【インタビュー】SCREW『昏睡』「バンド名通り、ネジれてる」
『昏睡』から4ヵ月、まさにそれと対を成しながらSCREWを次章へと推し進めていく新作ミニ・アルバム『覚醒』が完成した。「5人のSCREWは死んだ」とまで言い切っていた彼らだが、ここに詰め込まれているのは絶望や悲嘆、迷いではなく、明らかに未来を見据えたポジティヴな意志だ。今回も4人のメンバー全員に語ってもらうとしよう。
◆SCREW画像
取材・文:増田勇一
――『昏睡』があったからこその『覚醒』であり、『覚醒』を見据えていたからこそ『昏睡』があった、ということになるわけですが、すでに前作の時点でこの作品像というのは見えていたんでしょうか?
鋲:うーん。いや、感覚的に覚醒してはいましたけど、まだその世界は見えてなかったですね。
和己:曲を作る段階になってからですかね、ちゃんと覚醒ってものを意識したのは。実際、ある意味アバウトで漠然としたものじゃないですか。それをSCREWがどういうふうに形にすれば覚醒になるのかな、というのを考えながら曲を作っていったんで。その時点から、覚醒感が増し増しになってきた感じで(笑)。
鋲:僕も、歌詞を書きながら初めて理解していった感じではあるんです。やっぱり何か作業を始めるタイミングで見えてくる部分というのがあるんですよね。
マナブ:こうして作品ができあがってみて、「ああ、覚醒ってこういうことか」と思わされる部分もあります。やっぱりあらかじめテーマとして決まっていても、それは具体的じゃないというか。完成してみて初めてわかる、というのがありますね。
ジン:僕も正直、わからなかったんですけど、作りながら徐々に……。でも、やっぱり自分たちはポジティヴなことをやりたかったんだろうなって、今は言えますね。
――ポジティヴという意味では、『昏睡』を作っている時点ですでにそういうモードになっていたわけですよね? だからこそネガティヴな方向にも目を向けることができたわけで。実際、今まで曖昧だった覚醒という言葉の意味は、今、SCREWの辞書にはどんなふうに記されているんでしょう?
和己:どうだろう……。なんか印象に残ってるのは「OVER THE HORIZON」って曲の歌詞のいちばん最後の部分で。「眠りから目覚めた今」って言葉で終わってるんですけど、多分SCREWという辞書には、そこを参照と書かれてるのかなって(笑)。やっぱりこのテーマがあらかじめ決まってたことで、曲を作っていても、目覚めるような感じ、開花するようなイメージというのが頭のなかにあったし。研ぎ澄まされるとか、ひと皮むけた感じとか、そういうふうにもこの言葉は捉えられるし。ただ、そこでひとつの意味に絞り込むことをせずに、今の自分がやりたいことだとか、SCREWがやったらカッコ良くなるだろうなっていうことだとか、そういうものを詰め込んだ感じですね。だから僕のなかでの覚醒は、曲に出したつもりです。
――覚醒というのは、ただ生きているだけではなくてキッパリと目が覚めている状態。だからこそ曲を作るうえでも振り切りやすかったんではないかと思うんです。
和己:そうですね。『昏睡』の時よりも作りやすかったのは確かです、そういう意味では。
ジン:攻撃的に行きたいなっていうのはあったんで。『昏睡』が「5人だった時のSCREWが死んだ」っていう意味合いだったと考えると、今回はもうある種、一方通行でいいというか、後ろを向かない感じであるべきだと思えましたし。「これを聴け!」という感じであっていいはずだ、と。
マナブ:さらに楽曲自体が潔くなってるというか。自然にそうなってきたんで。最近、この『覚醒』のプレ・リリース・ライヴでもこの曲たちをやったりしてるんですけど、そういう部分がライヴでも現れてる気がします。
鋲:ライヴでのこの曲たちの手応えというのもなんか、すごく生き生きしたものに感じられて。『昏睡』では味わえなかったようなものがありますね。自然に曲を聴いて歌ってるだけで、なんか爆発力を感じるというか。飾らずに自分をさらけ出せる曲が多いんです。同じように激しさがあっても、『昏睡』の曲とはどこか違う。前回は、どこか冷めてる楽曲が多かったというか。やっぱ歌詞がそうさせてたんじゃないかと思うんです。今ひとつ行き切れない感じというか……。そのへんすごく、内面が変わったなと思っていて。
和己:なんとなくわかりますよ、変わってきたのが。ライヴでも「バラードが気持ちいい」とか、そういう発言が普通に出てくるようになってるんで。何かが鋲のなかで変わったんだろうな、と思いますね。
――ライヴでの『覚醒』の楽曲たちの、演奏面での手応えというと?
