【インタビュー】Mardelas、歴戦の強者4人が世に問う驚愕のネオ・ヘヴィメタル『Mardelas I』

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■喉から血を流すようなレコーディングでしたが歌がガツンと来る
■この時代、自分を押し出したものが勝ちだと思うんですよ。


――『Mardelas I』は、事前にシングルを聴いたり、「Eclipse」のミュージック・ビデオを観たりした人の期待に大いに応えつつも、聴き手が想像していなかったであろうスタイルの曲も入っていますね。

マリナ:変化球はちょっと入れました(笑)。全体の構想も早くからだいたい見えていたんですけど、実は「Eclipse」と「Amnesia」は最後に出来上がったんです。そこでまた広くなったところもありますね。

樹京:最終的に足りないのは何かということを考えて、バラードと、一番速いテンポの曲があってもいいんじゃないかと思ったんですね。自分には珍しく、まずオケから作ったんです、「Eclipse」に関しては。

マリナ:それ以外のものはライヴでやっている曲もちらほらあるので、何となくイメージは描けていたんですけど、これだけじゃちょっと面白くないかなと思ってできたものが、予想を超えた、振り幅としても手応えのある感じになったんです。オケは私と樹京の二人で8割方作るんですけど、プリプロではhibikiとYumiさんにもアレンジに参加してもらって、残りの2割をすごく詰めたんです。そこで全体の構成も一から見直して。この段階で化けた曲もいっぱいあるし、ホントに4人で作ったアルバムだなという印象ですね。

樹京:そうですね。デモの段階でのベースとかは、ルート弾きのものをhibikiに投げているんですよ。何か指定するわけでもなく。そこに素晴らしいフレーズをつけてくれる。幅が出ましたね。hibikiも冗談では言うんですよ、「この曲はルート弾きなんですね」とかって(笑)。

hibiki:いや、僕はホントはそうしたいんですよ。でも、性格的にラクな仕事はできないみたいですね(笑)。

樹京:できたものが、これですからね(笑)。信頼できるベーシストですし、すべてを出してくれたと思います。

hibiki:いやいや、曲に合わせてということですよ(笑)。リハでも毎回、弾くことが違うし。飽きっぽいんです。何曲も同じプレイをしたくない。でも、当初想定していたよりも、随分と濃いアルバムになりましたね。音は増えたし、音は増えたし、いっぱい音は増えたし(笑)。それから何より絶唱に次ぐ絶唱ですよ、やっぱり。喉から血を流すようなレコーディングだったらしいですけど、歌がガツンと来る。人によって好き嫌いはあると思いますけど、この時代、自分を押し出したものが勝ちだと思うんですよ。

――確かにMardelasにおいては、歌はインパクトのある個性だと思いますよ。求める理想はまだまだ先にあるのだと思いますが、この歌い方が確立したのはいつ頃なんですか?

マリナ:うーん……基本、独学でずっとやっていて、一度だけ、この歌い方で本当に正しいのかな、合っているのかなって不安になったときがあったんです。声が出なくなったこともあるし。それで誰かに習ってみたいなと思って、小野正利さん(vo/GALNERYUS)に教えてもらうことになったんです。そこでもう一度見つめ直したのが、大きなキッカケではあるかなと思います。半年ぐらいお世話になったんですけど、「大丈夫だよ」と背中を押してもらって。

樹京:客観的に見ていて、習ってからは、滑舌が劇的に変わって、歌詞の聞こえ方がすごくよくなった。化けたなと思いましたね。今回のアルバムに関しても、ホントに曲の書き甲斐があるというか、自分の表現したいものを100%表現してくれるヴォーカルで、納得のいくものができたなと思います。もともと自分は日本語の曲が好きなんですけど、響きまで考えて、メロディの起伏に対する響きとか、すごく細かくこわだってくれていて、さらに感情表現も豊かなんですよね。音域が広いのもあるので、曲の中での最高到達点も作り出しやすいですし。

hibiki:彼女はバイリンガルだからこその発想もできるんですよね。たとえば、「Eclipse」の2番のAメロで、英語っぽく歌ってるところがあるんです。最初は何と言ってるかわからなかったんですけど、そのメロをただ日本語で追いかけてもダサくなるから、英語のイントネーションに近づけて歌ってるんだって話を聴いて、素直に感心したんですよね。

