【イベントレポート】<にゅっと。Night>で繰り広げられた、百花繚乱の女性シンガーソングライターたち
NOTTVの音楽番組「MUSICにゅっと。」主催による初のライヴイベント<にゅっと。Night>が開催され、百花繚乱の女性シンガーソングライターたちの競演が繰り広げられた。オフィシャルレポートが届いたので、お届けしよう。
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2015年2月14日、「にゅっと。Night」。『MUSICにゅっと。』シーズン1(2014年10~12月)の目玉企画「ココでミラクル!オーディション」決勝大会でグランプリと審査員特別賞に輝いたアーティストが渋谷のライヴハウスgee-geに集結した。ゲストに駆けつけたSakuとSalleyも含め、個性豊かな歌と演奏が僕たちに東京一贅沢なバレンタインの夜をもたらしてくれた。当夜のレポート、しばしお付き合いください!
●鈴木友里絵:元気娘なだけじゃない
gee-geでブッキングを担当し、番組でも何度か審査員を務めた河合鉄平さんのMCに導かれ、先陣を切るのは鈴木友里絵。彼女の魅力はとにかく明るいキャラと弾けるような笑顔だ。歌声も健康的で元気だが、「八方美人」や「強くなれなくても」はその裏にある悩みや苦しみを伝えていてドキッとする。考えてみれば当然のことなのに、人間は(いや、僕は、か)ひとの表面、楽に見える面しか見ないからいい加減なものだ。もっとも「変身するの」を歌う前には「とても可愛らしい歌」と自己申告してたけど(笑)。全出演者中いちばんバンド向きというか、楽曲がポップソング的なアレンジを呼んでいる気がした。
▲鈴木友里絵
●饗庭 純:物静かだからこその磁力
2番手は饗庭純。鈴木友里絵とは対照的な陰のヒロインである。「チョコレートどころかチラシも音源も持ってこなかったけど、わたしは歌うたいなので、伝えたい気持ちをあなたの心臓のあたりまで届けます」のMCが会場の空気を一気に塗り替える。「いろんな形の愛を歌いたい」とMCを長めにとって絞った3曲は心に刺さりまくった。歌も喋りも自分と対話しているようで物静かなのに、いや、だからこそすごい磁力。視線や声音など、言葉にならない情感が饒舌なのだ。ギタープレイは個性的だし歌唱力抜群でメロディも強い。初めて生で聴いた噂の名曲「般若心経」の透徹した表現には完全にやられた。
▲饗庭 純
●大原由衣子:オーラと美声と愛らしさ
鉄平さんが「大事なことを忘れてました」と、番組でおなじみ「ミュージック~」「にゅっと!」の掛け合いをお客さんに促し、大原由衣子を招き入れる。ギターで2曲、ピアノで2曲。1曲目のバレンタインソング「板チョコ」はアップテンポだが、ゆったりめの曲を切々と歌うのが持ち味だ。訥々としたMCと照れ笑いからシャイな人柄が伝わって手に汗を握るけど、歌い始めると何かが降りてきたかのようなオーラをまとい、陶酔するほどきれいな歌声で粗削りやスリルも味に変えてしまう。楚々とした雰囲気や眼差しも、すべてひっくるめて愛らしい。“大人しいのにほっとけない”魅力が全開していた。
▲大原由衣子
●amamori:笑うしかない個性と実力
amamoriは他のピアノ弾き語りアーティストと楽器は同じでも向いている方角が違う。そもそもピアノの技術が抜群に高い。テンポのよすぎるMCも面白いし、歌詞も発想から展開まで完璧。語弊を恐れず言うなら、泣かせるんじゃなく笑わせる音楽家。個性派揃いのなかでもとびきりの個性だ。MCで「やかましくしてごめんなさい」と言っていたが、決して素っ頓狂なわけではない。「ツィルクス」や「パセリが枯れた!」の“動”から「幽霊」の“静”まで、ダイナミズムが大きいのだ。ピアノの音色も硬軟自在で、そんじょそこらのバンドよりはるかに豊潤な音楽性、圧倒的な実力を見せつけてくれた。
▲amamori
●タグチハナ:時代も世代も超越する歌
