【インタビュー】Awesome City Club、“また変な曲出したな”と言われるようになったらうれしい『Awesome City Tracks』
▲写真左より:マツザカタクミ(Bass/Synthesizer/Rap)、atagi(Vocal/Guitar)、PORIN(Vocal/Synthesizer)、モリシー(Guitar/Synthesizer/Backing Vocal)、ユキエ(Drums)。
■東京で起きてることに対して何かを感じて音や歌詞になってるんですが
■5人のアイデンティティが重なると、Awesome Cityという自分たちだけの世界になる
──そして、メジャーレーベルから出す初のミニアルバム『Awesome City Tracks』。この中で一番古い曲は……。
マツザカ:「Children」です。
atagi:バンドを始めようという時に、PORIN以外の4人で初めて顔合わせをして、お洒落な喫茶店に行ったんですよ。
マツザカ:まず、お洒落なところに行ったほうがいいだろうと(笑)。
atagi:そこで、バンド名とか、曲の話をして。作曲はみんなでしようということになって……。
マツザカ:彼が持って来てくれたのがこの曲ですね。モリシー(Guitar/Synthesizer/Backing Vocal)の家で、DAWソフトを使って、そこでプリプロして。それがすごく良かったんですよ。その時にみんな“このバンド、いいかも”と思ったんじゃないかな。側の部分は出来てたんですけど、中身はどういう音楽をやるか?というところで、彼が持って来た曲が一つの指針になりました。
──かなり生々しい音ですよね。シンセは薄めで、ファンクでポップな、かっちりしたグルーヴ。
atagi:僕も最初は、“生楽器はあんまり使わないのかな?”と想像してたんですけど。もともと手に馴染んでる楽器があるので、自然にそういうものになって行って。でも音作りの段階で、打ち込みのトラックや電子音は入れたいと思っていて、ちょうどその中間にある作品が出来たのかなと思っています。
マツザカ:あと、やろうと思ってもやれないことがあって、そのバランスでこうなったのかもしれない。もっとバキバキにとか、もっとチルウェーブっぽくとか、ドラムの音の作り方がいまいちわかんなくて。そういう偶然がこのバランスになったのかな?と。一番バランスよく、バンドの色が出ていると思うので、これを1曲目にしました。
──そしてミュージック・ビデオが必見の「4月のマーチ」。これは?
atagi:夜な夜な、働いてるスタジオで曲作りをしていて、そこで生まれました。わりと、すぐ出来た気がします。当時サポートだったPORINが歌う曲があってもいいよなと思っていて、勝手に作ったという(笑)。
PORIN:「サポートなのに歌っていいの?」って言ったんですけど。
atagi:もともと歌い手なので、たぶん歌いたいだろうなと思って。いい曲が出来たので、スタジオで聴いてもらってから、どんどん完成して行った感じですね。
マツザカ:歌詞は、“PORINがこういうことを歌ったら女の子がグッと来るかな”ということを書こうと思っていました。ただ、男が思う女の子像って、女の子が自分で語るよりも乙女というか、ロマンチックだったりしますよね。それが爆発した感じ。歌詞に関しては、メロディに対して洋楽っぽい感覚で譜割りを当てるというのを常にテーマにしていたのと、ラップが好きなので韻を踏んで、語感を気にしたところがポイントです。サビの“コットンパフまきちらして踊るの マテリアルガール”とか、実際言ってることはよくわかんないと思うんですよ。意味はわかんないけど何か映像が浮かぶような感じですね。
──どうですか。彼の乙女心は。
PORIN:ちょっと、気色悪いです(笑)。
マツザカ:それでいいの(笑)。
PORIN:でも本当に、情景が浮かぶ、いい歌詞だなと。個人的には、ソフィア・コッポラの『ヴァージン・スーサイズ』をイメージしてるんですけど。女の子って、絶対こういう経験をしていると思うんです。お母さんに内緒でお化粧したり。ガーリーな感じが出せて、良かったなと思います。
atagi:余談ですけど。最近ボイス・トレーニングに通っていまして、先生が年配の女性なんですけど、この歌詞を激褒めしていました。“私もこの歌詞とまったく同じことやってたわよ!”って。全年齢の女の人共通で、そういう経験があるんだろうなと思いました。
──いいですねこの乙女心シリーズ。いつか続編をぜひ。
atagi:“マテリアルガール”が大人になって、スレていくさまを(笑)。
PORIN:あ~、いいですね。
マツザカ:実は、このアルバムの中でもう1曲PORINが歌っている「P」は、僕の中ではそういうイメージなんですよ。スレまくっていますけどね(笑)。
──あ~、そうか! 言われてみれば。
マツザカ:踊れる曲にしたいと思って、クラブの描写があるんですけど。ディーバっぽい女性シンガーの歌う曲って、愛の歌が多いですよね。みんながいい気持ちになれることを歌うとか。でも実際は、そういうことばかりでもないと思うし、PORINが“愛なんて遊びよ”って歌うと、逆に共感を得られるんじゃないかな?と思って。そういう設定にしてみました。
──なるほど。今つながりました。「4月のマーチ」の、あんなにピュアだった子が、「P」で“愛なんて瞬間の誤解よ”と歌う理由が(笑)。
マツザカ:でもみんな、そういうのってあると思うんですよ。
PORIN:ありますね~。
マツザカ:その中間の曲を作ったほうがいいですかね(笑)。
PORIN:次、中間の曲作ります(笑)。
──つきあった男が悪くて、どんどんスレていくみたいな。
atagi:生々しいですね(笑)。
──それはともかく(笑)。まっさらな新曲が1曲、「It's So Fine」については?
