【インタビュー】PENICILLIN、初のカバー集完成「高校時代の俺をビックリさせたい」

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■僕らがカバーすることによって
■昔の失われてしまった景色や文化にもスポットを当てられたら

──久保田早紀さんの大ヒット曲「異邦人」はエキゾティックな雰囲気を持つ曲で。

HAKUEI:異国情緒漂う曲ですね。

O-JIRO:僕の中では「桃色吐息」に通じる、ちょっと不思議な雰囲気があるイメージですね。こういうタイプの曲はやっぱりPENICILLINに合うんだなって。

千聖:歌謡曲というより当時のニューミュージックだよね。「異邦人」はHAKUEIが歌ったら、PENICILLINのキャッチーな一面が出るなって思った曲でもありますね。ギターは16ビートでカッティングしてドラムも16ビートっていうアレンジも見えやすかったし、ライブの絵がすぐに見えた。PENICILLINのキャッチーな部分をアプローチできる曲なんですよ。

O-JIRO:シンプルなパターンの積み重ねでできている曲で、ムダがまったくないんですよね。だからこそ歌のメロディの上がり下がりがすごく重要な曲でもあり。

HAKUEI:似てる曲がないぐらいに独特の光を放っている曲でホントに名曲ですね。歌ってみたら難しい曲でもあった。オリジナルより少しテンポが速いアレンジになっているんですが、曲が染みついているだけに最初は戸惑いましたね。

──それと、このアルバムでは計3曲も中森明菜さんのヒット曲のカバーをしていますよね。新たに「1/2の神話」をセレクトしたのは?

千聖:中森明菜さんがベストアルバムをリリースした2014年に、「1/2の神話」のサビの最後がCMスポットで使われていたんですよ。“懐かしいな、カッコ良いな”と思って聴いてたら、カバーしたくなっちゃったっていう。改めて原曲を聴いたら、このまんま行けるんじゃないっていうぐらいロックなアレンジでカッコいいなって。

──イントロのハードエッジなギターリフが印象的なアレンジになっていますが。

千聖:ギターリフに関しては、僕なりにこの曲をイメージしたフレーズを弾いた感じなんですけどね。それにしても中森明菜さんは女性にしてはキーが低いところを攻めるなぁってビックリしました。

O-JIRO:音域が広いですよね。「1/2の神話」もAメロはかなり低いところから始まるんだけどパンチがある。

──HAKUEIさんはカバーしてみて、中森明菜さんの曲は自分の声に合うな、と思ったんですか?

HAKUEI:いろいろな曲を試しに歌ったんですけど、どれもイケるなって感触はありました。あと、中学生のときに熱病みたいに中森明菜さんにハマった時期があったんですよ。独特の雰囲気があって、かわいいし、カッコいいじゃないですか。1人でコンサートに行ったこともあった。

──それも当時のHAKUEI少年に教えてあげたいですね。「キミ、歌うようになるよ」って(笑)。

HAKUEI:そうですね、ホントに。23年間、バンドを続けてきてPENICILLINのフィルターを通して中森明菜さんの曲を世に出すのは感慨深いものがありますね。当時は今みたいにアーティストが身近な存在じゃなくて、雲の上の大スターみたいな感覚で見ていたので。

──あと、イルカさんが歌って大ヒットした「なごり雪」はフォークの名曲ですよね。どうロックなアプローチにしようと臨んだんですか?

千聖:この曲のカバーはロック寄りというよりも、AORに通じるシンセの打ち込みリフがフィーチャーされているので、バンドサウンドともちょっと違うアプローチですよね。雪どけの春のイメージがある別れの歌なので、その切なさと温かさをうまく出したかったんです。自画自賛ですけど、この曲のギターアレンジは個人的にかなり気に入っています。

