【インタビュー前編】バトル・ビースト、メイン・ソングライター脱退の危機
フィンランドの“ヘヴィ・メタル戦闘獣”バトル・ビーストが2015年4月、3度目の来日公演を行った。2013年の<LOUD & METAL MANIA>での初来日、2014年の<ラウド・パーク14>への参戦、そして今回の単独ライヴと着実にステップアップを図ってきた彼ら。最新アルバム『アンホーリー・セイヴィアー』も絶好調だが、来日直前にギタリストのアントン・カバネンが脱退したというニュースが入ってきた。
◆バトル・ビースト画像
メイン・ソングライターでありプロデューサーだったアントンを失いながらも、女性ヴォーカリストのノーラ・ロウヒモはそれが「前進のための苦しみ」だと語る。前後編に分けた来日インタビューで、ノーラはバトル・ビーストが不滅であることを高らかに宣言した。
──毎回、日本を訪れるたびにライヴの規模がアップしていきますね!
ノーラ・ロウヒモ:バトル・ビーストをやっていて嬉しいのは、ライヴを観に来た人が楽しんでくれて、次に同じ都市でプレイするときに、友達を誘ってきてくれることね。そして彼らがまた別の友達を誘って、私たちのステージを楽しんでくれる。私たちは3枚のアルバムを出してきたけど、まだ始まったばかりだと思う。<ラウド・パーク>では朝10時半の出番だったけど、既に大勢のお客さんがいて驚いたわ。ヨーロッパだと午前中は誰もいなくて、午後になってようやく集まってくるのよ。ステージに上がるとすごく大きな歓声が上がって、アドレナリンが一気に出てきた。良いショーだったと思うわ。だからもっと演奏時間が欲しかったわね!もっと日本のオーディエンスの前でプレイして、いろんな曲を聴かせたかった。だから今回単独ジャパン・ツアーが実現したのは、最高の気分だったわ。
──そんな勢いに乗っている状況で、アントン・カバネンの脱退という事件が起きましたが、どんな事情があったのですか?
ノーラ・ロウヒモ:アントンとはアーティスティックな面でも、人間的な価値観でも、違いがあった。私たちは長い間それを解決しようとしてきたけど、彼がそれを望んでいなかった。最後のヨーロッパ・ツアーでは5週間、まったく口もきかない状況だった。彼と一緒にやっていくことが不可能だと確信せざるを得なかったわ。最終的にバンドを解散させるか、彼に辞めてもらうか、選ぶしかなかったのよ。全員にとって苦しい決断だった。特にユッソ(・ソイニオ/ギター)とプル(・ヴィッキ/ドラムス)にとっては、ハイスクール時代からずっと一緒にやってきたアントンと袂を分かつのは辛い決断だったと思う。でも、バンドを応援してくれるファンのためにも、我々は進んでいくべきだと思った。その瞬間は苦痛だったけど、今では全員がポジティヴに音楽に向かい合っているし、正しい選択だったと信じているわ。