atagi:アルバムを作ることになって、今までのストックとは別に作った曲ですね。ダンサブルな曲を作りたかったんですけど、これはけっこう難産でした。アップデートを何回も繰り返した曲で、そのぶん研ぎ澄まされて、逆にシンプルになったかな? 最初はもっとまったりしていて、丸いシンセがふわ~っと飛んでるような曲だったんですけど、どこからか、まだ行けるだろうという声が聞こえて来て。
マツザカ:天の声みたいな。
atagi:あんまり作ったことがなかったんですけど、ソリッドな音にしてみようと思って、こういう感じになりました。2本のギターのカッティングが、ガシャガシャガシャっと。
──キレッキレですよ。70年代のディスコをチューンアップした感じで、めっちゃカッコいい。
atagi:やっていてすごい楽しいです。超リズミックなので、どこを取っても。この頃メンバーの間で、「トレンディー」という言葉が流行ってたんですよ。“肩パットの入ったスーツに、ジェルで固めた髪型”とか、昔のことではあるんだけど、僕らにとっては“それ、トレンディーだね”みたいな。その場に居合わせた世代ではないけど、何か不思議な感じがして、いいなぁみたいな。
──その感覚、面白いです。2015年の今から見ると、架空のダンス空間ですよね。このグループ自体が、そういうことなのかもしれないですけど。
マツザカ:このバンドのプロフィールが、“架空の街、Awesome Cityのサウンドトラック”なので。めちゃめちゃぶっ飛んでるわけじゃないけど、ここではないどこか、理想の場所があるんだろうなと思います。東京に住んでるバンドなので、この街で起きてることに対して、何かを感じて音や歌詞になってるんですけど、5人のアイデンティティが重なると、Awesome Cityという、自分たちだけの世界になるのかなと。その中の基準として、これは気持ちいい、これはカッコいいというものがあるんだろうなと思います。
──リスナーというよりも、同じような感覚をカッコいいと思う、クラブ会員募集中というか。
PORIN:そうですね。
マツザカ:あと、クリエイターに対しても、「僕らと一緒に面白いことやりませんか?」と言いたいです。
──この先、ものすごく楽しみにしてます。最後に、近未来の夢、目標、野望などを、ひとこと。
マツザカ:近いところで言うと、“2015年にダンスフロアで一番かかったね”と言われるような曲を作りたい。このバンドは、“踊る”ということが大事な要素だし、レコード大賞や紅白もいいと思いますが、自分にとってリアルなのはそこのような気がしていて。「今夜はブギーバック」みたいに、その時代を彩るような曲が出来たらいいなと思います。クラブ・イベントに来ているような人が好きなんですよ。何かを求めて来ている人が、わーっといっぱい入り混じっていて、爆音で音楽が流れていて。去年はずっとあの曲が流れてたよね、とか、そういう会話があって。そういう曲は、すごく大事にされてると思うんですよ。DJにとっても、お客さんにとっても。そういう曲が作れたらいいなと思います。
PORIN:みんながハッピーになれればいいなと思います。私は、夢の印税生活が出来ればいいです(笑)。そして親孝行がしたいです。いろいろ迷惑かけたので。
atagi:近い将来の目標は、1枚のアルバムの中に、日本のマーケットにおいて本当に良質なポップスと、洋楽や邦楽にこだわらずに、音楽好きの人が絶賛するようなドープな曲と、両立できるようなバンドになれたらいいなと思います。というのは、僕の周りにはカッコいいバンドが多いんですけど、バンドのカラーが音楽性だけにとどめられてることが多くて。そのバンドといえばこのジャンル、という、そういうことにちょっと違和感があって、ほかの方法もあるんじゃないかな?と思っているので。うちのバンドはキャラの濃い人が集まっているし、いろんな曲が出来そうだなと思っているので、いい意味で“また変な曲出したな”と言われるようになったらうれしいです。
取材・文●宮本英夫
『Awesome City Tracks』
配信限定アルバム
01.Children
02.4月のマーチ
03.Jungle
04.Lesson
05.P
06.It's So Fine
07.涙の上海ナイト
https://itunes.apple.com/jp/album/-/id975483819
ライブ・イベント情報
2015.04.29 (Wed)
タワーレコード渋谷店1Fイベントスペース
