【インタビュー】丸本莉子、いつもの景色が違うものに見えてくる柔らかな“大丈夫”が耳に響く「ココロ予報」
●自分を4年間ずっと支えてくれた大切な曲『ココロ予報』
──『ココロ予報』は上京後すぐに作った曲ですか。
丸本:上京して1ヵ月くらいのとき“雨のち晴れ”をテーマに気楽な気持ちで作った曲を、プロデューサーさんの前で歌ったんです。そしたら「こんなんじゃダメだから、3日後に3曲作ってきて」って言われまして。
──大変ですね。
丸本:それまでは曲を作るのも1ヵ月に1曲とかだったんで、3日で3曲ってホントにしんどくて。なんとか2曲はできたんですけど、もう1曲のサビが全然できなくて。できないって泣いても、発表する日はやってきて。それで「もうどうにかなる!」と思って、サビは即興で歌ったんですね。そしたらその即興で歌った曲が「いいね」って。
──努力が報われてるのかどうか、微妙な気持ちになりますね(笑)。
丸本:そうなんです(笑)。でも「メロディーはいいけど、歌詞は直してきて」って言われて。またそれからが大変で、何度書いてもずっとボツ。「いや、まだカッコつけてるよね。それじゃダメ。ありのままの自分を書いて」って言われてノート3冊分くらい書いて、やっと「負けそうです、もう帰りたいです、でも私の夢はそんなものには負けない」っていうところに辿り着いたというか。
──上京直後は心細かったですか。
丸本:すごく。まず一人暮らしに慣れなかったですし。東京にさえ行けば何かあると思ってたけど、何もなかったし。地元の友達も親戚も東京にはいなかったんで、本当に孤独でした。派遣社員として仕事に行って、帰ってきて曲を作ってという毎日で。「もう帰りたい」ってお母さんに電話したりして、ホントにこんときはよく泣きました。苦しかった。
──そういう気持ちを素直に書いたのが『ココロ予報』だった。
丸本:はい。そうやって本当の自分をありのままに歌詞にするのは、初めてだったんです。でも今回、この曲をメジャーデビュー曲としてリリースするにあたって、ちょっと歌詞を変えました。上京直後の4年前に書いたときは、もう自分に向けて書いて歌うのが精一杯だったので、もう少し広く聴いてもらえるようにしたいと思って。
──一度完成させた歌詞を変えるのは大変ではなかったですか。
丸本:すっごく大変でした。正直、最初はイヤでした。4年間ずっと歌ってきたホントに大切な曲で、自分自身を支えてくれた曲だから。でもだからこそ、たくさんの人に聴いてほしいっていう想いも強くて。なかなか気持ちの整理がつかなかったんですけど、「4年後の丸本莉子」だと思うことができたので。
──歌詞のテーマなどは以前と一緒ですか。
丸本:そこは、基本的には変えていません。4年前、東京には何もなかったし、曲作りにもいろんな人の意見が入ってきて、ある意味、好きなだけじゃ絶対にやっていけないっていうのを初めて知って。その夢と現実の差を歌詞にした感じだったんです。でもこの4年で、何にしても同じだなと思うようになって。人それぞれ環境や状況や目指してるものは全然違うけれども、何かに躓いて諦めそうになったときに、「でも頑張ろう」って思う気持は絶対みんな一緒だろうなって思うんですね。だから、4年前に自分のために歌った気持ちを、同じように感じてる人達にも共感してもらえるような歌にしたいなって。今回はそんな気持ちで書きました。
──それは作詞をするときに、いつも心がけていることですか。
丸本:そうですね。普通のことを歌ってるんだけど、聞いた人に「あ、そういえばそうだよな」って思ってもらいたいので。だから、ちょっとこう忘れがちなことを歌詞にしたいな、っていうのはいつも思ってますね。
──メロディー作るときは、何からスタートすることが多いですか。
丸本:曲にしたいことを頭全部で想像して、そこでこういうときには、こういうメロディーが流れるかなってイメージして作ります。ラブソングを作りたいと思ったら、幸せな恋愛なのか、失恋なのか、片想いなのか、みたいに的を絞っていって。そのときの気持ちを想像しながら、どんなメロディーが合うかを考えていくというか。
──自分の気持ちにサウンドトラックをつけるような感じですか。
丸本:そうそう、そんな感じです。でも最近はメロディーから作ることが多いんで、ちょっと時間が経ってから歌詞をつけることもけっこうあって。そうなると片想いの気持ちをテーマに作ったメロディーだけど、そこに恋愛じゃなくて夢をテーマにした歌詞が乗ったりすることもあります。
──それは問題ないんですか?