和己:1曲1曲の熱量が『昏睡』よりもずっと高いなと思いましたね。だから、やっていて楽しいです。難しい曲もあるんですけど(笑)。どうしても慎重になるところもあるんですけど、演奏するのが気持ちいい。あと最近、ライヴで使ってるギターを変えたりもしてるので、そういうところでの新鮮な刺激というのもあります。
ジン:攻撃的なので、気を抜くと曲に負けてしまいますね。自分の意識をちゃんと保ってないと表現できないなっていう曲が、実は結構多いんで。そういう意味ではもう、曲との闘いです。でも、それがうまいこと伝わった時には、聴いてくれる人たちにもパワーを感じてもらえるんじゃないかなって。
――ではここで、各収録曲について。まずは「FASCIST」。これはもうタイトルありきで作られたものかな、という印象がありますが。
鋲:いや、タイトルはむしろ後でしたね。曲を聴いて、「カッケえ!」と思ったので(笑)。そこですごく気持ちも高まったし、この4人での再生の第一歩として、僕がもっともっと悪いやつになって……それこそ独裁者になって、音を突き刺して制圧していきたいなって。そういう気持ちを込めたんです。すごく曲と相性のいい歌詞ができたというか。すごく攻撃的だし、セクシーなところもあるし、なんか自分が理想としてるキャラクターが詰め込まれてるなっていう感じもします。
――そういう歌詞が出てくるよう、原曲を持ち込んだ和己さんが誘いをかけたようなところも?
鋲:いや、逆に僕が誘ったかも。
和己:ああ、そうだね。一回目にこの曲を作ろうとしてた時は、2人が違うベクトルを向いてたんです。でも今回はそれが合致して同じ方向を向くことができて。二回目でやっと受け入れて、鋲の気持ちに応えられたというか。曲自体はノリノリなんですけど、軽快な感じというのとは違っていて。ライヴのオープニングってものをちょっと意識して作ってたりもするので、わかりやすく簡潔にした部分というのもあります。
ジン:ある種、機械的な感じが求められるというか。ドラマーとしても、感情がロボット的というか、無機質な感じで叩いてるところがあって。レコーディングだけじゃなくライヴでもそうですね。いい意味でガッチリとカタく、冷徹にという感じ。そういう印象です。
――ちょっとインダストリアル的な感触もありますもんね。マナブさんはどんな印象を?
マナブ:まさに1曲目に相応しいというか。力強くて、最初のデモを聴いた時からSCREWにぴったりの曲だと思ってましたけど、仕上がってからもその印象は変わらずで。タイトルとかも似合ってるなと思います。
――続いては「BREAK AWAY」。
和己:これはリフから作った曲で、いかにもギタリストが作った曲だなと自分でも思いますね。久々にこういう曲を作ったという印象があります。
――そういうものを作ろうという意識のもとで作ったんですか?