O-JIRO:最初はシンセものを足し過ぎてオシャレなアレンジになりすぎちゃったんですよ。もうちょっとガサツなほうがいいんじゃない?っていう話になって。

──後半の切なくも爽快なギターソロがいいですね。

千聖:「そうかい?」って言いたいところですけど、やめておきますね(笑)。

O-JIRO:やめてないけどね(笑)。

千聖:ダイナミックなアレンジになったので、激しい雪になっちゃったのかもしれないですけどね(笑)でも凄い好きですよ。

HAKUEI:それと「なごり雪」は言葉のチョイスが時代を映し出してるんですよね。“汽車を待つ君の横で僕は時計を気にしてる”とか。

千聖:今だったら電車だし携帯かメールかLINEだよね。

HAKUEI:当時はその情景がリアルだったんでしょうね。僕らがカバーすることによって、昔の失われてしまった景色や文化にもスポットを当てられたらって思いましたね。すごく美しい表現だし、今後もありえない情景なので。それと、この曲はマネージャーのイチ押しなんですよ。「みんなで候補曲のアイディアを出そうぜ」って言っていたら、彼が「なごり雪! 以上!」って(笑)。

O-JIRO:渾身の一撃でしたね(笑)。

HAKUEI:もう20年以上になる付き合いのマネージャーでメンバーみたいなものなので、じゃあ、渾身の「なごり雪」をやろうって。

──なるほど。ボーナストラックに収録されている松崎しげるさんの「愛のメモリー」は唯一の男性ボーカリストのカバーで、これがまたPENICILLINらしいんですよね。

HAKUEI:これも歌ってみたかった曲ですね。

千聖:松崎しげるさんとHAKUEIの歌が合うのかなと最初は思っていたんですけど、ちゃんと自分のものにしてるなと。

HAKUEI:原曲の良さをなぞりながらアレンジしていくのが、今回のカバーアルバムの基本なんですけど、この曲だけはサビでテンポアップさせてもらいました。勢いのあるバージョンで締めるのもいいかなと。

O-JIRO:これはPENICILLINじゃないとできないアレンジになっていると思います。

──では最後に、4月11日からスタートする<PENICILLIN SPRING TOUR 2015 春風突風>についてBARKS読者にメッセージをお願いします。

千聖:ツアーではカバーはもちろん、オリジナル曲も演奏するし、ライブだとまた違う響き方をすると思うので、ぜひ遊びに来てほしいですね。カバー曲は原曲と聴き比べたらPENICILLINらしさが浮き彫りになっていることが伝わると思うんです。それもライブで体感できると思うので、一緒に楽しい春を迎えましょう!

取材・文◎山本弘子



■『Memories ~Japanese Masterpieces~』

2015. 3/18(水) 発売
【初回限定盤 CD+DVD】XNBG-10019/B / ¥3,800(本体価格) + 税
※ジャケットイラストは漫画家 上條 淳士氏 (代表作「TO-Y」「SEX」) によるメンバーをイメージしたオリジナルイラスト。
【通常盤 CD ONLY】XNBG-10020 / ¥3,000(本体価格) + 税
1. 天城越え
2. 北ウィング
3. 桃色吐息
4. 異邦人
5. 夢の途中 ~セーラー服と機関銃~
6. 飾りじゃないのよ涙は
7. シルエット・ロマンス
8. 1/2の神話
9. プレイバックpart2
10. なごり雪
11. 愛のメモリー  ※通常盤ボーナストラック
<DVD>※初回限定盤
1. 「天城越え」ビデオクリップ
2. 「SOL」ビデオクリップ

■<PENICILLIN SPRING TOUR 2015 春風突風>

15.4/11(土) 梅田 Shangri-La  OPEN 17:30 / START 18:00
15.4/12(日) 梅田 Shangri-La  OPEN 16:30 / START 17:00
15.4/18(土) 名古屋 ell. FITS ALL  OPEN 18:30 / START 19:00
15.4/19(日) 名古屋 ell. FITS ALL  OPEN 17:30 / START 18:00
15.4/25(土) 東京 キネマ倶楽部  OPEN 17:00 / START 18:00
15.4/26(日) 東京 キネマ倶楽部  OPEN 16:00 / START 17:00
【チケット】
All Standing ¥6,500(税込/D別)
15.4/25(土)・26(日) 東京 キネマ倶楽部 公演のみ 2F指定席もあり。¥7,500(税込/D別)
※ご入場には6歳以上からチケットが必要になります。
[問]サイレンエンタープライズ 03-3447-8822(平日12:00~18:00)

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