<HighApps SPECIAL!! ~SPRING ROCK PARTY 2015~>東京公演、15組が堂々たるステージ
2015年4月12日日曜日、快晴。日差しが心地よい新木場コースト。この日HIP LAND MUSICが主催するライブイベント<HighApps>のスペシャル版として、<HighApps SPECIAL!! ~SPRING ROCK PARTY 2015~>の東京公演が開催された。
◆<HighApps SPECIAL!! ~SPRING ROCK PARTY 2015~> 東京公演 画像
屋内に「High STAGE」、屋外に併設されたテントステージとなる「Apps STAGE」、さらに「High STAGE」フロア内にあるテラスのようなスペースを使った「Acoustic STAGE」の3ステージ構成。会場各所には装飾も施され、出演アーティストとのコラボフードも販売されるなど、ちょっとしたフェスの趣き。オープン前から会場前には長蛇の列、期待に満ち溢れた顔のオーディエンスがどんどん会場に吸い込まれていく。
▲ユナイテッドモンモンサン
12:30きっかり、Apps STAGEにこの日のイベントのトップバッターを務めるユナイテッドモンモンサンのメンバーが笑顔でステージに登場。のっけからギターを片手にオーディエンスを煽りまくっているのが松岡恭子(Vo,Gt,Key)。すでにテントの中は満員。松岡がハンドマイク、ステージ中央で歌い上げる。ピョンピョンと小鹿のように飛び跳ね、ボブ・ヘアーが揺れる。あっと言う間に最後の曲、“君だけのキス”。リズムに合わせた手拍子が会場中に響き、午後早い時間ながら、多幸感に包まれたステージ。いい一日になりそうだ! ユナイテッドモンモンサン、今後も期待して行きたいアーティスト。
▲avengers in sci-fi
メインステージとなるHigh STAGEのトップバッターを務めるのは3ピースロックバンド avengers in sci-fi。初っ端から超満員のフロアが彼等を待ち構えている。1曲目“Yang 2”。長谷川正法(Dr,Cho)が生命力みなぎるドラミングでステージの幕開けを告げると木幡太郎(Gt,Vo,Syn)、稲見喜彦(Ba,Vo,Syn)の声がきれいに一つに重なり、フロア全体を心地よい音の風が吹き抜けた。電子音の洪水の中、まるでテーマパークのアトラクションの中に居るかの様な、錯覚を覚える。気づけばフロアは最後方まで皆、体を揺らし彼等の音楽に酔いしれていた。あっという間にステージは終わりの時を迎え、ラストナンバーは“Citizen Song”。最後はブルージーで骨太なロックンロールで締めくくった。彼等のステージを観て、ロックンロールはこんなにも自由で懐の深い音楽なんだな、と改めて思い知らされた。
▲LAMP IN TERREN
LAMP IN TERRENのステージを目撃しようとApps STAGEに向かうと、もうすでに超満員。開口一番、松本大(Vo,Gt)が「もっと前に詰められる?……もう無理か。じゃあ、外に聴こえるように!」とライヴをスタート。1曲目から渾身のステージングだ。オーディエンスも彼らのステージを一瞬たりとも見逃すまいと、熱心にステージを見つめながらも、敏感にステージに反応している様子。タイトなリズムを刻む川口大喜のドラミング、メロディーに絡みつく中原健仁のベースも見事。ラストナンバーは“ボイド”。高揚感に包まれた、この日のステージのラストを飾るにふさわしい曲であった。「たくさん楽しんで!行ってらっしゃい!」との言葉を残して、この日のライヴを締めくくった。
▲チーナ
High STAGEの向正面、客席の一段高い柵に囲われたスペースを利用して設けられたAcoustic STAGE。「ロミオとジュリエットみたいなところからやっています。チーナです!」という椎名杏子(Vo&Pf)のあいさつから、彼女たちのライヴはスタートした。椎名が手拍子を促したり、トライアングルを使ったり、柴由佳子(Vn)がブレイクでホイッスルを吹いたりと楽しげな雰囲気を演出。林絵里(Cb)は弓でアップライト・ベースを演奏し、幽玄なサウンドを奏でる。観客もゆっくりと身体を動かし、チーナのサウンドに身を委ねていった。最後の曲“アンドロイド”では、メロディアスなこの曲を椎名がしっとりと歌い上げ、会場から静かに拍手が巻き起こった。楽しさに溢れたライヴの締めくくりはなんとも感動的なシーンとなった。
▲a flood of circle
High STAGE 2組目は、先日突如としてギタリストの脱退を発表したa flood of circle。本日がサポートギターに藤井清也(The SALOVERS)を迎えての初舞台となる。お決まりのご挨拶「おはようございます、a flood of circleです」から1曲目“KIDS”へ。HISAYO(Ba)が長い髪を揺らしながらメロディアスなベースラインを奏で、佐々木亮介(Vo,Gt)は「カモン!」とフロアを煽り、オーディエンス達は割れんばかりのハンドクラップでそれに応える。MCを挟み披露された新曲はファンファーレの様な、陽気でちょっとおちゃめなロックンロール。その興奮も冷めやらぬまま5曲目“GO”が始まる。渡邊一丘(Dr)とHISAYOのリズム隊が重厚感のある音を作り上げる。それを受けて佐々木のしゃがれ声が吠える。「俺たちとあんたたちの明日に捧げます!」と最後は“シーガル”で締めくくり、ありったけの声で「サンキュー!」と叫ぶと佐々木はステージを後にした。
▲The fin.
