのライブにゲームメーカーの方がいらしてて、「ぜひ音源化してください」と言われたんですよ。だから完全にライブ発信で、そういう意味では一番健全な成り立ちですよね。ただ、単純に“和楽器のプレイヤーを集めたらこうなりました”みたいな感じにはしたくなくて、ドラマチックであることを第一にアレンジしたので、それが11月に予定している“和モノ”ライブ第2弾に還元されればいいなと。ちなみに「ヘブンリーブルー」は千利休の話なんですよ。

――千利休!?  あの茶人の?

石川:そう。『戦国BASARA4 皇』に武将の新キャラとして千利休が出てきたんですね。で、T.M.Revolutionさんが担当されたオープニングテーマを聴かせていただいたら、全体的な世界観を書かれていたので、じゃあ、私は千利休についてだけ書きますと。それで千利休について調べ始めたら、実は誰よりも武将的だったんですよ! 政治にも精通しているし、美への追求といい、何も飾らずに削ぎ落とす潔さといい、もしかして私に一番近いんじゃないの?と気づいて。最終的には秀吉を茶会に招いたとき、庭に咲いていた朝顔を“アイツにこの美しさはわからない”と全部切り捨てて、一輪だけ茶室に挿したという逸話を使わせてもらいました。「ヘブンリーブルー」って朝顔の品種名なんですよ。

――なるほど。千利休だから“黙り込む器にくちびるつけて”というリリックがあったりするんですね。

石川:そうなんですよ。ゲームの中では戦地の中で茶席を設けたりして、常に茶が真ん中にあるんです。しかも二重人格という設定なので、歌の中でも自分の中の別人格に“お前だったらどうする?”という自問自答を繰り返していて。それって多重人格でなくても、誰もが覚えのあることじゃないですか。



――こうやって歌詞の裏の真意を伺うと、より楽曲が味わい深くなりますね。11月28日に日本橋三井ホールで行われる<時代モノ艶歌~好機到来>で聴けるのが楽しみです。

石川:はい。おそらく“和モノ”ライブはそれで終わりにしようかと。

――ええ! なぜ!?

石川:レコーディングしたことでお腹いっぱいになってきてしまったのと、基本的に『戦国BASARA』の楽曲が中心になってくるので、セットリストが限られてきちゃうんです。やっぱり無理やり感があるとダメなので、これが最終章かなと。翌日の29日にはアルバムを引っ提げた通常のライブもありますし、来年は新年明けにライブがないので、お正月にお酒を飲めるのが嬉しいですね。今年はライブが1月だったから、お正月の体調管理に気を遣ったんですよ。暴飲暴食できないし、それで今回は11月にしてもらったんです(笑)。

――そのお話を聞いていても、やっぱり石川さんは“物語の最後”のいらない方なんだなと実感します。完成形やゴールを求めていない。

石川:そうなんですよ! だからレコーディングが上手くいけば美味しい酒も飲むけれど、“だから何?”って思っちゃう。それで幸せになるわけでもないし、昨日と同じベッドで寝るだけ。物質的なところは何も変わらなくて、きっと人生の最後も達成感じゃなく“あ、やっぱりアレ残してやがる”とか思いながら死ぬでしょうね。でも、心の中は自由。自由であるために精神的なストレスを無くそうと嫌な人と会わないようにしたりして、そうすると必然的に孤独になるんだけれど、ホントに心の中だけは自由なんですよ。自由だから、やりたいときにやりたいことをやるし、生まれてくる歌詞も音楽も映像も感覚的だし。それに対して1から10まで説明を求められると、かなりめんどくさい。わからないなら“わからない”と言ってくれていいし、例えば今読んだら大泣きする小説も、中学のときはよくわからなかったとかあるじゃないですか? そこは素直でいいと思うんですよね。

――ただ、石川さんの作品って非常に哲学的かつ緻密に作り込まれているから、傍から見ると全て“頭で”理解しなくてはいけない!と思ってしまうんでしょうね。周りの方からすると。

石川:だから、本当はもっとアドリブのようにして曲を作りたいんですよね。ライブでもセットリストを決め込まないで、パッとやりたい曲をやる!っていうスタイルでも楽しめるんじゃないかなぁと。もちろん緻密にやるときはやるけど、ポン!と投げ出さなきゃいけないときもある。むしろ、投げ出すべきときに投げ出せるようにするための緻密であって、やっぱり最後はザツにしないと重くなっちゃうんですよ。

――となると、11月の2デイズ以降、2016年はどんな感じに?

石川:もうちょっと感情が揺れ動くような感じでやりたいですね。ライブにしても、例えば“アコースティックって、こんなに熱いの!?”って驚かれるくらいガツガツしたアコースティックをやるとか。ま、でも来年の私が、またどうなってるのかわかんないんですけど。

――“移ろいこそが生きていく物語”ですからね。

石川:そうそう(笑)。

取材・文●清水素子


ニューアルバム『物語の最初と最後はいらない』

2015年9月16日発売
DDCZ-2034 \ 3,240(税込)
<収録曲>
1. 物語の最初と最後はいらない
2. 兄妹~aniimouto~
3. 水のないプール
4. 数字
5. landscape
6. 物語の最初と最後はいらない~左目~
7. ヘブンリーブルー (PS/PS3「戦国BASARA4皇」エンディングテーマ)
8. 逆光2015~許されざる者ここにあり~ (「戦国BASARA 」New.Ver.)
9. 落涙2015~奪われし背中~ (「戦国BASARA 」New.Ver.)
10. 涙腺2015~蒲公英情歌~ (「戦国BASARA 」New.Ver.)
<DVD>
「時代モノ艶 歌〜好機到来〜」和モノLIVEから、2曲収録

★9/16発売「物語の最初と最後はいらない」をご予約お買い上げ頂くと店舗別にそれぞれのオリジナルポストカードが付きます!お渡しは商品をお引き渡し時です。
アニメイト、ゲーマーズ、タワレコ(新宿、横浜ビブレ、NU茶屋町、難波)各店舗、HMVオンラインにて。

<アルバム・リリース記念無料ミニライブイベント>
アルバムに同梱されるQRコードより参加申し込みを受け付けます。
LIVE当日はこちらのQRコードのついた応募用紙を必ずお持ち下さい。
【開催日時】
9月26日(土) 名古屋インターナショナルホール
開場13:30   開演14:00

9月27日(日) 大阪MUSIC CLUB JANUS
開場16:00  開演 17:00

10月2日(金) クラブeX 品川プリンスホテル
開場18:00   開演19:00

ライブ情報

<時代モノ艶歌~好機到来~VOL.2>
11月28日(土) 日本橋三井ホール
open 17:00 / start 18:00 ¥6,500(税込、1ドリンク付)

<裏窓からみえるモノ2015~残像~>
11月29日(日) 日本橋三井ホール
open 16:00 / start 17:00 ¥6,500(税込、1ドリンク付)
(※LIVE開始時間が前日より1時間早くなります)

チケットぴあ http://u111u.info/mFMj ローソン
チケット    http://l-tike.com/ (Lコード:76964)
イープラス http://eplus.jp/
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◆石川智晶 オフィシャルサイト
◆BARKS×TICKET DELI

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