【ライヴレポート】geek sleep sheep、yukihiroと山口のツインドラム実現「対決ってことで!」
geek sleep sheepが、東名阪ツアー<tour geeks 2015>の大阪公演を5月30日、梅田クラブクアトロにて開催した。同ツアーは各会場ごとにゲストアーティストを迎え、対バン形式で行われるもの。各地それぞれカバー楽曲をセットリストに組み込むという企画も行われており、People In The Boxを迎えたこの大阪公演では、“80’s UK”をテーマとすることが事前告知されていた。
◆geek sleep sheep 画像
3ピース同士の対バンとなったこの日、People In The Boxのステージからライヴがスタートした。下手から波多野裕文(Vo&G)、福井健太(B)、山口大吾(Dr)とほぼ横並びのおなじみのステージセットは迫力を感じさせ、そこから放たれる豊かで鮮やかなバンドアンサンブルがオーディエンスを夢中にさせる。会場限定シングルから、聴く者の体を自然に揺らす「数秒前の果物」、波多野の神秘的なピアノリフと優しい声が心地好い「きみは考えを変えた」を届けた後は、“80’s UK”カバーへ。
「なかなかカバーをやることはないんですけどね」という波多野の言葉に少し間を置いて、「ん? ちょいちょいやってきてるよ?」とツッこむ山口。「あ、ジャミロクワイとかね。もう百戦錬磨ですよ」(波多野)、「ハードルを上げるな!(笑)」(山口)というやりとりが会場の笑いを誘ったところで、3人はThe Police「Message in a Bottle」のカバーを届ける。波多野によるピアノの音と繊細な歌声が楽曲の哀愁度をより高め、サビの“Message in a Bottle”という印象的なフレーズもとても魅惑的。Peopleのまた違った凄み、演奏の底力を感じさせるカバーだった。
「今日は鼻声です」とMCで話した山口は、続けて「あいつらマスクとかして体調悪い“風(ふう)”にしてるけど、全然元気なんじゃね? 俺たちのこと、騙してんじゃね?」と百々が楽屋で語っていたことを明かした。それについて「百々さーん、本当に風邪をひいてます!」とステージ袖に向かって呼びかけたが、「geek sleep sheepとの対バンを心待ちにしていた」という3人はラストに向けてさらに勢いを加速させる。「聖者たち」「球体」と、洗練された音をオーディエンスに浴びせるように聴かせ、ステージを後にした。
geek sleep sheepのステージは、yukihiroのカウントをきっかけにスタート。「ハロー! 大阪!」という百々のかけ声に大きな歓声が沸いた後、ハードなサウンドと突き抜けていくようなメロディーが会場に解き放たれる。オープニングナンバーはオーディエンスの熱をじわじわと上げていくような、幕開けにふさわしいロックチューンだ。
「<tour geeks 2015>へようこそ!」とオーディエンスに挨拶をした百々は、「2ndアルバム『candy』、いい感じのアルバム。皆さんも聴いてくれていると思うんですけども、ギターをバキバキに歪ませてレコーディングしたので、このへん(前列あたり)の方は耳鳴りがするかもしれません」と宣言し、アルバム収録曲を続々と披露していく。
中盤、今ツアーで実施するカバー企画について話を始めた百々は、People In The BoxがThe Policeをカバーしたことに触れ、「今日、彼らはリハーサルでThe Policeの曲をあえてやらなかったんですよね(笑)」と明かした。「完全に俺らに対抗意識を燃やしているのか、手のうちを明かさなかったんですよ。だから、たぶんマスクも嘘だなって。“Peopleたいしたことねーな”って思わすためにマスクしてたんだなって……そう、345ちゃんが言ってました(笑)」とユーモアたっぷりに話す。仲睦まじい両バンドだからこそのエピソードで会場を和ませた後は、「僕らはEcho And The Bunnymenというバンドの曲をやろうと思います」と、3人はEcho and the Bunnymenの代表曲である「The Cutter」をプレイ。キャッチーなギターフレーズ、アグレッシヴかつ安定感抜群のビートで、体も心も踊らせてくれた。
百々と345の和やかな掛け合いトークで届けられた恒例のグッズ紹介“ジャパネット345”コーナーを間に挟み、後半もロック好きのツボを突きまくるナンバーが高らかに響く。345と百々の歌声の交差、豪快にうねるギター、美しい旋律、緩急鋭いリズム……彼らが鳴らす音楽は未知の体感。geek sleep sheepのサウンドは確信に満ちたものとして鳴り響き、満員の梅田クラブクアトロを魅了した。
そして、アンコール前。その転換時には、People In The Boxの山口のドラムが運びこまれ、会場からは「おっ?」という期待の声があがった。そして、歓声が強まるなか、geek sleep sheepの3人が再びステージに登場。百々が7inchアナログ「feedback」の売れ行き好調の感謝を述べつつ、収録曲のLove and Rockets「MOTORCYCLE」のカバーについて触れた。
「この「MOTORCYCLE」は、ツインドラムなんですよ。レコーディングではyukihiroさんが2回録っていて、それをL・Rで出してる。でも、あまりにも正確すぎてツインドラムに感じないかもしれないけどね(笑)」
こうレコーディング手法を明かして、オーディエンスを驚かせた。そして「せっかくアンコールでやるので、People In The Boxの“大吾マン”とやろうかな」という発言に会場が大歓声でこれに応えた。
ワクワクムードが漂う中、セッションを前にして百々はyukihiroに「(山口はyukihiroにとって)弟子になるのかな? ……あれ? そんなことない?」と確認。まさに現在、yukihiroのソロプロジェクトacid androidのサポートドラマーを務めているのが山口であり、yukihiroから直々にドラム指南を受ける間柄でもあるのだ。しかし、yukihiroは百々のこの問いかけに笑顔で首を縦に振る。すると、場内から笑いが起こった。そしてステージに呼び込まれた山口は登場早々、「yukihiroさん、俺、弟子じゃないんですか?」と少し焦りを見せながら、再度確認。yukihiroはやはりニコニコ笑顔で首を縦にコクリ。ガックリと残念そうな山口の様子が、また会場の爆笑を呼んでしまった。