丸本:そういうときはメロディーを作ったときのテーマを忘れます。メロディーに関しては、自分でも納得いくキャッチーなメロディーができたところで完結しているので。最初のイメージは忘れて、歌詞を書いていけますね。ただ、そこに歌詞がついてしまうと、それを変えるのはちょっとキツです。
──ということは、歌詞が入った段階で曲がフィックスされてしまう。
丸本:はい、思い入れが出てきちゃいます。
──『ココロ予報』のときは、どんなイメージでメロディーを作っていきました?
丸本:“雨のち晴れ”っていうテーマからイメージして作っていきました。“雨のち晴れ”って言っても、すごく幅広いじゃないですか。ただ単に雨のち晴れっていうこともあれば、苦しい雨のち晴れ、上手くいかないときの雨のち晴れ、みたいな。でもバラードにしたいっていうのはあって、あとキャッチーなメロディーにしたかったですね。♪雨が~降れば~って、繰り返しながらメロディーが上がるのがいいなとか思っていましたね。
──ボーカルに関しては、どうでしょう。何かポリシーみたいなものはありますか。
丸本:ありますね。自分にしかわからないことかもしれないですけど、歌詞からイメージされる映像を思い浮かべながら歌えないとダメなんです。それがないと、歌に気持ちが入ってないっていうのが自分にはわかるんですね。でもそんな細かいとこまで他の人はわからないから、「よかったよ」って言われるんですけど、私は納得いかなくて「もう一回やらせてください」って言う、みたいな。
──映像が浮かんで歌ったものと、そうでないものとでは全然違うんですか。
丸本:全然違います、自分では。しかもそこに音程とか息遣いとかの要素も入ってくるから、レコーディングはすっごい難しいです。
──全部納得しないとイヤですか。
丸本:イヤなんですけど。こだわればこだわるほど、歌えば歌うほど、声に元気がなくなってくるわけで。だからもう、練習ですよね。いいタイミングでパッと歌えるようになれるのは。今はまだ、なかなか難しいです。
──ところでいよいよメジャーデビューですが、やはり気持ちが改まったりしますか。
丸本:はい。ずっと目標にしてたのがメジャーデビューなので。2015年の目標もメジャーデビューだったし。それからまだ6ヵ月しか経ってないのに、すごい環境が変わったことに驚いてます。それこそまさに“雨のち晴れ”で、未来って何があるかわからないなって。だから、ちゃんと結果を出してたいっていうのがありますね。自分の想いを出した曲も書くけども、みんなが共感する、みんなが歌いたくなる曲っていうのも大切にしていきたいなって思います。
──それが丸本さんが歌を作られるときに、大事にしていることですか。
丸本:そうですね……。何かを感じられるような、意味のある歌を歌っていきたいです。たとえくじけそうになっても、そっから立ち直っていく、それでも頑張るっていう、何かプラスになることを書いていきたいなっていうのがあります。
──そしてこの8月には2ndシングル『やさしいうた』がリリースされますね。
丸本:この曲はちょっと泣きそうになるくらい、映像を思い浮かべて歌えたので。『やさしいうた』をやさしく歌えたと思います(笑)。当初は家族をテーマに書いた歌詞を、大切な人をテーマに視野を広げて歌詞にしようっていうことで書き直したんですけど。『ココロ予報』以上に葛藤しまくって書きました(笑)。その甲斐あって、いいものになったんじゃないかと思ってます。
──さらに9月にはミニアルバム『ココロ予報~雨のち晴れ~』もリリースされるので。これからどんどん忙しくなりそうですね。
丸本:そうですね。今は『やさしいうた』のレコーディングが終わってひと息ついているところなんですけど。でも伝えたいことは、たくさんあるので。曲も作っていきたいし、ミニアルバムの制作に向けて頑張りたいなと思っているところです。
取材・文●前原雅子
リリース情報
【iTunes Store】https://itunes.apple.com/jp/album/-/id1011717765
【レコチョク】http://recochoku.jp/song/S1001850961/
【mora】http://mora.jp/package/43000005/VE3WA-17465/
2015年8月19日(水)2nd 配信シングル「やさしいうた」
2015年9月16日(水)1st ミニアルバム「ココロ予報~雨のち晴れ~」(予約受付中)
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