【インタビュー】リクオ「チャボさんと共演すると、みんな10代のロック少年みたいになるんですよ」

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▲リクオ&仲井戸“CHABO”麗市&梅津和時。

■そのときにしか生まれない一期一会の空間

──2015年は4月5日下北沢GARDEN<HOBO SPECIAL>からファイナルの5月15日沖縄<HOBO SOUTH BOUND>まで全9公演。そのうち仲井戸“CHABO”麗市さんが6公演参加しますね。

リクオ:2013年の<HOBO CONNECTION>にチャボさんに出てもらって、そのときが20年以上振りのチャボさんとの共演だったんです。1990年に僕がデビューする直前に、渋谷ジャン・ジャンでやった友部(正人)さんのライヴにゲストでチャボさんが出演されたんですけど、友部さんが僕をサポート・ピアニストとして呼んでくれたんですよ。僕にとってはチャボさんはRCサクセションのギタリストであると共にソロ・アルバムも学生時代から愛聴していて、邦楽の中で最も影響を受けたミュージシャンの1人だったんで、共演できたことで僕にとって凄く大きなメモリアルになった日だったんです。ただそれから共演できる機会がなかなか無くて。<HOBO CONNECTION>に出ていただいたことでまた縁がつながったんですよね。

──そのときはアンコールで梅津和時さんと3人で「胸が痛いよ」(忌野清志郎とリクオの共作曲)を演奏したことがハイライトになっていましたね。

リクオ:僕の中でもハイライトでしたね。梅津さんは僕のデビュー当時のプロデューサーだったんで。梅津さん自身がRCサクセションと長く活動してきた人でもあるし、本当に色んな縁とか時代がつながったという実感があのときはありました。チャボさんは2014年も<HOBO CONNECTION>に3公演に参加してもらって、2014年の中川敬(ソウル・フラワー・ユニオン)君とのツアー<うたのありか2014>にも3公演ゲスト参加しもらったり、共演させてもらう機会が多くなりましたが、毎回学ばせてもらうこと、刺激になることが本当に多いです。チャボさんが演奏に参加してくれると、凄い化学反応が起こるんですよ。

──それはどんな化学反応ですか?

リクオ:みんな10代のロック少年みたいになるんですよね(笑)。ときめき感がハンパないというか。それがチャボさんと共演したときのみんなの特徴ですね。チャボさんって人をそういう風にさせるような、音楽的な魅力だけじゃない人間的な魅力とか器の大きさとか、それまで経てきた音楽人生がステージの上に全部出るんですよね。

──2013年はチャボさんとリクオさん、バンバンバザール、山口洋(HEATWAVE)さんによる「満月の夕」も素晴らしかったですし、ひとつのイベントにハイライトシーンがいっぱいあるような気がします。リクオさんの中で特に印象に残っているシーンを教えてもらえますか?

リクオ:いっぱいありますよ。2014年の渋谷クアトロの<HOBO SPECIAL>でも僕の中でハイライトシーンが多くて。例えば曽我部恵一君の果し合いに挑むような緊張感とか、物凄くモチベーションが高くて。なれ合いじゃないんですよね。特に出演者の1人だった奇妙礼太郎君(今年も3公演参加)と曽我部君を交えたセッションは刺激的でした。もともと奇妙君は曽我部君のレーベルからアニメーションズというバンドでCDデビューしていて、奇妙君にとって曽我部君は先輩ミュージシャンであると同時にお世話になったレーベルの代表でもあるんです。2人とも互いに対する深い思い入れがあって、そういう関係性というのが良い意味でステージ上に出ていたんじゃないかなと思うんですよ。あと、あの時は遠藤ミチロウさんと小坂忠さんがほぼ初対面に近かったんです。


▲曽我部恵一&奇妙礼太郎。

──確かに接点は全く無さそうですよね(笑)。

リクオ:そうなんです。ミチロウさんがどういう音楽をやっているかも忠さんはほとんど認識していなかったんですよね。それで、出番前に舞台袖からミチロウさんと自分達の演奏を見ていたそうなんですけど、その時のミチロウさんのパフォーマンスが忠さんにとってはかなり衝撃だったみたいなんです。ステージ上のエキセントリックさとは打って変わって、普段のミチロウさんはとても常識人で訊き上手話上手なんで、楽屋でも忠さんとミチロウさんの会話が弾んでたんですよね。だからステージに上がったミチロウさんの姿が物凄く豹変して映ったみたいなんです(笑)。でもそれで忠さんの中でスイッチが入った。舞台袖でミチロウさんのステージを見たことが非常に刺激になってステージに上がったと思うんです。

