【連載】中島卓偉の勝手に城マニア 第34回「岡山城(岡山県)卓偉が行ったことある回数 8回くらい」
(C)国土画像情報(カラー空中写真)国土交通省
城の作りにもたくさんの魅力がある。城の背にある旭川を天然の堀とし岡山駅に向ってなだらかに丘が下っている。実にゆったりとした丘に城は建てられているのがわかる。なので平城かと思いきややはり平山城のくくりだろう。石垣も城主が変わる度に作りたしていったこともあり、場所によって野面積み(ブルーハーツ)打ち込みハギ(ハイロウズ)切り込みハギ(クロマニヨンズ)といろんな顔が垣間みれる。
城マニアのポイントとしては、内堀の外、県庁やNHK、近隣の駐車場などの小道や壁を見るとまだまだ石垣が隠れた状態で残っているのがわかるのだ。その石垣の上に建物が建てられていたりする。全部壊さずともそのまま使ってしまおうということになったんだろう。こういうのはマニアにとって見所の一つである。
城の縄張りも当時はかなり横広で、現在道路になっている「城下筋」が内堀、さらに城の外を走る「柳川筋」が二十日堀という堀だったのである。日本全国、元は掘だった場所が道路に変わってしまってるケースは多い。この二十日堀は二人目の藩主小早川の殿様がわずか二十日間で作らせた(完成した)というところからこう呼ぶようになったとのこと。実に粋な話である。
そして何よりの魅力、それは「後楽園」だろう。日本三大庭園の一つである。水戸城の偕楽園、金沢城の兼六園、そして岡山の後楽園だ。後楽園から眺める岡山城天守は美しい。江戸時代に入り、戦もなく平和な時代が続く中で、池田氏が建設したのが後楽園である。戦国時代ではこんな娯楽の建築は考えられなかったであろう。1687年から14年かけて建てられたそうな。この庭園には権力からなる威嚇は感じられず、平和な江戸時代だったからこそ建てられた雰囲気が伝わってくる。今もこれだけ綺麗に維持出来てることに拍手だ。まさに日本三大庭園なわけである。だがこの三大庭園の中で一番イケてる城は、絶対に岡山城だ。天守の眺めに涙が出る。
市内の岡山ラーメンも本当に美味い。駅前に岡山発祥の桃太郎の銅像があるが、私が権力者ならこの銅像を甲本ヒロトさんに立て直し、そして後楽園で薔薇を栽培しまくって「情熱の薔薇園」などおっ始めるであろう。
電車でちょっと足を伸ばせば倉敷だ。ここで美術館巡りをして、レトロなカフェがたくさんあるのでお茶をしばいて、あとは倉敷が生んだ名投手、名監督、星野仙一さんの博物館を拝みに行く、これ鉄板だ。
言ってしまえば岡山県は岡山城だけではない、日本一小さな2層の天守が残る備中松山城、そして個人的には津山城もお勧めだ。
小学生の低学年、親父の運転するマツダのハッチバックの青いファミリアで初めて岡山に来た。着いたのが夜中だったせいもあり、市内のホテルを探していたら暴走族が現れ、進む方向が同じだったこともあってそのまま連なって走っていたら後ろからパトカーが来て、「そこの青い福岡ナンバーの車!止まりなさい!」と言われてしまうはめに。
親父は引きちぎれんばかりにサイドブレーキを引き、お巡りさんが来るより先に車を降りパトカーに歩いて行き「一緒にすんじゃねえ馬鹿野郎!この車のどこが暴走族なんだ!」とお巡りさんを激怒。だが泊まるホテルの場所を教えてもらったらしく、腹立ってんだか有り難かったんだかよくわからない表情で車に戻って来た親父。教えてもらったそのホテルに着くと、まさかの予約が取れてないとのこと、もう一度そのホテルの場所を聞いて確認すると別館だということがわかった。
怒りがおさまらない親父はマニュアルのクラッチを力一杯踏み込みながらエンジンをかけて言った
「ったくどいつもこいつも!」
兄貴と私は自分達まで怒られていると思い込み、ホテルの部屋の窓から天守閣が見えたがその晩は寝付きが悪く、翌朝岡山城を観光したが眠過ぎて正直初めての岡山城観光は良く覚えていない。まさに「部屋と暴走族と私」もしくは「部屋と暴走族と親父」
この場合岡山県に平松愛理はいっさい関係ない。
ああ、岡山城、また訪れたい……。
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