Apps STAGEでは本日3アクト目となるThe fin.。入場規制中、超満員ですでに満員電車状態である。Yuto Uchino(Vo,Syn)がシンセを鳴らし、Kaoru Nakazawa(Dr)がキックを、ハットを、そしてスネアをグルーヴさせ始める。たおやかにTakayasu Taguchi (Ba)がラインを刻み始め、Ryosuke Odagaki(Gt)がディレイを効かせたリフを鳴らす。浮遊するYuto Uchinoが歌い上げるメロディーラインも、実に気持ちいい。極限までそぎ落とされたアンサンブルの極致。無駄な音は一切ない。彼らはこのApps STAGEのテントの中に、見事なアンサンブルの宇宙を構築しているのである。この日からリミックスが無料ダウンロードが始まったこと(1週間限定、Anchorsongによるリミックス)、代官山UNITでの6月20日のワンマンの告知をサラッと話し、ラストナンバーは“Days With Uncertanity”。演奏中に一人、また一人とステージを去って行き、最後はUchinoが弾くシンセの音がドープに変化していき、鮮烈な多幸感と共に彼らはステージを後にした。
▲THE ORAL CIGARETTES
High STAGE 3組目はHighAppsの常連THE ORAL CIGARETTES。サウンドチェックの段階からサービス精神旺盛にフロアを盛り上げてきたオーラルの満を持しての登場に、フロアは準備万端の熱狂で出迎えた。1曲目“STARGET”からフロアには早速サークルが生まれ、隅々まで楽しげに体を揺らすオーディエンスで満たされた。彼らがずっとあたためてきたという新曲“エイミー”ではオーディエンスもうっとりと聴き入る。ラストナンバー“起死回生STORY”では、超満員となったフロアを「そんなもんじゃないだろう!」と煽れば、オーディエンスが一段と前方にぎゅっと詰まる。曲中、山中が「新木場にいる人、全員手を貸して!」と叫ぶ。ここで巻き起こったハンドクラップは彼らがステージを去るその時まで、途切れることはなかった。
▲Predawn
THE ORAL CIGARETTESが熱狂的なパフォーマンスを披露し、会場にまだ騒然とした空気が残る中、Acoustic STAGEにPredawnが登場。アコースティックギターを軽快にかき鳴らしながら歌う、その伸びやかな歌声が美しい。会場のざわめきが徐々に収まっていき、会場がその歌声に引き込まれていくのがわかる。アコースティック・ギターの軽やかな音色と伸びやかな歌声がマッチして心地良い雰囲気を作り出した“Suddenly”、再びしっとりと聴かせた“Autumn Moon”を続け、最後は観客の手拍子に合わせて“Over the Rainbow”を軽やかに歌う。エンディングではなぜかよろけてしまい、恥ずかしそうに早口で何事か言うと(おそらく「ありがとうございます」だと思う)、逃げるようにステージから走り去っていく姿に会場から笑いが生まれ、彼女のライヴは笑顔に包まれたまま大団円となった。
▲The Flickers
4月15日に待望のメジャー1stアルバム『UNDERGROUND POP』をリリースするThe Flickers。今日はサポートにナカオソウ(G/Applicat Spectra)とKanako(Key/ORGALOUNGE,さめざめ)も加えた5人体制だ。サポートメンバーが居ることで、安島裕輔(Vo&G,Syn)の自由度が増し、そのエモーションを伝える機能が格段にアップした印象だ。中盤にはダンスアクトの8ビートといった感の新曲“nova”を披露。続く“techno kids”では堀内祥太郎(B)と本吉”Nico”弘樹(Dr)が繰り出すシュアなビートは徐々にトライバルな色合いも強め、誰もが身体を揺らしたくなるグルーヴの強度を増していく。シンガロングが起こる彼らのアンセム“lovender”、そして“love in the music”と、叫びになるギリギリ手前のボーカリゼーションで、目の前の一人ひとりに歌を放つ。サビ前の「行くぞ!」という怒気さえ篭った声の本気度と、グッと自由度を増した演奏。いつまでも不器用で体当たり的なバンドだと思ったら嬉しい裏切りにあった、そんなライヴだった。
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