──なるほど、そこでも化学反応が起こっていたんですね。

リクオ:ミチロウさんが自分のステージの最後に歌ったセッション曲がディランの日本語意訳カバー「天国の扉」で、その後にステージに上がった忠さんの1曲目がサッチモの「What a Wonderful World」を僕のピアノとのデュオでやるという流れで。ステージの構成も自分が考えるんですが、これはかなり狙って作った流れなんです。その流れで忠さんがステージに上がって歌に入るときの集中力というのが本当に凄くて、素晴しいパフォーマンスだったんです。たぶんその集中力は、その前のミチロウさんと僕たちのセッションが引きだした部分もあると思うんです。

──色んな出演者がそれぞれ影響し合ってその日の演奏に反映されているという意味で本当に「一期一会」のイベントですね。全体にアットホームなムードはあるんですけど、出演者の演奏は鋭いですもんね。

リクオ:2014年の渋谷クアトロ<HOBO SPECIAL>のときは特にその要素は強かったですね。凄く良い緊張感がありました。

──緊張感のあるステージといえば、2013年に出演された七尾旅人さんも思い出されます。

リクオ:そうですね。あのとき彼がアンコールのセッションで歌った「いい事ばかりは ありゃしない」(RCサクセション)のボーカルも素晴らしかったですね。

──2015年全体のテーマはリクオさんの中でありますか?

リクオ:2015年は初共演同士と久しぶりに再会をするミュージシャンもいるんです。例えば4月29日横浜ThumbsUpのチャボさんと友部さんは、僕が25年前に初めてチャボさんと演奏させてもらったのが友部さんの企画ということもあって、僕にとっても思い入れの深い組み合わせですね。四半世紀を経ての3人の再会という僕の中でのドラマがあって。そこに再会だけじゃなくT字路sという初共演者もいるというのも楽しみです。

──梅田Shangri-La<シェキナ・コネクション>ではまさに大阪ならではのメンツですね。

リクオ:大阪ならではですね。この日のホストバンドが高木まひことシェキナベイべーズという大阪を拠点に活動しているロックバンドなんですけど、彼らは木村(充揮)さんとは初共演。この日は、関西のブルースロックの流れを汲む世代の違うミュージシャンがつながり合う日でもあります。本夛マキちゃん、ザ・たこさんの安藤君(安藤八主博)等参加者全員が関西出身か関西在住なんです。地域色満載、大阪ならではのコテコテの夜を期待してください。

──初日に出演する金子マリさんについてはいかがですか?「Don't be afraid」(1992年『SHOUT SHOUT OUT』収録)のコーラスで共演していますが。

リクオ:ライヴ会場では年に数回お会いする感じですけど、ステージ上でがっつりとセッションさせてもらうのは自分の中では初めてに近い感覚がありますね。ステージ上よりも下北沢の飲み屋でご一緒させて頂いている時間の方がずっと長い(笑)。

──bonobosの蔡忠浩さんとの共演もありますね。

リクオ:蔡君は2014年の11月に岡山のイベントで共演して、彼の弾き語りを初めて見たんですけど、素晴らしくて。また共演できたらなと思っていたんです。この日は大柴広己君がホスト役になるんですけど、キクチリョウタ君も含めて初共演尽くしの一夜になりますね。それから高円寺jirokichiの<酔いどれナイト>の重要なキーワードはサブタイトルからも伝わるかと思いますが「アルコール」です。この日はミュージシャンもステージで飲みながら演奏します。花田裕之、武藤昭平with ウエノコウジという普段から飲酒ライブをやるメンバーが揃っているんで。もちろん、僕もこの日は飲ませてもらいます(笑)。そして最終日の沖縄公演はチャボさんと自分以外は沖縄在住ミュージシャン、BEGINの島袋優君とSAKISHIMA meeting(新良幸人×下地勇)が参加して、地域色の強い内容になります。

──初めて<HOBO CONNECTION>を観る方に、改めて楽しみ方を教えてもらえますか?

