【ライブレポート】SCANDAL、「最高のツアーを廻っていたら新曲が出来ました」

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6thアルバム『HELLO WORLD』を携え、2015年1月の厚木市文化会館公演を皮切りにバンド史上最大級のツアー敢行中のSCANDALは、31公演目となる4月19日の沖縄公演でひと息……かと思いきや、同月25日からは世界10都市のワールドツアーに打って出る。「全然確証はなかったけど、ずっと前から世界で勝負したいと思っていた」とHARUNAが以前のBARKSインタビューで語ってくれたとおり、彼女たちはまた1つ大きな夢を叶えようとしている。残りわずかとなった国内ホールツアーでSCANDALがどんなステージをみせたのか。先ごろ公開した速報レポートに続いて、4月11日(土)、東京・国際フォーラム初日の詳細レポートをお届けしたい。

◆SCANDAL 画像

レンガ造りのレトロなパブをモチーフにしたステージセットにはバーカウンターがしつらえてあり、マスターも居る。蓄音機にレコードをかけるとスタンダードジャズの名曲「A列車で行こう」が流れはじめた。軽快で心弾むジャズに導かれるように4人がステージに姿を見せ、文字通り割れんばかりの拍手と歓声で迎え入れられた。

その声に応えるかのようにすぐさま楽器を手に取り、奏ではじめたのは『HELLO WORLD』のなかからポップでノリのよい「love in action」だ。途中、HARUNAが「一緒に!」と呼びかけるとオーディエンスが「ラララ~」の歌声で応じる場面も。ウォーミングアップとなる1曲目とは思えないほど、会場の熱気は一気に高まった。続く「OVER DRIVE」では、イントロから観客による「オイ!オイ!」の雄叫びが響き、サビでは手を挙げてジャンプ! 床が揺れるほどの盛り上がりを見せた。オープニングの2曲だけでも、ファンがSCANDALに会えるのを待ちわびていたことがひしひしと伝わって来た。

「Clap your hands!」の声に合わせて手拍子が起きると、HARUNAが「TOKYO、元気? 手を挙げて準備して。最高の夜にしていこうね!」とこの日、最初のご挨拶。デビュー曲の「DOLL」が始まるやいなや、全員が手にタオルを掲げて、ぶんぶんと勢いよく回しはじめる客席。ライブではすっかり定番の人気ナンバーだが、長年連れ添ってきた楽曲だけにメンバーも隅々まで知り尽くしており、演奏以外でのパフォーマンスも一段と熱が入るようだ。RINAの髪を振り乱しながら演奏する姿は、普段の印象とはまた違ったクールでロックなドラマーだった。

「Hay! Everyone. Live Pub“HELLO WORLD”へようこそ~。どう、このお店、いい感じでしょう? レストランバーだけど未成年もOK(笑)。移動式のパブだから、日本各地を移動しながらやっと東京へ帰って来ました」とHARUNA。

そうか、もはや東京は彼女たちにとってホームなのだ。その安心感からだろうか、パワフルなステージを繰り広げながらもどこかリラックスした表情を浮かべている。そして、「みんな準備はいいですか? Are you ready?!」と呼びかけて、ハードで疾走感あふれる「瞬間センチメンタル」へ。「SCANDAL BABY」では、「もっともっと一緒に躍りませんか、TOKYO CITY!」とさらに煽る。ダンサブルでグルーヴィーなナンバーに合わせて飛んだり跳ねたりするばかりか大合唱も巻き起こり、わずか5曲でまるでクライマックスを迎えたかのような盛り上がりだ。むろん、そこでトーンダウンするような4人ではない。攻撃的なイントロのギターが暗闇を切り裂くソリッドなロックチューン「お願いナビゲーション」やMAMIのシアトリカルなイントロソロから始まる「下弦の月」など、振り幅の広いナンバーで畳み掛けていく。

「1月から(国内)31公演をやると決まった時は、長期戦だなって感じたけど、“一生やってたい!”って思う、そんなツアーになってます。けど、アルバムを引っさげてのツアーなのに、まだ2曲しかやってないんだよね(笑)。ここからはたっぷりやります!」」とツアーへの手応えを述べたHARUNAに歓喜の声が沸き上がった。「世界標準を無理に狙うよりもこれまでの自分たちの音楽をより深めたい」とはアルバム『HELLO WORLD』について以前の取材でRINAが語ってくれたものだが、とはいえ随所にチャレンジが見られる作品でもある。たとえば、この日のライブで4曲続けられたナンバーは、メンバーそれぞれが作詞作曲などを手がけ、自身が歌唱も担当しているものだ。