和己:そうですね。元々、ブラスト・ビートってものを取り入れたいなというのがあって、そこからリフも作っていって。一個一個、要素を積み上げていった感じですね。演奏してて楽しい曲ではあります。勢いも、パワー感も、いちばん強いんじゃないかなっていうくらいあると思います。
鋲:今までのSCREWだったら表題曲になってもおかしくない曲だと思うし、なんか時速300キロぐらいで走ってるような感じがしますね。もちろん何かに乗ってるという意味で(笑)。その疾走感が気持ちいい。歌詞については一言で言うと、決別するみたいな意味もあるんですけど。ホントにもう腐ってる自分とお別れして、新しい自分として這い上がっていくぞっていう気持ちを込めました。
――「満たされないから見下すの」という一節、ぐさりと来ました。
鋲:ありがとうございます。そう言いたくなるようなことって、常に転がってますよね(笑)。
マナブ:SCREWのライヴで、すごくテンションの上がる1曲目~2曲目の流れとか、そういう鉄板みたいなやつがいくつかあるんですね、いっぱい持ち曲があるなかで。なんかそれぐらいのテンション感が、この全6曲のなかでバシッとでき上がってるなという実感があって。実際、なかでもこの2曲は、最近のライヴでも冒頭に置いてやってきたんですけど、すごく爆発力があって、完璧な2曲の流れだなと。1曲目も大事だけと、2曲目も大事。
――ええ。1曲目の爆発力をどう受けるか。もしくはその爆発をいかに広げていくかが2曲目にかかっているわけで。
マナブ:その意味では、この2曲というのは相性抜群だと思います。
鋲:普段クールなこのマナブ君が、ライヴではこの2曲をゲラゲラ笑いながらやってるんですよ。
マナブ:ゲラゲラ笑ってはいないと思う(笑)。
鋲:でも、すげえテンション上がってるんだなと思う。
マナブ:笑ってはいないけど、気持ちは上がってます(笑)。
鋲:カッコ良すぎて笑いが出てきちゃうんじゃないですかね、きっと。
マナブ:だから、笑ってないって(笑)。
――ジンさんはこの曲では……笑ってますか?(笑)
ジン:笑うどころか演奏が大変なんです(笑)。ただ、大変だけどすごく楽しい。こういうビートは初めて体験したんで、ひたすら練習して頑張ったっていう感じですね、この曲を作りあげていくにあたっては。そういう意味ではすごく試練の曲です。でも、頑張った甲斐はあったと思います。
――そしてビデオ・クリップにもなっているリード・トラックの「OVER THE HORIZON」が次に控えています。
ジン:原曲は前作の『昏睡』の時点で、あるにはあったんですけど、その頃の選曲会の時に「これは『覚醒』のほうだろう」っていうことになって。そこから作りあげていったんです。ただ明るくて爽やかなだけの曲にはしたくなかったんで、細かいところについてはプロデューサーの岡野(ハジメ)さんと話しつつ、またメンバーにもいろいろアレンジしてもらって。結果、鋲の歌詞も相まって、ちょっと一風変わったSCREWらしい曲になったなあと思います。
和己:曲の印象は、初期段階から比べてもそこまで大きく変化してないですけど、いろいろ足されていった結果、“HORIZON!”という感じのものになりましたね(笑)。SCREWは結構、こういう曲は得意だったりする部分もあるんで。いい意味ですごく際立ってると思うんですよ、このアルバムのなかで。しかも、ちょっと違った見せ方ができたんじゃないかなというのがありますね。
鋲:このなかにあっては、すごくキャッチー。それをなるべく汚さず、曲の雰囲気を壊さず、日常の腐ったことを横目に見ながら……なるべく明るい印象は残したいなっていう気持ちで歌詞を書きましたね。
――確かに希望が残されている感じだし、攻めすぎてはいないというか。
鋲:そうですね。なんか、いわゆるリード曲であると同時に、『覚醒』というものをわかりやすい形で書きたかったんで。
マナブ:なんか、10年前に発売してても、10年後に出したとしても違和感なく聴ける曲なのかなって。時間が経った時に古く聴こえるのは嫌だなっていうのがあるんですけど、この曲はそうじゃない。すごく自分のなかでストレートでスタンダードな曲で、自分たちの見た目が変わってもやっていける曲だと思います。すごくなんか安心感がありますね。
――しかし、あの火を使いまくりのPV撮影は、暑かったんじゃないですか?