「MOTORCYCLE」の演奏に入る前、キックを要求した百々に、yukihiroと山口が力強い重低音を返した。「じゃあ、2人のバーサス(対決)ってことで!」と百々が声を上げ、いよいよ「MOTORCYCLE」へ。ダイナミックなサウンドが瞬く間に会場を圧倒し、そのエンディングにはyukihiroと山口が交互にドラムソロを披露するというスペシャルなシーンも。これにエキサイトしたオーディエンスは、拳を突き上げ歓喜する狂乱の様相がフロアに描かれた。応戦するように展開された2人のドラムソロは、先ほど“弟子ではない”と答えたyukihiroだったが、山口のドラムさばきを優しい笑顔で見守る。その姿はまさに弟子を見守る師匠のよう。また、yukihiroのドラムソロを見つめる山口も手を高く上げて拍手する様子を見せ、オーディエンスの心を温かくさせた。
思わぬサプライズに会場は興奮しっぱなしのまま。アンコールラストナンバーを演奏したメンバーは「おやすみ」と言葉を残してステージを去り、その姿を見守る観客からは惜しみない拍手が送り続けられた。
東名阪ツアー<tour geeks 2015>は6月7日、赤坂BLITZ公演でファイナルを迎える。ここではストレイテナーをゲストに迎え、“90’s UK”カバーが披露される予定だ。2バンドのカバーのセレクトはもちろんのこと、大阪公演のような化学反応的サプライズにもご期待を。
取材・文◎寺地理沙
■<tour geeks 2015>
w/ヒトリエ 開場 18:30 / 開演 19:00
[問]サンデーフォークプロモーション 052-320-9100
2015年5月30日(土)大阪・梅田クラブクアトロ
w/People In The Box 開場 17:00 / 開演 18:00
[問]キョードーインフォメーション 0570-200-888 (全日10:00~18:00)
2015年6月7日(日)東京・赤坂BLITZ
w/ストレイテナー 開場 17:00 / 開演 18:00
[問]DISK GARAGE 050-5533-0888 (平日12:00~19:00)
※各会場、高校生以下は学生証提示で当日会場で500円のキャッシュバックを受けることができる学割サービスを実施!
■<confusion bedroom vol.4 with candy>
開場17:00 / 開演 18:00
チケット料金:¥4,300(税込)※入場時ドリンク代500円必要
※高校生以下は学生証提示で当日会場で500円のキャッシュバックを受けることができる学割サービスを実施
(問)DISK GARAGE (TEL) 050-5533-0888 (平日12:00~19:00)
■2ndアルバム『candy』
【初回限定盤(CD+DVD)】VIZL-815 ¥3,800(+tax)
【通常盤(CD)】VICL-64341 ¥2,800(+tax)
1. kaleidoscope (Words & Music : kazuhiro momo)
2. feedback (Words & Music : kazuhiro momo)
3. planet ghost (Words & Music : kazuhiro momo)
4. night cruising (Words : kazuhiro momo, yukihiro/Music : kazuhiro momo)
5. rain song (Words : geek sleep sheep/Music : kazuhiro momo)
6. floating in your shine (Words : 345/Music : kazuhiro momo)
7. lost song (Words & Music : yukihiro)
8. happy end (Words & Music : kazuhiro momo)
9. Addicted (Words & Music : kazuhiro momo)
10. Candy,I love you (Words : kazuhiro momo, yukihiro/Music : kazuhiro momo)
11. kakurenbo (Words : kazuhiro momo/Music : yukihiro)
12. color of dream (Words : 345/Music : kazuhiro momo)
-BONUS TRACK-
MOTORCYCLE(初回限定盤のみ収録・LOVE AND ROCKETSのカヴァー)
<初回限定盤DVD>
1. kaleidoscope(Music Video)
2. feedback(Music Video)
3. hitsuji(LIVE at LIQUIDROOM)
4. Weekend Parade(LIVE at LIQUIDROOM)
■7inchアナログ「feedback」
HRS0010 ¥1,700(+tax) ※500枚限定
http://www.hmv.co.jp/news/article/1503200054/
■「kaleidoscope」先行配信
●レコチョク http://recochoku.com/v0/geeksleepsheep/
●mora http://mora.jp/package/43000005/VE3WA-17387/
ほか各主要サイトにて配信中
◆geek sleep sheep オフィシャルサイト
◆geek sleep sheep オフィシャルFacebook
◆geek sleep sheep オフィシャルTwitter
◆ネットラジオ『geek sleep sheepの真夜中にお腹が空いたら』
◆geek sleep sheep オフィシャルグッズ購入ページ
この記事の関連情報
【インタビュー】yukihiroが語る、2023年の音楽履歴とPetit Brabanconの新境地「インダストリアルな曲を作りたかった」
geek sleep sheep、6年ぶり始動
リーガルリリーたかはしほのかとPeople In The Box波多野裕文の弾き語り2マン開催
リーガルリリーの対バンイベントに、People In The Box、崎山蒼志が出演
GRAPEVINE、対バンツアー開催中止
日暮愛葉、ニューアルバムでGuruConnect、後藤正文とタッグ。新曲「Je t’aime」公開
tacica、THE NOVEMBERS、People In The Boxが7年半ぶり合同ツアー
People In The Box、16都市巡るアルバムリリースツアー開催
People In The Box「かみさま」MV公開、撮影・編集は波多野裕文