【ライブレポート】aiko、<LLR7>ツアー完遂。熱すぎるZepp Tokyoに「蜃気楼が見える…」

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aikoの全国7都市25公演にわたるライブハウスツアー<Love Like Rock vol.7>(以下LLR7)が、8月11日に東京・Zepp Tokyoにてツアーファイナルを迎えた。

◆aiko 画像

ツアー開始から約4ヶ月を経て、最初の公演地だったZepp Tokyoに戻ってきたaiko。観客との距離も近いオールスタンディングのこのステージで彼女が見せてくれたのは、<Love Like Rock>ならではの尋常でない熱気にあふれたパフォーマンスだった。

会場に満員になったファンが見守る中、ステージの幕に<Love Like Rock vol.7>のロゴが映し出され、1曲目はシックな「雨は止む」でライブスタート。紗幕に映る雨の描写をはじめとした練り込まれた演出、そしてステージ中央でスポットライトを浴びるaikoの姿に隅々の観客まで一斉に惹きつけられる様は、Zepp Tokyoというライブハウスながらアリーナ公演に通ずるスケール感を感じさせる。続く「染まる夢」では一転、バンド隊と共に刻み付けるようなリズムで会場にエンジンをかけた。

4曲目のテッパン曲「ボーイフレンド」でaikoはいよいよ花道へ。会場の大きさを問わず、ライブでは一人一人の顔を覗き込むように歌う場面が必ずあるaikoだが、この日の「ボーイフレンド」歌唱時もファン一人一人の顔を確かめながら歌っているように見えた。会場はクラップと共にサビの大合唱になり、にわかに熱気が吹き上がってくるのが滲み出す汗からもダイレクトに感じられる。


序盤からの強烈な熱気に「暑すぎるわ。暑すぎる。さっきからクーラー強にしてもらってるけど、涼んできたらまた歌うわ。そうしよ」というaikoのトークから、この日のMCはやや長め。ライブ中にメガネを落とした観客と拾った観客を「(二人とも)LINEやってる? LINE交換し」と関西弁で結び付けたり、以前のZepp公演で遭遇したお坊さんとおぼしきファンについて「歌ってる最中にaikoを拝んでいる。何か唱えてるねんずっと。私もそれ見て手を合わせたら(相手が)成仏したみたいになった」というエピソードを語るなど様々な面白エピソードで会場のファンたちを笑わせた。「ここから熱くなるかもしれへんから、覚悟しといてや」というコメントには会場から一斉に喝采と拍手があがる。

「ひと夏のアバンチュールを楽しんで。ライブが終わった後の夜も一緒にいられますように」という紹介から入った5曲目は「すべての夜」。3拍子の穏やかなリズムにのってアコギの伴奏から徐々に音を加えつつ、最後に生バンド全体で奏でるサビが何ともゴージャスな印象だ。エレキギターの明るく爽やかなリフをバックに切ない歌詞が刺さる「透明ドロップ」を経て、メロディはロックなのに歌詞はこれ以上ないほど恋愛ソングな「エナジー」と、それぞれ別方向に光っているメロと歌詞を見事に結びつけるaikoのソングライティングの妙を感じさせる中盤であった。

また、中盤MCでは<LLR7>仙台公演での遠征のあと、帰宅したaikoが自宅の鉢植えから30本位のキノコが生えているのを発見したという衝撃談もあらためて話題になった。aikoオフィシャルtwitterへのキノコ報告直後からファンの間でも話題になっていたが、aikoは「なんか家じゅうキノコが生えたと思っている人もおるみたいやねん」とその後の波及ぶりも報告。鉢植えのキノコの大量発生ぶりが“あまりにキモくて”aikoが写真をアップしなかったため、話が大きくなっていたようだ。ちなみに現在はキノコは無事に全て抜かれているとのこと。

そして話題は先日開催が発表された3年ぶりのフリーライブ<Love Like Aloha vol.5>にも。前回は3万1000人ものファンが集まった野外ライブなだけに、aikoは「ほんともーチビるぐらい緊張するねんな」と今からファンに開催への緊張をうちあけ、ファンからは応援する声が次々に飛んだ。


後半に入り、ライブはミディアムテンポで跳ねるピアノの旋律とaikoの歌声のハーモニーが心地よい「シャッター」から「ぬけがら」へ。後半戦では「男子! 女子! そうでない人! メガネ! コンタクト! 裸眼! レーシック! 全員!」というaikoの弾丸煽りから最新シングル曲「夢見る隙間」でスウィングのきいた洒脱なパフォーマンスへとなだれ込み、「あたしの向こう」で花道を歩くaikoの顔にランナーズ・ハイにも近い笑顔が浮かぶ。

「ジェット」で金テープが撃ち出され、会場内にすっかり充満した全員の汗と熱気が室内に雲を生み出しかけている中、ファンの手に掴まれた金テープがキラキラと乱反射する。観客とのコール&レスポンスを交え、ここまでライブを引っ張ってきたaikoは熱すぎる観客席を見回しながら「蜃気楼が見える…」と思わずコメント。最後は真夏らしく「花火」を披露してライブ本編を締めくくった。


aikoと彼女を支える“aikoチーム”が、完全燃焼ともいえる勢いを見せたのはここから。aikoはこの日、アンコールに「ドライヤー」含む3曲を披露したあとダブルアンコールで花道先のセンターステージから魔法のようにポップアップし「さよなランド」「帽子と水着と水平線」の2曲を披露。ダブルアンコール終了後にはファンからライブ中に「見たい!」とリクエストがあがっていた<Love Like Aloha vol.5>の開催告知も上映された。さらにaikoは体力の限界に挑戦しながらトリプルアンコールを敢行。「be master of life」など追加3曲を披露し、ファンへの感謝の思いをぶつけきった。1曲でも多く彼女の歌を聴きたいと願うファンに対して彼女ができる、シンプルかつ強烈な、またツアーファイナルならではのサプライズだったといえるだろう。

「みんなのおかげで無事に最終日を終えることができました。終わってしまうのはすごい寂しいんですけど、今日のこの時間のことは絶対忘れません。またこの会場やどこかで歌えますように、その時も同じようなこういう時間が作れますように、みんな本当にこれからも、力を貸してください。最後まで今日は本当にどうもありがとうございました」── aiko

春から始まった<LLR7>はこうして真夏の熱狂とともに完走をみた。そしてaikoはこの夏の締めくくり、8月30日にサザンビーチちがさきにて3年ぶりの野外フリーライブ<Love Like Aloha vol.5>を開催する。

写真:岡田 貴之

セットリスト<Love Like Rock vol.7>2015年8月11日 Zepp Tokyo公演

1.雨は止む
2.染まる夢
3.陽と陰
4.ボーイフレンド
5.すべての夜
6.透明ドロップ
7.エナジー
8.ボブ
9.milk
10.トンネル
11.シャッター
12.ぬけがら
13.夢見る隙間
14.あたしの向こう
15.運命
16.ジェット
17.花火
<アンコール>
EN1.ドライヤー
EN2.舌打ち
EN3.恋愛ジャンキー
<ダブルアンコール>
EN4.さよなランド
EN5.帽子と水着と水平線
<トリプルアンコール>
EN6.愛の病
EN7.鏡
EN8.be master of life

<Love Like Aloha vol.5>

8月30日 サザンビーチちがさき
野外フリーライブ

◆aikoオフィシャルサイト
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