和己:暑かったです! 室内だし、しかも火がすごく近かったし。
――しかも薄着じゃないし(笑)。どうせなら冬に撮りたかったですよね。
鋲:火を使いたいって言いだしたことを、後悔しました(笑)。結構、昔からメンバー内でもそういう話をしていて。で、監督に「9周年のお祝いで火を使わせてくれ」と言って。ホントはもっと盛大なものをやりたかったんですけど、あれで充分過ぎるくらいでしたね(笑)。
――10周年の時はもっと使ってください(笑)。そして、続いては「NO PAIN,NO GAIN」。これもジンさんの原曲によるもの。
ジン:これもデモ自体は『昏睡』の時からあったんですけど、その時はイントロだとか全然形の違う状態で、なんか中途半端な感じだったんで、サビの雰囲気を全体的に広げて作り直していって。それこそポジティヴな未来感というか、疾走感のある仕上がりになったと思ってます。希望が見える感じにしたかったんで。
――そんな曲調に対して、「痛み無くして得るものは無い」という意味のタイトルそのままの歌詞が……。
鋲:基本的にタイトルは最後に付ける事が多いんですけど、この「NO PAIN,NO GAIN」と「ANESTHESIA」って曲は、この6曲のなかでは前半のほうで作業してたんで、まだ『昏睡』と『覚醒』の間をさまよってる感じでもあるんですよ。だから、行き切れてないっていうか。覚醒っていうよりかは、今までいっぱい痛みを経験してきたし、もうそろそろ覚醒を得られる時かな、みたいな。そういう曖昧な感じがまだあって。覚醒ってものに意識は向かっていても、まだ本体は手にしてないというか、まだ一部しか得ていないというか。そういうリアルタイムな感じが出てますね。
――この2曲の歌詞は『昏睡』から『覚醒』へと向かうプロセスというか、ドキュメンタリーのようなものでもあるわけですね。
鋲:そうですね。だから覚醒というよりも「昏睡じゃない」という感じですかね(笑)。
マナブ:この曲、最初はストレートでキャッチーなイメージだったんですけど、なんかクセモノの薫りもしていて。ストレート過ぎるのも違うのかなあと思って曲の終わり方とかも意味深な感じにしたかった。
和己:この曲は、ギターを弾いてて楽しいというか。ノリがつかみやすくて、スタジオでみんなで合わせた時もいちばん最初にしっくりきた曲だったかな。自然体で取り組めるというか、わかりやすいっていうのもあるかもしれないですね。結構ストレートに突き進んでく感じ、休憩がない感じの曲なんで(笑)。
――そして今の話にも出た「ANESTHESIA」。このタイトルは麻痺とか麻酔という意味だし、確かに『昏睡』と『覚醒』の中間地点であることがうかがえる曲。このバンドのダーク・サイドが出ているというか。
鋲:そうですね、うん。僕のなかでは当然『覚醒』を意識してるんで、ポジティヴではあるんですけど……やっぱりこれも「ネガティヴじゃない」という感じ(笑)。まあでも、曲に左右されてる部分がデカいかもしれないですね。ここでなんか歌詞だけ前向き過ぎても曲をぶっ壊してしまう気がするし。なんかちょっと、ドロドロさせたかった。
――このタイトルの単語が出てきたのはどんなところからだったんですか?
鋲:これもすごい曖昧な言い方ですけど、心の痛みを覚醒という麻酔で少しでも和らげたいなっていう……。そういう気持ちでしたね、書いてる時は。
――この曲についても原曲は前々からあったものなんですか?
ジン:いや、これは新たに作ったんです。鋲のさっきの話の流れで言うと、制作段階では僕のなかで覚醒しかけてるというか、這い上がってる感というのがあって……。
――つまり麻酔が醒めつつある状態ということになるわけですね?
ジン:そうですね。それで、ちょっと激しい曲ではあるんですけど、ストーリー性のある感じにしたくて、サビもああいう感じになったんです。それがいい世界観を醸し出して、うまくこの『覚醒』っていうアルバムに嵌まったなという気がしてるんです。
和己:これはサビだけを聴くとミドル・テンポな感じなんですけど、実は結構ノリノリというか、“押せ押せどんどん”という曲ですね(笑)。正直、覚醒前夜みたいな感覚というのは自分としてはなかったんですけど、ジンの原曲にもうちょっと自分の色を足したという形ですかね。イントロを変えたてみたりとか。あくまで曲に対して向き合った結果としてこうなった、というか。
マナブ:レコーディングの時とかは、ちょっとテンポ感的にも行き切れないというか、あくまでこの6曲のなかでの“途中の曲”という感じがしてたんですけど、ライヴでやってみると思ってた以上に乗れる曲で。そこですごい印象が変わったというか。自分のなかでの解釈としても、攻めの曲というふうに変わってきましたね。
――なるほど。そして最後を締めくくっているのが「RAY OF LIGHT IN THE DARKNESS」。これはちょっとエスニックというか、異国情緒の漂う曲。あの浮遊感のあるメロディからできあがってきた曲なんでしょうか?