ソロ曲パートの先陣を切ったHARUNAの「Graduation」は、スタンダードな歌ものロックに乗せて20代半ば女子の等身大の姿を綴ったナンバー。切なくとも前を向こうとする歌詞の世界観と、弱音を吐かずにひたむきに頑張ってきた彼女の姿がオーバーラップして見えた。一方、リズムギターが小気味よくループするMAMIの「本を読む」は、本を読むという行為で「君」と「私」の微妙な距離感を巧みに表した作詞家としてのMAMIの感性が光る1曲だ。かと思えば、「缶ビール」は、TOMOMI自身がお酒が飲めないというのもあり、そんなリアル感が出ている歌詞が魅力のキュートな楽曲。それを、あのチャーミングな歌声で彩るのだから、男女問わずノックアウトされてしまうだろう。

4人のトリを務めたRINAの「おやすみ」は、まさかのドラムを打ち込みで出すという意表を突いた出だしだった。というのも、この曲でRINAはギタリストとしてステージに立ったのだ。アルバム制作時から密かに練習していたというギターの腕前を、ようやく披露できた喜びと少しばかりの緊張感で、彼女の表情も普段とは違って見えた。それにしても、4人の女子が弦楽器を持って並ぶ画は壮観であり、なおかつ華やか。彼女たちならではの粋な演出ともなった。

緊張のソロパートを終え、4人はソファーやカウンターのスツールに腰掛けて一息ついた。MAMIを除いてではあるが。「そういえば、ここまで28本のライブをしてきたけど、MAMIは1度も座らなかったね」とHARUNAが語りかけると、会場から拍手が。それを見て、すかさずTOMOMIが「ただ立ってるだけで、拍手してもらえるなんていいなぁ~」と言うと、観客からは笑いが漏れた。「じゃあ、今日くらい座ろうかなっ」とMAMIも応えるといった具合に、ライブ恒例のゆるいトークタイムが始まった。

実はこのMCタイムは、ファンから寄せられた各地のご当地ネタで盛り上がっていたようだが、「東京にもう6年近く住んでるから、ご当地ネタも特に話すことないよね(笑)。今日も自宅からこの会場に来たし」とHARUNAが本音を漏らす。すると、RINAが笑いながら、「じゃあ、昨日は何を食べたの?」と助け舟を出したが、「え、えっと…。昨日は自宅で和食を作ったよ。今、和食がブームなんだ。だから、大根の煮物と…、ってこのネタで続けるの? 早速、紹介してもいい(笑)?」と再びHARUNAが苦笑いする。白熱するライブとは裏腹に、なんとものほほんとして仲の良さが伝わってくるMCもまた、SCANDALのライブの密かな魅力なのだ。

そのMCのムードを受け継ぐような心地よいウォークテンポの冬ソング「Winter story」で、ライブは後半戦へ突入した。そして、再びマスターが姿を現してジャズのレコードをかけると、ステージ奥のスクリーンには出発をイメージさせるような空港の雑踏が映し出された。この演出が架け橋となり、別れの季節を歌った「Departure」へ。胸がキュンとするような切なさと、けれど前を向ける力強さが共存するこの楽曲は、MAMIの住む家の近くにある桜の樹から着想したものだ。実際に彼女がその桜を通して季節や気持ちの移ろいを感じてきたからこそ実感が込められているこの歌。不思議と心の深くにまで届き、優しく揺さぶる力がある。さらに、ライブでの人気も高いカラッとしたさよならソング「会わないつもりの、元気でね」が続き、ここでは再び「オイ!オイ!」の声で観客も応戦。サビではここぞとばかりに全員が懸命にジャンプしていた。この曲もまたライブで着実に育ち、一体感を生み出す楽曲へと成長した1曲だろう。

「楽しんでる? まだまだやるけどついて来れるかな。次の曲は一緒に歌ってください!」とHARUNAが叫び、ポップでキャッチーな「サティスファクション」へ。4年も前の楽曲ではあるものの、偶然にもその歌詞は今まさに世界へと漕ぎ出そうとする彼女たちにぴったりのものとなっていた。それは、HARUNAとTOMOMIのボーカルが「いつだって歌うように呼びかける」と5年前から聴き手の心に寄り添い続けて来た「Hello!Hello!」も同じことが言えるのかもしれない。会場全員で心を一つにした後に、4人が場内に響かせたのは「夜明けの流星群」だった。亀田誠治がアレンジを手がけたシンプルだが骨太なミディアムロックチューンは、アニメ主題歌ということも手伝って彼女たちの存在感をより広く知らしめた。1階席に親子で来ていた小さなSCANDALファンが、嬉しそうに一緒に声を張り上げて歌っていた姿が何とも愛らしい。普段から漫画やアニメが好きなMAMIは「この曲で世界中の人たちがSCANDALをより知ってくれる機会になった」とインタビューで語っていたが、ワールドツアーに出る彼女たちにとっても心強い1曲に違いない。

