【ライブレポート】WONWOO、KとJの境界を破壊するモンスター
2015年5月6日に日本デビューアルバムとなる『awaken』を発売したシンガーWONWOO(ウォヌ)が、5月21日(木)大阪BIGCATでワンマンライブ<solo live 2015 awaken>を開催した。
◆WONWOO画像
1983年韓国生まれのWONWOOは、抜群の歌唱力とダンス能力・優しく暖かな人柄で人気を得て、2004年に大手芸能事務所Media Lineと専属歌手契約を結び2005年に「幸せな懐かしさ」をヒットさせた。多数のコンサートでも活躍後、アルバム・ディレクターやヴォイス・トレーナーとして後進の育成にも力を注いできた実力派で、WONWOOの生徒達には、K-POPアイドルとして第一線で活躍する歌手が多数存在する状況だ。そんな彼らが新たに2014年から拠点を日本に移して活動を開始、いよいよ本格的に暴れはじめることになった。
満席の会場では、冒頭にゆかりの芸能人たちのメッセージ映像が次々と流れた後、デニムのDsquared2上下を着こなしてWONWOOが登場となった。先行シングル曲「It`s over」のイントロが流れる中で早くもスタンドUP状態だ。「カッコいい~」と姫達の騒めきの中にあっても、WONWOOの歌声はメリハリがあって良く通る。
カッコいいだけのエンターティナーとおもいきや、WONWOOの大阪弁のMCが会場を爆笑の渦に巻き込む。こと笑いに関しては手厳しい大阪の観客だが、わずか一言二言でボケとツッコミの間合いを巧みに操りながら客席との距離を縮めていく。。そして単身で日本へ乗り込んだ「息子をよろしく」と両親が登場、笑いと人情で会場はファミリー的雰囲気に包まれた。本当のところは、ライブで両親を安心させたかったのだとか。
和んだところでカバー曲コーナーへ突入したが、これがWONWOOがモンスターぶりを発揮する。まずステージの真ん中に彼一人が座ってアカペラ体制をとり、客席からのリクエストに即興で応えるというスタイルで惹きつける。「なんかジュークボックスみたいにすぐ出るで~」と、レイニーブルー、ワンモアタイム、歌うたいのバラード、ストーリー等の一節でリクエストを漏らさず返して行く。まるでスティーヴィー・ワンダーを思わせるような響きも、WONWOOの原点がR&Bにあると知れば納得できるもの。最後にバンドを交えエリック・クラプトンの「Wonderful Tonight」でとどめを刺し、K-POPという一言では語れない魂の入ったパフォーマンスを見せつけた。さらにもうひとつのカバーがなんと美空ひばりの「お祭りマンボ」だ。初めてのチャレンジに「これメッチャ発音速い!」とボヤキを入れながらも難なくこなし、J-POPを超えて演歌の領域に迫りくる勢いだ。
続いてゲストのラッパーSPHEREが登場し、アルバムから「リハーサル」を掛け合いで披露、多彩な交友関係のなせる聴き応えのあるコラボ曲をみせてくれた。その後再びノリの良い若手実力ダンサー達を従えて、歌とダンスのエンターテインメントに撤しながら、アルバム曲を次々とたたみ掛けてくる。ダンスは歌のバックに留まらない作品の一部だ。いくつものライブを共にする深い絆から一体化した世界観が構築され、クライマックスでは大勢のキッズダンサーも登場し、大団円を迎えた。次世代へ熱い眼差しを向け後進育成にも力を注いできた彼ならではのステージだ。
会場を熱く燃え上がらせったWONWOOに、K-POPもJ-POPもない。地球グローバル化時代に降臨したモンスターだ。
撮影:タコジロウ