和己:そうですね。元々オーケストラ・サウンドを入れたくて、ギターのアタックじゃないもの、というところから作り始めました。原曲をそのままグレード・アップさせてここの位置に持ってこれたという感じで。
――まさに『覚醒』のクロージングという位置を想定して作られた曲なんだろうな、と思えます。
和己:ええ。『昏睡』の最後に「REMEMBER ME」っていう曲があったんですけど、それに対抗するような曲を作りたくて、そこから始めて……。置き位置的にも同じところに置けてるんで、狙い通りといえば狙い通りですね。
鋲:歌詞も、曲に対する答えみたいな感じで。仮タイトルは「RAY」だったんですけど、5~6回ぐらい歌詞を書き直して。ちょうどイベント・ツアー中だったんで、機材車のなかだったりホテルだったり、家だったり……。そこで書いてると、ただ単純に明るい光の曲になりそうになって、全然自分っぽくないなというのがあって。で、ちょっとこれは歩いてみよう、と。しかも夜に出歩いてみたら、すらすらと歌詞が出てきて。だからこれは夜の光、月の光なんです。そこからそのモードにシフトしていったら、日常の暗い部分も歌ってるんですけど、それでもなんか未来を感じる終わりになっていって。僕のなかでは絶望で終わらなかったんで、それはイコール、覚醒してるってことだなって思えて。
――細かいことを聞くようですけど、夜歩いて、帰ってきてから歌詞を書くわけですよね?
鋲:いや、歩きながら(笑)。携帯持って、ぶつぶつ言いながら作っていくんです。頭のなかで歌いながら。なんか、嵌まりのいい言葉がどんどん出てきて。
――その途中、夜道で職務質問されなくて良かったです。
鋲:全然そういうのは(笑)。僕、怪しくないですから(笑)。
マナブ:すごく原曲の段階で、なんとなくこうなるんだなっていうのは見えてたんですけど、ギター的には元々あった浮遊感みたいなのをもっと足していきたいなっていうところで、時間をかけてアレンジすることができて。すごく自分としてもやり甲斐のある曲になりました。
ジン:ドラムだけで言ったらイントロとかサビとか間奏とかで、終始クラッシュ・シンバルで刻んでるんで、ラウドな感じでもあるんですけど、逆にそれが淡々としてるんで、なんか悲壮感が漂って、不思議な感じになりましたね。異国を感じるというか。変な意味じゃなく、ちょっと怖い曲というか。幻想的じゃないリアルな恐怖感というのが僕には感じられますね。
――こうして考えてみると、『昏睡』と『覚醒』は単純な明暗のコントラストじゃないというのが改めてよくわかります。やっぱりポジティヴでアグレッシヴで振り切った作風だとしても、そこに影が落ちていたりダークさや恐怖感みたいなものが伴うのがSCREWなのかな、という気がします。逆に言えば、ダークな世界にも光が差してくるのがSCREWらしさでもある。
ジン:そこはやっぱり……ひねくれてますよね(笑)。この2枚を作ってみたことで、いっそうそれは思いますね。各々が感じてる核となるものがあると思うんですけど、なんかこう長年やってきて、僕らはこういうバンドだ、激しいバンドだって言い続けてきたつもりではあるんですけど、なんか単純にそういうことじゃないんだなって。やっぱSCREWっていうバンド名通り、ネジれてるというか。王道で攻めようとしてないバンドなんだな、と思います。やっぱりその時々で方向性も変わったりするんですけど、核となるのはその邪道なところというか。それをなんか、ずっと貫いてる気はしますね。
――もしかして岡野さんからも「ひねくれてるね」とか言われました?
