【インタビュー】奥華子、全部あの人がいたからなんだなって大人になってから気付く「君がくれた夏」
■もっと多くの人に『奥華子好きです』って胸を張って言ってもらえるような そんな存在になれるように自分を高めたい
――カップリングの「大切なもの」は、2014年、48本に及ぶ長いツアーをやったからこそ出来たのかなっていうアレンジが最後のコーラスに現れていますね。
奥:そうなんです。あそこはみんなで唄ってほしい。実は私のレパートリーの中には、ライヴで一緒に唄える曲って少ないんです。あと、春って、進学や就職で新生活をはじめる人が多いと思うので、そういう人に向けて、前向きなメッセージソングみたいな応援ソングを作りたいなと思ったんですね。自分が心機一転、何か新しいことに踏み出そうとしたのはいつだったか考えたんですが、私の場合は学生じゃなくて、路上ライヴをはじめた頃だったんです。
――自分の体験を通した歌詞なんですね。
奥:はい。その頃の私は「新しい自分になりたい」「もう一回、頑張りたい!」っていう気持ちでいっぱいで。最初はとにかくメジャーデビューしたいっていう大きい夢を漠然と持っていたけれど、路上ライヴをはじめてからは、とにかく目の前の人に伝わるように、足を止められるようにってことを考えるようになっていったんです。結果的にメジャーデビューできたんですが、その気持ちって、今でも変わらないんです。結局、目の前の一つ一つのことをやることが、いろんなことに繋がってくと思って、この曲の歌詞に込めたんです。最後の部分のコーラスはみんなで唄って、前向きになりたいなぁと思って(笑)。
――3曲目にはインディーズ時代に作った「本当の世界」を収録していますね。
奥:これは、私が曲を作り始めてすぐくらいに作った曲なんです。その頃のデモを録音したカセットテープに入っていて。路上ライヴを始める前に一人でライヴハウスに出ていた頃に唄っていたんですが、その後はライヴでもやっていないので、ほぼ未発表みたいな曲なんです。そういう曲って、まだ何曲かあって。せっかく作ったし、いつかはCDに残したいなっていう気持ちもあったし、なんとなく今の時代にしっくり来るなぁと思ったので、アレンジも自分でやって、奥華子だけで完結するような感じで作りました。
――歌詞も当時のまま?
奥:はい。そのまま。本当はちょっと変えたいところもあったりしたんです。今の自分だったらこういう風に書かないって思ったところもたくさんあったんだけど、変えちゃったら意味がないかなと思って、あえてそのままです。
――今の自分は書かないというか、書けないということもありますしね。
奥:そうなんです。今ならこうは書けないっていうところも確かにある。荒削りで直球の感じも逆に新鮮で。結構、自分の根本を唄っているなぁとも思って。私は、本当の幸せってなんだろうとか、生きる意味はなんだろうってところから、恋愛も自分の仕事のことも考えていくから。自分の根本にあることをこの曲では唄っているんだと思います。あと、歌詞だけじゃなく、構成も今ならやらない作り方なんですよね。
――転調が続く(笑)。
奥:しかも、サビごとに。なんでこんな作り方してるんだろう(笑)。この時期って、固定概念に捕われてないんですよね。盛り上がって次に行きたいから、じゃあ、転調しちゃえ!みたいな。すごい自由だなぁと思った。
――気持ちいい方に進んでいきたいという感じですよね。
奥:そう(笑)。だけど、この転調は斬新すぎ。普通はこんなにやらない。その時の、「こういう曲を作りたい!」っていうエネルギーがすごいんですよね。今、そういう気持ちがないわけではないんだけど、昔はまだ技術も少ない中でやっていたから、ガムシャラだったんですね。それが転調につながったのかも(笑)。持ち上げる感じというか。
――「奥華子ってなんだろう?」って考えることも疑うこともしないし、何をやるのも怖くないっていう感じだったのかな。
奥:うん。怖くない。この頃は失うものもないし。自分を信じていたし。これでいいって。今振り返ると、その頃の根拠のない自信って怖いですよね。その根拠のない自信があったからなんとなく続けてこられて、路上ライヴを始める前に一度、「これじゃダメだ!」って時期があって、今がある。でも、若い時の根拠のない自信って、とても大事なんですよね。この年になって根拠のない自信はヤバイと思うんですけど。
――若い時は、経験値がないぶん、それを補っているものがありますよね。それが根拠のない自信だったり。
奥:そう。それがないと突き進めないですよね。
――10周年の14枚目のシングルに、その頃の曲が入ってるというのが、また感慨深いですね。
奥:今作った曲と並べても、案外、変わっていないというのもわかりますね。昔の曲を今でもライヴで唄いますが、実は作りたいものも唄ってる内容もそう変わってないんだなと思います。表現の仕方はちょっと変わってるかもしれないけど。
――ブレてない。
奥:本当に頑固だねって言われますからね(笑)。そういう意味では、いい意味でも悪い意味でも変わってない。もっと変わりたいって思った時期もすごいあったんですけど、なかなか変われなかったし。羽ばたきたい気持ちは今でもあるし、そういう気持ちは無くしていないんですけど。若い時は、必要以上に自分にプレッシャーをかけて自分を苦しめたりもしましたが、今はすごく楽しく音楽もやれているんです。
――2014年は48ヶ所にも及ぶ全国ツアーがあって、ライヴの年でしたが2015年は?
奥:2014年はバンドマンみたいでしたよね(笑)。長かったけど、すごく楽しかったなぁ。2015年は10周年に入ったし、またツアーもやりたいと思っているんです。本当にファンの皆さんに支えられていると思うので、これまでの感謝も伝えに行きたいです。なぜか隠れファンの方が多くて、もっとおおっぴらに「奥華子好きです」って言ってもらえるように頑張らないとなと思います。「俺、10年前から知ってるぜ」って言ってもらえるような存在になれるように自分を高めたいと思います。
取材・文●大橋美貴子
「君がくれた夏」
PCCA-04179 \1,200+税
1.君がくれた夏
2.大切なもの
3.本当の世界
4.君がくれた夏(Instrumental)
5.大切なもの(Instrumental)
6.本当の世界(Instrumental)
ライブ・イベント情報
3/18(水) 18:30~ アスナル金山 明日なる!広場
3/19(木) 18:30~ あべのマーケットパーク キューズモール 3F
3/20(金) 18:30~ 大丸福岡天神エルガーラ・パサージュ広場
3/21(土) 16:00~ サンストリート亀戸 マーケット広場
映画『あしたになれば。』
2月14日(土)より大阪「あべのアポロシネマ」にて先行公開
3月21日(土)より東京「角川シネマ新宿」ほか全国順次公開
出演: 小関裕太 黒島結菜
葉山奨之 / 小川光樹 山形匠 富山えり子 赤間麻里子 / 清水美沙 赤井英和 ほか
監督:三原光尋 脚本:三原光尋 小森まき
制作協力:羽曳野市/藤井寺市/太子町 後援:羽曳野市教育委員会/藤井寺市教育委員会/太子町教育委員会
製作:「あしたになれば。」製作委員会
製作プロダクション:サモワール
配給・宣伝:ユナイテッドエンタテインメント
(c)「あしたになれば。」製作委員会
http://ashitani-movie.com
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