そしていよいよグランプリ受賞者タグチハナだ。あどけない表情や語り口とは不釣り合いなほど歌世界は成熟して……とつい言いそうになるが、そんな通俗的な基準で計れる人ではない。「ビア」の歌詞に“10年後”が出てくるけれど、時間軸を超越しているというか、70年代も90年代も彼女のなかにあり、時代や年齢を超越した大事なことを知っている人に見えてくる。「平和がきこえる」や「カムパネルラの星」は全人類共有の記憶から紡がれた歌、あるいは預言者の警鐘のようだ。圧巻のイマジネーション。3月にKnock up!レーベルからリリースされる初の全国流通盤『Orb』も素晴らしいのでお楽しみに。
▲タグチハナ
●Saku:ポップに弾けて客席もアツく
ここからはゲストコーナー。渋谷タワーレコードの看板娘Sakuは「わたしの友達」と紹介する全員女性のバックバンドとともに「あたしを好きだなんて天才かも」「ZOMBIE MORNING」など、切ないこともあるけどなんだかんだでハッピーな日常を歌ったオリジナルに「ジェニーはご機嫌ななめ」のカヴァーも交えてポップにアゲてくれる。鉄平さんが「十代のころから見てるけど、こんなに喋れなくなっているとは」と笑いを誘ったとおり噛みまくっていたけど、「(番組の)MCとは思えない」とセルフつっこみで収拾するあたりに風格を感じました。制作が始まっているという1stフルアルバムが楽しみ!
▲Saku
●Salley:さすがのタイトさ!
大トリのスペシャルゲストSalleyはメジャー畑での活躍も目覚ましい男女デュオ。MCで本人たちも言っていたとおり、小さなハコで聴けること自体ちょっと珍しいし、「赤い靴」「green」「あたしをみつけて」といったおなじみの曲がアンプラグドで新鮮に響いた。かすかな皮肉っぽさが光る歌詞はむしろ味わいが増していたかも。上口浩平のなんでもござれのアコギ、うららの力強くて澄んだ歌声と個性的な節回しががっちり空間を支配し、出演者唯一の男性である上口の控え室での肩身の狭さや二人の服装のかぶりをネタにしたMCでしっかり笑わせて、さすがのエンタテイナーシップを発揮していた。
▲Salley
●それぞれがそれぞれに最高だった
冒頭に「東京一贅沢なバレンタインの夜」と書いたけど、何が贅沢かって、とにかく持ち味がてんでバラバラ。弾き語りといっても、amamoriのところで書いたとおり演奏も歌も各々アプローチが全然違う。金子みすゞの「みんなちがって、みんないい」を引くのは陳腐だけど、それぞれがそれぞれに最高だったとしか言いようがない。
評価されてもされなくても、これからも音楽を純粋に楽しんでもらいたい。生きることがアートだから。決勝大会やレギュラー放送に出演し、ここには出られなかったアーティストたちも含めて、出会えて本当によかった。みんなの幸せを祈っています!
Text:高岡洋詞(フリー編集者/ライター)
NOTTV3 音楽情報番組「MUSIC にゅっと。」
MC:日高央/AYAMO/Saku
公式サイト:musicnyt.jp
twitter:musicnyt
Facebook:facebook.com/musicnyt.jp
Youtube:https://www.youtube.com/channel/UCUM8bxbsRz6q9dsOz-dtLbA/
【にゅっと。Night -vol.1-】ライブ映像は下記の日程にてNOTTV3で放送
#102 饗庭純/大原由衣子(3/3火18:00~19:00)
#103 タグチハナ(3/4水18:00~19:00)
#104 Saku(3/5木18:00~19:00)
#105 Salley(3/6金18:00~19:00)
※見逃した方は公式ページより1週間見逃し配信サービスで誰でもご覧頂けます
●NOTTV3「MUSICにゅっと。」Season2の集大成となる、スペシャル公開収録「にゅっと祭。」開催決定
開始時間:開場:17:30 / 開演:18:00
会場:TSUTAYA 0-WEST
入場料:無料(500円ドリンク代別途)
MC:日高央 / AYAMO / Saku / ずれやまズレ子 / けみお
ゲスト:DEPAPEPE / 空想委員会 / STARMARIE / けみお&アミーガチュ / トレモノ / タグチハナ / イラストレーターTOMOKUNI / THE STARBEMS(後藤裕亮/高地広明)
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