和己:いや、「素直ないい子たちだよね」って(笑)。でも、面白いなって思いましたね。聴いてると、やっぱその時その時の情景を思い出したりするんです。その時の感覚っていうのが曲にも歌詞にも入るもんなんだなって、改めて思わされた部分もあるし。なんかリアルタイムならではだなって感じて。まさに、生きてるって感じです。
――ミニ・アルバム2枚という流れも良かったのかもしれませんね。フル・アルバム1枚ができあがるのを待つまでもなく、自分たちでも今のSCREWの音をあまり時差なく体感できたということが。
和己:結果、それがいい形に繋がったのかなって思いますね。アルバムだったら多分、出てなかった曲というのもあるはずだし。実際、『昏睡』があったからこそ僕も今回の3曲を作ることができましたし。
鋲:僕的には、この2枚を作ったことですごい安心したというか。9年前に掲げた旗はまだ倒れてねえな、と思いましたね。まあメンバー・チェンジとかもあったし、4人になってからの時間を経てのこの作品ですけど……ホッとしましたね。ちゃんと生きてるんだなって実感できるというか。
マナブ:こうしてパンチ力のある曲ばかり6曲が集まって、そんな『覚醒』と、前に出した『昏睡』も一緒に持ってツアーに向かうわけですけど、それがどう混ざって、活かし合うのか、殺し合うのか……。それが今は、すごい楽しみですね。
――そういえば先頃、ブラジルに行ってきたんですよね? 初の南アメリカはどうでしたか?
和己:いや、実はブラジルには一泊しかしてないんで、全然ブラジル感がなかったんです。カタールでトランジットして、移動がだいたい片道30時間。1泊4日だったかな。だから、会場しか見てないんです(笑)。飛行機に乗ってる時間ばかりが長くて。でも、ファンの子の反応はめちゃくちゃ良かったです。
鋲:向こうに行く前に岡野さんに、「ラテンのリズムを習得して来い」って言われたんですよ(笑)。でも、まったくそんなものを感じられる瞬間はなくて。「ホントにブラジル?」って感じでしたね。行き先がブラジルだって言われてなかったら、どこに行ったのか気付かないレベルだと思います(笑)。
和己:わかるわかる(笑)。でもまあ、新鮮な経験にはなりましたよ。飛行機で地球一周できたんで(笑)。今回の経験はちょっと特殊なものでしたけど、今後、もっともっといろんなところでやってみたい気持ちはありますし。でもまずは、9月からのツアーが楽しみです。
▲『覚醒』初回限定盤Aジャケット画像
▲『覚醒』初回限定盤Bジャケット画像
▲『覚醒』通常盤ジャケット画像
2015年8月19日(水)発売
■初回限定盤A
¥2,870+税 / TKCA-74251
CD
01. FASCIST
02. BREAK AWAY
03. OVER THE HORIZON
04. ANESTHESIA
05. RAY OF LIGHT IN THE DARKNESS
DVD
01.“OVER THE HORIZON”Video Clip
02. “OVER THE HORIZON”Video Clip-鋲 Ver.-
03. “OVER THE HORIZON”Video Clip-和己 Ver.-
04. “OVER THE HORIZON”Video Clip-マナブVer.-
05. “OVER THE HORIZON”Video Clip-ジンVer.-
06. “OVER THE HORIZON”Video Clip-MAKING-
¥2,870+税 / TKCA-74251
■初回限定盤B
¥2,870+税 / TKCA-74252
CD(初回限定盤A・B:同一内容)
DVD
<SCREW 9th Anniversary LIVE『NEVERENDING BREATH』>(2015.4.19 EDGE Ikebukuro)
01. Death’s door
02. ANITYA
03. REMEMBER ME
04. DEEP SIX
05. DIE・KILLER・DEAD
■通常盤
¥2,500+税 / TKCA-74256
01. FASCIST
02. BREAK AWAY
03. OVER THE HORIZON
04. NO PAIN, NO GAIN(※通常盤のみに収録)
05. ANESTHESIA
06. RAY OF LIGHT IN THE DARKNESS
◆SCREW オフィシャルサイト