リクオ:出演者が多数のライヴイベントというのはたくさんあると思うんですけど、<HOBO CONNECTION>は参加したミュージシャン同士がコラボセッションするというのが大きな軸で、そのときにしか生まれない一期一会の空間をミュージシャンだけでなくお客さんも巻き込んで作って行くのがイベントのテーマなんです。好きなミュージシャンの今まで知る事のなかった一面が見えると思うし、自分が知らなかったミュージシャンにも出会える、新しい発見と出会いにあふれたイベントだと思います。特に今年はチャボさんが6公演参加してくれるので、チャボさんを媒介とした化学反応にも多いに期待して下さい。ぜひ多くの人に観に来てもらって、貴重な一期一会を体験、共有してもらいたいですね。


▲「HOBO CONNECTION 2013」より。

取材・文●岡本貴之

ライブ・イベント情報

★HOBO CONNECTION 2015スケジュール★
<下北沢 HOBO SPECIAL>
2015年4月5日(日)下北沢 GARDEN
【出演】
リクオ with HOBO HOUSE BAND(ドラム:椎野恭一/ベース:寺岡信芳)&仲井戸“CHABO”麗市
金子マリ、奇妙礼太郎
Open 17:00 Start 18:00
着席 前売り¥5000 当日¥5500(1D別)
スタンディングチケット ¥4500 当日¥5000(1D別)※学割チケット ¥2500(要予約)
<学割予約> ※大学生・専門学生まで対象

<下北沢 ~featuringもじゃまつり~>
2015年4月17日(金)下北沢 440 foru forty
【出演】
大柴広己/リクオ/蔡忠浩(bonobos)/キクチリョウタ
0pen 19:00/Start 19:30
前売り¥3500/当日¥4000(1D別)

<梅田 ~シェキナ・コネクション ~>
2015年4月24日(金)Shangri-La
【出演】
高木まひことシェキナベイべーズ /木村充揮 /リクオ /本夛マキ /安藤八主博(ザ・たこさん)
Open 18:30/Start 19:00
前売り¥3500/当日¥4000(1D別)

<横浜 ~Good Music Good Singing YOKOHAMA~>
2015年4月29日(水・祝)ThumbsUp
【出演】
リクオ 仲井戸“CHABO”麗市 / 友部正人 / T字路s / 宮下広輔(ペダルスティール)
Open 17:00 Start 18:00
前売り¥5000 当日¥5500(1D別)※学割チケット ¥2500(要予約)
<学割予約> ※大学生・専門学生まで対象

<名古屋 ~ Good Music Good Feelling NAGOYA~>
2015年5月7日(木)Nagoya CLUB QUATTRO
【出演】
リクオ with HOBO HOUSE BAND(ドラム.椎野恭一/ベース.寺岡信芳)&仲井戸“CHABO”麗市/奇妙礼太郎
Open 18:30 Start 19:00
前売り¥4500 当日¥5000(1D別)

<京都 ~Good Music Good Feelling KYOTO~>
2015年5月8日(金)磔磔
【出演】
リクオ with HOBO HOUSE BAND(ドラム:椎野恭一/ベース:寺岡信芳)&仲井戸“CHABO”麗市/奇妙礼太郎/吉田省念
Open 17:30 Start 18:30
前売り¥4500 当日¥5000(1D別)

<京都 ~Good Music Good Singing KYOTO~>
2015年5月9日(土)磔磔
【出演】リクオ/仲井戸“CHABO”麗市/友部正人/杉瀬陽子
Open 17:00 Start 18:00
前売り¥4500 当日¥5000(1D別)

<高円寺 ~ローリング・ジェントルメン~酔いどれナイト~>
2015年5月12日(火)jirokichi
【出演】
リクオ/花田裕之/武藤昭平 with ウエノコウジ
Open 18:30/Start 19:30
前売り¥4000/当日¥4400(1D別)

<沖縄 ~HOBO SOUTH BOUND~>
2015年5月15日(金)桜坂劇場
【出演】
リクオ/仲井戸“CHABO”麗市/SAKISHIMA meeting(新良幸人×下地勇)/島袋優(BEGIN)
Open 18:30 Start 19:00
前売り¥4000 当日¥5000(1D別)


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