【インタビュー】問題作「貴方解剖純愛歌~死ね~」でデビューする、あいみょん。「音楽は賛否両論あってこそだと思います」
■学生時代は、テストをやる意味がわからなくてそのまま東京に遊びに行っちゃったり。
■今は「変わってる」って言われても、「ありがとうございます」っていう感じです。
──あいみょんは、小さいころから何かを表現していたい子だったんですか?
あいみょん:そうですね。割と活発だったんで、ずっとスポーツやってましたし。曲だけじゃなくて何か作るっていうことも普段からしてますね。曲作らなくても、1週間ずっと画を描いてたりもするし。
──どういう画を描くの?
あいみょん:ピカソとか岡本太郎とかダリが好きで、最初は美術の学校に行くのもいいなって思ってたんです。ピカソとか岡本太郎って、誰でも書けるような絵って言われるんですけど、誰でも書けるような絵を描くまでの発想が凄いなと思ってるんです。そういう奥深さが好きというか、簡単な絵って言われるのを承知の上で描いてるのがカッコイイなって。だから私も、誰でも書けるような曲って言われることもあるかもしれないけど、完成形までの発想を想像して欲しいというか。「いいことしましょ」を書くためにブックオフに行って官能小説を買ってるっていうことを知ってもらえたら嬉しいです(笑)。
──「いいことしましょ」もそうだけど、勘違いされる可能性がある曲を歌ってると思うんです。リスキーな道を歩んでるような気がするんですが、自分ではそう思わない?
あいみょん:そうですね……『次出す曲も強烈なものなんじゃないか!?』って、きっと思われますよね。自分のCDがリリースされる前に、他のアーティストさんに初めて歌詞を提供した時も、そのアーティストさんのファンの人から『大丈夫かな?』って心配されてたんですよ(笑)。でも、これからもそういう予想とか評判を超えるインパクトのある曲を出していけばいいって自分では思ってます。
──あいみょんの歌って、個性は強いけど曲調がとてもポップだし、日本のシーンに受け入れられると思ってるんです。というか、Jポップが消費物として量産されてる中で、消費されない音楽として貴重になると思う。これからご自分の歌が、みんなにどう聴かれていくかっていうイメージはありますか?
あいみょん:私、デビューしてからのイメージってあんまり湧いてないんですよね。
──こんなに強烈な曲を3曲も出すのに?
あいみょん:デビューするっていうことがまだ意外で、実感が沸かないというか。友達に『なぁ、歌手になると思ってた?』って、めっちゃ聞いたりしてるんですよ。友達も意外やったみたいだし。高校の同窓会が最近あったんですけど、『お前にそんな才能あったんか?』って驚かれるんです。『あの曲は誰に対しての恨みなん?』とか言われて、『そういうんじゃないんやけどね……』って説明したりもしたんですけど(笑)。でも、デビューすることに驚かれるの、めっちゃ快感ではあります。どや?って。
──どや顔してるんだ(笑)。
あいみょん:『音楽は無理やろう』って、中学の部活の顧問と担任に言われ続けてたのが一番イタかったんですよね。『高校行くのもギリギリやのに、それより勉強しろ!』ってずっと言われてたんで、見返したいっていう気持ちは凄いあったんですよね……私、めっちゃひねくれてるんで。
──そうですか? 意外と謙虚だし愛嬌がある方だなと思ってるんですけど。
あいみょん:ひねくれてます、終わってますよ(笑)。高校入ったら変人扱いされて、めっちゃ悪口とか言われるようになったんですよ。デビューして歌手になったら街で会っても全力で無視する!って思って、モチベーション上げてました。
──全力で無視って、なんかちっちゃいな(笑)。振り返ってみると、変人だったなって自分でも思う?
