【ライブレポート】THE ORAL CIGARETTES、ワンマンツアー最終日に「ヤバい!!めっちゃ楽しい!!」

THE ORAL CIGARETTESが7月18日、大阪･なんばHatchにて＜THE ORAL CIGARETTESのワンマンツアー｢唇ワンマン JAPAN TOUR 2015～おまたせBKW!! 9ヵ所行脚でエリア拡大、改めまして｢ジ｣オーラルシガレッツです!の巻｣＞のファイナル公演を開催した。

◆THE ORAL CIGARETTES 画像

この日はTHE ORAL CIGARETTESというバンドの生き様をまじまじと魅せつけられた一夜であり、それはそれは人間臭く、情念の深いバンドだということを痛感させられるステージがそこにはあった。9か所を巡る初の全国ツアーのなか、4月の公演以来2度目となるなんばHatchでのステージ、そして地元関西でのファイナル公演ということもあって、会場には多くのファンが駆けつけた。

2010年の結成からわずか4年、2014年7月にメジャーデビューを果たした彼ら。アグレッシブなライブパフォーマンス、メロディアスな楽曲に組み込まれた卓越したバンドサウンドで人気は上昇の一途であり、今や若手ロックシーンにおいて外すことのできないほど勢いを持った実力派バンドだ。しかし、順風満帆に見える彼らの姿の裏には、“ぬるま湯に浸かっているんじゃないか”“このままでいいのか”など、葛藤や悩み、そして悔しさにあふれていたことをステージで吐露していた。同世代はもちろん、目の前に立ちふさがる先輩や後ろから次々に名を上げていく後輩バンドたちの存在……。切磋琢磨、刺激のある日々といえば簡単だが、振り落とされないよう必死に足掻き苦しんでいたのだろう。

さらに本ツアー中にボーカルの山中拓也(Vo&G)が喉の不調を訴え、ステージに立つことさえ恐怖に感じる日々があったという。それでもデビューから1年、バンドのテーマである｢番狂わせ｣に幾度となくブチ当たりながらもその度に壁を打破し、いくつものライブやフェスのステージを経て実力を高めてきた。そしてライブを重ねるごとに募る、ファンに対する絶えることのない感謝の気持ち。その全てを糧にし、ツアーファイナルという記念すべきこの日、4人は気迫に満ちたステージでオーディエンスを魅了した。

「GET BACK」から始まったステージは、瞬発力高く放った楽曲に会場の熱が早々に上昇気流を描く。憂いがあり艶のある山中の歌声は喉の不調を一切感じない。なんならより迫力を増しているように感じるほどだ。｢モンスターエフェクト｣｢N.I.R.A｣と、歌謡曲にも似た哀愁漂うものから、スリリングかつアグレッシブなダンスナンバーまでジャンルを越えた多彩な音楽センスで次々に楽曲を披露していく。

タイトながらバンドの柱を支える中西雅哉(Dr)が会場を足元から揺さぶり、艶っぽさを感じる鈴木重伸(G)の緻密なメロディ、スタイルも放つリズムもヤンチャなあきらかにあきら(B)、そして山中の歌声。4人それぞれの音が互いを煽り、曲数を重ねる毎にグルーヴが増していく。彼らのライブではお馴染みの“キラーチューン祭り”では、｢STARGET｣｢mist...｣と破竹の勢いでアッパーなナンバーを連発していく。

ライブも後半へと進むなか、「ヤバい!!めっちゃ楽しい!!」と屈託のない笑みを浮かべる山中の表情から、この日のステージに向けた自信が確信へと変わっていくのを感じとれた。その確信は新しい作品でもひしひしと感じ取ることができる。フェス会場での販売に先駆け、先日の東京からライブ会場限定で販売がスタートしたシングル｢カンタンナコト｣だ。緩急するどく矢継ぎ早に展開していくサウンドに、人が持つ陰な感情を臆することなく表現したリリック。先に綴った、デビューからこれまでに得た体験の中、改めて“自分の棘を出すこと”を決意したという楽曲である。全てに対して戦いを挑み、牙を向いていくことを誓った彼らにとって、いまは高みしか見えないのだろう。

MCで山中は、「ツアーで感じたことを(ファイナルの場に)置いていきたかった」と話していたが、この日のライブはこれまでに培ってきた実力を証明する場でもあり、これから先の飛躍を約束する場所でもあったはずだ。本編ラスト、｢エイミー｣では支えてくれたファンに感謝の気持ちを歌にして応える。ライブができることのうれしさや、目の前に集まり、応援してくれるオーディエンスたちがいる喜び。バンドが生命を宿し、息づく瞬間を目の当たりにしたようで多幸感にあふれたフロアからは涙する者も少なくなかった。

アンコールを含む全20曲、2時間30分を越えるツアーファイナルの幕が閉じて。すべてを出しきり、あっという間に終わってしまったと話す4人は、もう次のステップへ向け歩みを始めている。この夏も彼らは全国各地のフェスに出演することが決定している。シングル「カンタンナコト」を手に、まだ見ぬオーディエンスに、そして他バンドにガチンコ試合を挑む彼らの姿をぜひとも見届けてほしい。

撮影◎Viola Kam(V’z Twinkle Photography)




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