HARUNA流に表現するなら“少し大人のSCANDAL”である「夜明けの流星群」に続くのは、若々しく突っ走る「Your song」だ。HARUNAが歌う後ろでMAMIとTOMOMIがじゃれ合ったり、ロックンロールを自由に楽しむ姿もまた痛快。気持ちの高ぶりを「ウォウ~」と歌って伝えようとするオーディエンスに向かって、「みんな、もっと! まだまだ行けるよね」とHARUNAが背中を押した。この日一番の大合唱になったのは言うまでもない。そして、間髪入れずに本編ラストの「Image」へとなだれ込んだ。開放感いっぱいのサビでは誰もが手を挙げて瞳をきらめかせていた。言葉ではない何かで、確実に気持ちの交流が出来たことを、その輝かしい表情が物語っていた。

アンコールの声に誘われ、Tシャツ姿で再び登壇した4人(TOMOMIは本編でかぶっていたハットを外して、よりラフに)。「アンコールありがとう。TOKYO、まだまだ暴れるぞー!」(HARUNA)の声とともに、荒々しくエモーショナルなロックチューン「STANDARD」が轟きはじめた。「オイ!オイ!」で攻めるオーディエンスに対し、MAMIが即興で「国際フォーラム、オー!イェー」と応戦するなど、瞬く間に会場の熱はピークへと達した。

「ああ、楽しいっ!貴重な土曜日、お休みの時間を私たちのライブに来てくれてありがとう。本当にうれしいです。きっと全国から来てくれてるんだと思うけど、たくさん廻って東京に戻って来て、こうしてみんなに会うとホッとします。私たち自身、何百回も聴いてきたし、ライブでは何十回もやってきたけど、『HELLO WORLD』はすごく大好きで、最高のアルバムです。そんな最高のツアーを廻っていたら、新曲が出来ました。みんなにいち早く聴いてもらいたいんだけど、いいかな?」とHARUNAが代表して、SCANDALから新曲というプレゼントが贈られた。

シンプルでどこかクラシカル、耳なじみの良いナンバーで、聴いた途端にすぐに乗れたり口ずさめるキャッチーさがある。“今日はこの歌をおくるよ”と目の前の大切な仲間に向けて歌う歌詞と相まって、ファンとの絆をより深める1曲になりそうな予感がした。アンコールラストの「Image」では、「さあ、一緒に叫ぼう!」とHARUNAが叫び、TOMOMIとMAMIが何度もジャンプしては一緒に飛ぼうと誘う。全員のこの日一番のジャンプと笑顔で、東京2Daysの初日は幕を下ろした。

終演を告げるアナウンスが流れ、客電が灯された後に会場内に流れ続けた「夜明けの流星群」。それに合わせて、観客は拳を突き上げ、大合唱を続けていたのがとても印象的だった。終わってもまだ、絆は残り続ける。そんなライブができる特別なバンドになったことを、ファンの満足げな表情は雄弁に語っていた。きっとこの勇ましくも温かな仲間たちの歌声を胸に、これから始まるワールドツアーでも、彼女たちはきっと大暴れしてくれるに違いない。

取材・文◎橘川有子 撮影◎Shin Nakajima (studio713)

■<SCANDAL WORLD TOUR 2015「HELLO WORLD」>
2015年4月11日(土)@国際フォーラム ホールA SETLIST
M1  love in action
M2  OVER DRIVE
M3  DOLL
M4  瞬間センチメンタル
M5  SCANDAL BABY
M6  お願いナビゲーション
M7  下弦の月
M8  Graduation
M9  本を読む
M10 缶ビール
M11 おやすみ
M12 Winter story
M13 Departure
M14 会わないつもりの、元気でね
M15 サティスファクション
M16 Hello! Hello!
M17 夜明けの流星群
M18 Your song
M19 Image
<ENCORE>
EN1 STANDARD
EN2 新曲
EN3 EVERYBODY SAY YEAH!