あいみょん:思います思います。高校の授業中に、ペンの頭に指人形はめてたりしてたんですよ? 指人形を大量に机に並べて遊んでたりしてたし。今思うと気持ち悪いです。中学校に雑誌しか持っていかなかったりもしたし。学校は行ってたっちゃ行ってたんですけど、テストやる意味がわからなくて、テスト受けないで東京に遊びに行っちゃったりもしてました(笑)。別に反抗心とかはなかったんですけどね……今でも変わってるとは言われるんですけど、変わってるって言われることは今は嬉しいことですね。『考え方がおかしい』って言われても、ありがとうございます、っていう感じです。
──変っていうか、自分がしたいことをまっすぐしてたんでしょうね。歌詞も遠慮がないですもんね。だから過激って言われるのかもしれない。
あいみょん:音楽の中で詞を書くのが何よりも好きなんですよね。自分がいいことを思いついたら、いつか音楽とか何かに使えると思って、授業中にプリントの隅っことか携帯に書き留めてた。あ、中学校の時、友達について書いた作文が学年の中で選ばれて中国に派遣されそうになったんですよ。でも実は、ちょっと嘘書いたんで(笑)、選ばれちゃってヤベェって思ったんですけど。
■自分が思ったことを曲で言い返すような部分もあるんだと思います。
──でも、当時からそれだけ文章の才能があったっていうことだ。Jポップって、歌詞がとても重要視されると思うんですよ。だからこそ、「貴方解剖純愛歌」もリリース前なのに賛否両論を呼んでいるわけだし。
あいみょん:私もどっちかと言うと、メロディより言葉のほうを大事にしたいです。音より言葉からのほうが想像力が膨らむというか。最近、どうして自分が洋楽聴かないのか理由がわかったんですけど、言葉の意味がわからないからなんですよね(笑)。洋楽をよく聴く友達は、『言葉の意味なんてどうでもいい。メロディとか音が好き』っていうけど、私は言葉が好きやから、言葉が聴きやすい歌謡にも憧れるんだと思います。
──でも、メロディも凄くいいですよ?
あいみょん:あ、よかったです(笑)。
──っていうくらいの温度感なんだ(笑)。
あいみょん:いや、自分でも曲作ってる時は、『いいメロディできた!』とか思います。でも歌詞重視ですね。私の歌の聴かせどころってそこかなって思ってるんで。私、常にひねくれ精神を持ってるのかもしれないです。いつも誰かの言動に対して自分の中で反論してる。普段はあんまり自分のことを話す機会ってないんで、自分が思ったことを曲で言い返すような部分もあるんだと思います。
──じゃあ、曲の強さは、ひねくれた精神の表れなのかな。そういう反論を歌にしてるからこそ、私はあいみょんにパンクとかロックも感じるのかもしれない。
あいみょん:ですかね。私自身、あんまり音楽詳しくないので何がロックとかパンクとかポップなのかっていうことがわかんないんですけど──。
──大丈夫。そのままでいれば、あいみょんの音楽には本質的な意味でのポップもパンクもロックも付いてくるから。人に言えない感情とかマイナーな意見みたいなものを、こうして音楽にして光を当てるような表現って、パンク~ロックの精神だと思いますよ。
あいみょん:音楽ってそういうものですよね。普段言えないようなことを代弁して、みんなに聴かせるっていうのも音楽家の役割のひとつというか。私はそういうことができるんじゃないかなって思ってるし、これからやっていきたいことなんです。まぁ、自分なりの代弁になりますけど(笑)、共感してくれる人がいたらいいなって思ってます。
──私もそう思います。ちょっとだけ茨の道かもしれないですけど、応援してます。今は、強く気持ちを持ててますか?
あいみょん:そうですね。でも、常に低姿勢で、謙虚な気持ちを常に忘れずにいようと思ってます。そのほうが曲が生まれやすいと思ってるんですよ。上から目線だと自分がトップに立っちゃって、不満なんてなくなりそう。OLさんとかって、上司に言えないようなこと──『マジうざかった!』みたいな悪口を日記に書いたりするじゃないですか。私も、常にそういう人の声を代弁できる位置にいたいんですよね。
取材・文:RYOKO SAKAI
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2015年3月4日発売(タワーレコード限定)
LASCD-0061 ¥500(+税)
[収録曲]
1.貴方解剖純愛歌 ~死ね~
2.いいことしましょ
3.強がりました
2015年3月28日(土)12:30~ ミント神戸2Fデッキ特設ステージ
2015年03月29日(日)14:00~ タワーレコード渋谷店3Fイベントスペース
イベント詳細:http://aimyong.net/news/
2015年3月15日(日)熊本 <HAPPY JACK>
2015年3月21日(土)高松 <SANUKI ROCK COLOSSEUM ~BUSTA CUP 6th round~>
2015年3月22日(日)広島 <Rakuten kobo presents MUSIC CUBE 15>
2015年3月30日(月)大阪 <LiveStandard>
2015年4月15日(水)吉祥寺 <nakashima presents 女子会>
2015年4月19日(日)神戸 <Kiss Fm KOBE presents トアロード・アコースティック・フェスティバル2015>
2015年4月29日(水)渋谷 <HUG ROCK FESTIVAL 2015>