マリナ:ちょっとスラッシュ寄りの曲なので、そういうエッセンスを採り入れたいなと思って(笑)。日本語なんだけど、ちょっと英語に聞こえるような。

hibiki:英語ができない人が、それっぽく日本語を歌おうとしても、カッコつかないですからね。これは大きな武器なんじゃないかって。

――そうかもしれませんね。これはMardelasのシンガーだからこそなのか、蛇石マリナ自身がこうなのかはわかりませんが、歌詞の綴り方も個性的ですよね。

マリナ:今回の曲の歌詞は、どれもアルバム内にパートナーがいるんです。対になっている、もしくは物語として続いてる曲、あなたと私が逆転してる曲という感じで。たとえば、「Eclipse」は皆既日食をイメージしているんですけど、太陽と月、つまり陰と陽じゃないですか。それを私の中では愛と憎しみという対にして、太陽が月に食われることから、愛が憎しみに負ける瞬間をテーマにしたんですよ。逆に「MOONSTONE」は、憎しみを愛に変えるというテーマで書いています。漢字の使い方とかも、もともとこういう世界観が好きで、一般的にはあまり使わないような表現をあえて持ち出してみたり。だから、Mardelasだからというよりは、蛇石マリナだからこうという感じかなぁと自分では思ってます。ただ、ちょっとポップな「Waves」に関しては、漢字を極力排除しているんです。主人公の設定がかなり子供な感じなので、字面でも柔らかい印象になるように。あとは主人公が男性なのか女性なのか、一人称があるのかないのか、俯瞰して曲を見ているのかとか、そういうふうに考えて歌詞は書いています。でも、物語がしっかりあるような曲は多くなくて、自分の頭の中にある1枚の画から書いてしまうことが結構多いんですよ。意外とリアリティのある曲は多いかもしれないですね。現実と非現実の融合じゃないですけど、ちょっと変わった単語を使いつつ、自分の日常的な実話を盛り込んだような曲もありますし。

――歌にしてもそうですが、歌詞を眺めるだけで、内面的な力強さを感じる人は少なくないでしょうね。

マリナ:そうですか?(笑) 歌詞を書くに当たっての大きなテーマとして、人の感情や情念、人の性みたいなところに目を向けることが好きなんです。だから、たとえば、怒りとかやりきれない悲しみを表現したり。わりと負の感情が多いのかもしれないですけどね、私の場合は(笑)。

――とはいえ、ネガティヴな感情を押し付けるのではなく、最終的にはポジティヴな方向に気持ちを向けていきますよね。樹京くんはテクニカルなギタリストでもあると思いますが、メロディをすごく意識したプレイへのこだわりが見えてきますね。

樹京:仰る通りですね。たとえば、ギター・ソロに関して言えば、間奏としての意味合いを持ったものであるべきだと思うんです。でも、テクニカルなものは好きだから、そういった要素も織り交ぜて、一つの曲の流れを壊さないようなプレイは意識しています。むしろ本心からそれが好きなんですけどね。1曲の中で自分のテクニックを100%出さなきゃいけないという気持ちはなくて、曲としての100%を出したいという気持ちで弾いています。

――さて、本作のリリースに伴って行われる東名阪ツアーは、音源の発売を前にして、すでにほぼ全箇所、チケットがソールド・アウトの状況ですね。

hibiki:正直なことを言うと、メンバーみんな、こんなに早く売り切れるとは思ってなかったと思うんです。ということで、今、次の動きを考えてはいます。今回は観られない人のために何かをしたいなと。

マリナ:そう。ライヴも精力的にやっていきたいですね。イベントにも誘われていますし、出来る限り、行ったことのない場所にも、Mardelasを見せに行きたいなと思っています。もちろん、新しいバンドなので、どんどん曲を増やしていきたいですし、並行しながら制作もやっていきます。初めて知ってくださる方も含めて、これからみなさんにたくさんMardelasを体験していただきたいですね。

取材・文●土屋京輔


『Mardelas I』

NOW ON SALE
KICS-3173 ¥3,000 + 税
1. Eclipse
2. D.D.C.
3. Daybreak [album version]
4. MOONSTONE
5. DEEP-G
6. Hyperfly
7. Waves
8. Phantasia [album version]
9. Amnesia
10. Scapegoat

ライブ・イベント情報

<Mardelas Live Tour 2015 ~eclipse~>
■大阪公演
2015年5月23日(土)(SOLD OUT!!)
心斎橋 club ALIVE!
出演:Mardelas/TEARS OF TRAGEDY(Guest Act)
■名古屋公演
2015年5月24日(日)
大須 ell.size
出演:Mardelas/TEARS OF TRAGEDY(Guest Act)
■東京公演(one-man live)(SOLD OUT!!)
2015年6月6日(土)
渋谷Ruido K2
出演:Mardelas


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