イベントに関するお問い合わせ:タワーレコード渋谷店 TEL:03-3496-3661
http://tower.jp/store/kanto/Shibuya
2015.04.19 (Sun)
タワーレコード名古屋パルコ店 店内イベントスペース
イベントに関するお問い合わせ:タワーレコード名古屋パルコ店 TEL:052-264-8545
http://tower.jp/store/chubu_hokuriku_shinetsu/NagoyaParco
2015.04.18 (Sat)
タワーレコード難波店 5Fイベントスペース
イベントに関するお問い合わせ:タワーレコード難波店 TEL:06-6645-5521
http://tower.jp/store/kinki/Namba
<VIVA LA ROCK 2015>
5月3日(日・祝)、4日(月・祝)、5日(火・祝)
*3日(日・祝)のみ出演
さいたまスーパーアリーナ
オフィシャルサイト
http://vivalarock.jp/2015/
(問)DISK GARAGE TEL:050-5533-0888 (平日:12:00~19:00)
<RUSH BALL☆R>
2015.05.09 (Sat)
大阪城音楽堂 *雨天決行
出演:asobius / Awesome City Club / HOWL BE QUIET / RAZORS EDGE / Rhythmic Toy World / SOUL FLOWER UNION / WANIMA / 愛はズボーン / ザ・チャレンジ / 密会と耳鳴り
(問)GREENS TEL:06-6882-1224
http://www.greens-corp.co.jp/
<プリティーツーマン~友達って大事だよね。~>
2015.05.22 (Fri)
東京・下北沢SHELTER
出演:ふくろうず / Awesome City Club
(問)HOT STUFF PROMOTION TEL:03-5720-9999
<SAKAE SP-RING 2015>
6月6日(土),7日(日)
会場:名古屋・DIAMOND HALL / APOLLO BASE / CLUB QUATTRO / 他
*出演日・出演会場は決定次第お知らせいたします。
イベントオフィシャルサイト
http://sakaespring.com/
(問)SAKAE SP-RING事務局 TEL:052-973-0313(月~金10:00~18:00)
SAKAE SP-RING 2015
http://sakaespring.com/
<ツタロック×SHIBUYA TSUTAYA presents SCRAMBLE FES 2015>
2015.06.07 (Sun)
東京・TSUTAYA O-EAST / O-WEST / O-Crest / O-nest
*出演会場は決定次第お知らせいたします。
出演:赤色のグリッター / uchuu. / Awesome City Club / Shiggy Jr. / SHIT HAPPENING / シナリオアート / セプテンバーミー / NECOKICKS / Yogee New Waves / LILI LIMIT・・・ and more!!
(問)TSUTAYA O-WEST TEL:03-5784-7088
Tチケット TEL:0570-783-078(10:00~21:00)
ツタロック×SHIBUYA TSUTAYA presents SCRAMBLE FES 2015
http://tsutaya.jp/scramblefes2015/
<PLAY VOL.23>
2015.06.19 (Fri)
東京・渋谷La.mama
出演:elephant / Awesome City Club
(問)渋谷La.mama TEL:03-3464-0801(15:00~22:00)
http://lamama.net/
<Awesome Talks -vol.02>
2015.08.21 (Fri)
東京・shibuya WWW
出演:Awesome City Club・・・and more!!
(問)HOT STUFF PROMOTION TEL:03-5720-9999
http://www.red-hot.ne.jp/
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