【ライブレポート】日本のポップスで初。長谷川きよし、清水寺で奉納コンサートを実施。
5月14日(木)に京都の清水寺にて、長谷川きよしが<清水の舞台奉納コンサート・心震える時>を開催した。
清水の舞台という特別なパワースポットで、こういった日本のポップスのコンサートが開催されるのは初の試みであるという。当日は、一般の参拝客が閉門となる18時からセッティングを開始し、20時にはスタートするという慌ただしいスケジュールとなった。しかも開場受付のタイミングで雨が降り出すという天候であったが、スタート前には雨がピタリと止み、むしろ魂が洗い流されたようなすがすがしい雨あがりの空気の中、コンサートは始まった。
まず、清水寺の大西英玄氏による講話からスタート。もともとこの奉納コンサートは、長谷川きよしの新曲「心震える時」が、「命」の大切さをうたった歌であり、この歌を清水の観音様に奉納したいという長谷川の想いから端を発している。その想いがさまざまな人の共感を呼んで、輪は広がり、このたびの実現に結びついたという経緯を持つのだ。大西氏からも、「生きていくということは、自分自身と向き合うこと、そしてこれまで生きてきたすべての出会いを縁と考えること」という、意味深い話も行われた。
法要勤修のあと、いよいよ長谷川きよしのコンサートへ。1曲目は、ご存じ「Over the rainbow」。長谷川のアコースティック・ギターと歌声のみというシンプルなステージながら、清水の舞台から長谷川の生命力にあふれた伸びやかでしなやかな力強い歌声が、清水を取り囲む山々へと吸い込まれていくようであった。デビューから45年を経て、ここに至るまでの話を織り交ぜながら、デビュー曲の「別れのサンバ」や、18歳の時に初めてシャンソン・コンクールで歌った「そして今は」など、長谷川のヒストリーを感じさせる選曲が並ぶ。
このコンサートのきっかけとなった「心震える時」は、ひときわ力強く演奏された。また京都に移住して4年になり、京都という古都をこよなく愛する長谷川ならではの「祇園小唄」に続いて、このコンサートのために新たに書き下ろした新曲「千年の都」をお披露目し、詰めかけた200人の観客を魅了していく。
ラストは、「心震える時」「千年の都」と同じく、作詞の長谷川孝水との共作となる「夜はやさし」で全10曲のコンサートは終了。ところが拍手は鳴りやまず、再びステージに登場し、「ダニー・ボーイ」のアンコールで約1時間半のステージは幕を閉じた。「命の意味を改めて見つめ直す」というメッセージとともに、その場を共有したすべての観客やスタッフの心が浄化されたかのような、特別な奉納コンサートであった。