■<SCANDAL ARENA TOUR 2015-2016 『PERFECT WORLD』>

2015年12月9日(水) 兵庫 神戸ワールド記念ホール
[問]SOUND CREATOR 06-6357-4400
2015年12月23日(水・祝) 愛知 日本ガイシホール
[問]サンデーフォークプロモーション 052-320-9100
2016年1月12日(火) 東京 日本武道館
[問]HOT STUFF PROMOTION 03-5720-9999
2016年1月13日(水) 東京 日本武道館
[問]HOT STUFF PROMOTION 03-5720-9999

【チケット先行】
SCANDAL MANIA 先行:6月26日(金)12:00~6月29日(月)18:00
※2015年5月20日までに新規入会(入金)した方が対象となります。
CLUB SCANDAL先行: 7月3日(金)12:00~7月6日(月)18:00

■<SCANDAL WORLD TOUR 2015「HELLO WORLD」>

1月24日(土) 神奈川 厚木市文化会館
1月29日(木) 東京 たましんRISURUホール
1月31日(土) 群馬 ベイシア文化ホール 大ホール
2月01日(日) 茨城 結城市民文化センターアクロス 大ホール
2月07日(土) 千葉 千葉県文化会館
2月10日(火) 大分 ホルトホール大分 大ホール
2月11日(水・祝) 熊本 熊本市民会館崇城大学ホール(熊本市民会館)
2月14日(土) 広島 上野学園ホール
2月15日(日) 広島 上野学園ホール
2月21日(土) 大阪 オリックス劇場
2月22日(日) 大阪 オリックス劇場
2月26日(木) 香川 サンポートホール高松
2月28日(土) 福岡 福岡サンパレス
3月01日(日) 長崎 長崎市公会堂
3月05日(木) 埼玉 大宮ソニックシティ 大ホール
3月07日(土) 岩手 盛岡市民文化ホール
3月08日(日) 宮城 東京エレクトロンホール宮城
3月12日(木) 兵庫 加古川市民会館 大ホール
3月13日(金) 滋賀 滋賀県立芸術劇場 びわ湖ホール 大ホール
3月15日(日) 奈良 なら100年会館 大ホール
3月19日(木) 長野 ホクト文化ホール・中ホール
3月21日(土) 新潟 長岡市立劇場
3月22日(日) 石川 本多の森ホール
3月27日(金) 静岡 静岡市民文化会館
3月28日(土) 愛知 名古屋国際会議場センチュリーホール
3月30日(月) 岡山 倉敷市民会館
4月04日(土) 北海道 札幌市民ホール
4月05日(日) 北海道 旭川市民文化会館大ホール
4月11日(土) 東京 国際フォーラム ホールA
4月12日(日) 東京 国際フォーラム ホールA
4月19日(日) 沖縄 ナムラホール

4月25日(土) フランス(パリ) le Bataclan
4月26日(日) イギリス(ロンドン) The Islington Academy
4月30日(木) ドイツ(エッセン) Weststadthalle 
5月08日(金) シンガポール The Coliseum, Hard Rock Hotel
5月10日(日) 台湾(台北) Wall
5月15日(金) アメリカ(シカゴ) Rosemont Theatre
5月20日(水) メキシコ(メキシコシティ) El Plaza Condesa
5月22日(金) アメリカ(ロサンゼルス) House of Blues Sunset Strip
5月23日(土) アメリカ(アナハイム) House of Blues Anaheim
5月29日(金) 中国(香港) Macpherson Stadium
海外公演の詳細に関しては、特設ページからチェック!

■ニューアルバム『HELLO WORLD』

2014年12月3日リリース
【完全生産限定盤】ESCL4322-4323 税込\5,000(税抜\4,633) オリジナル Tシャツ付
【初回生産限定盤】ESCL4324-4325 税込\3,600(税抜\3,333) ドキュメント映像収録DVD付
【通常盤】ESCL4326 税込\3,146(税抜\2,914)
初回仕様:メンバーソロステッカー全4種類のうち1種類ランダム封入!
※枚数限定でSCANDALメンバー直筆サイン入りステッカーがスペシャル封入
【アナログ盤 2枚組LP】ESJL3085-3086 税込\4,104(税抜\3,800)
01.Image
02.Your song
03.love in action
04.Departure
05.Graduation
06.夜明けの流星群
07.お願いナビゲーション
08.Runners high
09.本を読む
10.缶ビール
11.Winter story
12.おやすみ
13.Place of life(feat. Tetsuya Komuro)

◆SCANDAL WORLD TOUR 2015「HELLO WORLD」 特設サイト
◆SCANDAL オフィシャルサイト
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