【インタビュー】moumoon、流れ星がまた見れたらいいなってずっと願ってる歌「Hello,shooting-star」
毎月満月の夜に行われれる生ライブ「FULLMOON LIVE」のインターネット中継には、日本のみならず海外からのアクセスも非常に多く、近年ではフランスを始め各国でのライブも大成功。J-POPの枠をまったく意識しないメロディやリズム、そして英語と日本語を歌い分けるYUKAのボーカルの豊かな表現力を武器に、moumoonはその活動域を世界中に広げつつある。今回は、TVアニメ『暗殺教室』エンディング曲になったニューシングル「Hello,shooting-star」のリリースに合わせて、洋楽をベースにした音楽性へのこだわり、YUKAのバイリンガル作詞法(?)についてなど、普段はあまり語られないmoumoonの持つ独自の音楽性に迫ってみよう。
◆moumoon~画像&映像~
■聴いて来た音楽の大半が洋楽だったからその影響が強い
■日本語を合わせるのにけっこう苦労するから
▲「Hello,shooting-star」 |
柾:本当に恵まれて、いい機会がいっぱいありました。一昨年の秋にパリに行ったのが、海外は初だったんですけど。
YUKA: 最初はやっぱり、探り探りでした。自己紹介しても知らない人は知らないし、曲を聴いて乗ってきてくれたら、だんだんほぐれていくし。どんな反応が来るかわからなかったから、とても怖かったです。
柾:日本語がわからない人たちに、J-POPがどういうふうに反応されるのかな? と思ったら、意外と盛り上がってくれて、それはすごくうれしかったですね。一回目はそういうドキドキの中、夢中でやってる感じでした。2回目の時は、もっとみなさんに見入ってもらえるのはどういうライブだろう?って、考えるようになりましたけど。
YUKA:日本のライブもあんまり変わんないかも。v
柾:やってることは結局変わらないんだけどね。無理して違うことしてもしょうがない。
──世界中に聴いてくれる人がいるというのは、うれしいし自信にもなるし。
YUKA:そうですね。言葉がわかんなくてもドキッとするとか、何て言ってるんだろうな? って想像しながら洋楽を聴いて大きくなってるから、それと同じことが起きてるんだなと思うと、すごくありがたいと思います。
柾:ジャカルタでやった時に、僕らのインディーズのアルバムの中の「good night」という曲があって、それはいつもインターネットライブの時に最後にやっている曲なんですけど。それをみんなAメロから歌ってくれたんです。
YUKA:すごいメロウな曲なのに。あれはびっくりした。
柾:日本でもそんなこと起きたことないのに(笑)。
──言葉がわからないからこそ、一生懸命聴いて覚えたんじゃないですか。
YUKA:YouTubeで見て覚えたらしくて。
柾:嬉しいし、不思議なかんじですね
──柾さん、さっきJ-POPという言い方をしましたけれども。どうなんでしょう、moumoonの音楽って、洋楽の要素も大きいし、実際に海外でも評価を受けているけれど、まぎれもなく日本のポップスだし。作る時にはどんなことを考えてるんですか。
柾:今J-POPと言ったのは、すごいJ-POPっぽい音楽だと思っているということでもないんですけど……。でもいろんな音楽が混ざって独自の感じになると、これはJ-POPなのかなと。今僕らが作っている音楽は、昔聴いた日本の音楽の影響はほとんど入っていないから、そういう意味ではJ-POPでもないんですけどね。どうなんだろう?
YUKA:でも端々に、絶対入ってくると思うけど。
柾:いろいろ混ざりますよね。でも聴いて来た音楽の大半が洋楽だったから、その影響のほうが強いかもしれない。日本語を合わせるのにけっこう苦労するから。
YUKA:うん。難しいね。
柾:日本語を入れるとしっくりこない曲だったりとか。今回の曲「Hello,shooting-star」は、日本語が合う曲でした。
YUKA:曲によって、最初にまず考えることは、どっちで行くか?みたいなことなので。
──英語か日本語か。
柾:極力、日本語で行きたいんですけどね。伝わりにくくなくなっちゃうから。
──今回の「Hello,shooting-star」は、これは最初から日本語だと?
YUKA:そうですね。口ずさんだ時にどっちが合うかな? というものがあって、聴いた時に毎回決まるんですけど。日本語で書いた時にハマらないメロディは、ハマらないままずーっと行っちゃうし。だけど今回は、最初に聴いた時に、私の中で和のテイストがすごく強い曲だったので。
──この曲って、いわゆる書き下ろしですか。アニメ『暗殺教室』エンディング曲の話をもらって。
柾:そうですね。
──原作はかなりハードな、アクの強い作品なので。どういう曲調にするか、考えたと思うんですけども。
柾:でもエンディングだから、ゆったりした感じがいいのかなと。アニメだといろんな幅広い人が見てくれると思うから、普段よりもいろんな人に届くような、あんまり尖りすぎてないほうがいいかなと思って作りました。
YUKA:とは言いつつも、いろいろ作った気もするんだけど。
柾:あ、そっか。4曲ぐらい出したっけ。
YUKA:攻め攻めの曲も作ったし。でも最終的に“あ、これで良かったな”と思ったのは、moumoonらしいなと思ってもらえるような音の感じとか、言葉とか、そういうものがうまく出てきたから。デモの段階では割りとおとなしい曲で、アコースティックでさらっとしていて、それだけじゃちょっと嫌だなと思ってたんですけど。アレンジする時にもうちょっとエモーショナルな部分とか、えぐみのある部分とかがだんだんと出てきて。
柾:うん。
YUKA:ちょっと淋しい感じと、あったかくて懐かしい感じがにじみ出てきたから、moumoonっぽい曲になったと思って、ああ良かったと思いました。
柾:それは、詞が大きいよね。
──サウンドも、二番の終わりのギターソロとか。めちゃめちゃエモいですよ。
柾:僕の中のグランジ魂が出ましたね(笑)。“あ~あ~ああ~”って、YUKAちゃんが歌うところがあるんですが、あのへんもだいぶエモーショナルだよね。そういうところが出来て、曲として深みが出たな、良かったなという感じですね。
──これまで以上にエモいバラード。
柾:でも最後まで聴かないとわからないかもしれない(笑)。一番だけだとさらっと聴こえるし、詞も、2番のBメロとか3番とか、そのへんで本当の部分が出て来る感じがしていて。だから、通して聴いてほしいですね。
──YUKAさん、この歌詞はどんなふうに?
YUKA:最初のきっかけは、“昔はよく流れ星が見えたな……”というイメージでした。私だけなのかわからないけど、子供の頃に、見たいと思った時にパッと流れ星が見えたりとか、今思うとすごくラッキーだったことがあったんです。何かが起こりそうな予感を感じさせるものが、“流れ星”としてずっと自分の心に残っていて、ちっちゃかった頃の自分の目線が自分の中にあるので、その時の自分を主人公にして書いてみようと。だから“あなた”とか“君”とか、だんだん二人称が変わっていくのがちょっと変だと思うんですけど、幼い気持ちの時の自分を“あなた”というちょっと遠い距離で見ていたり、年を重ねるごとにだんだん変わっていく自分の心境を書いてるから、そうなったんだと思います。でもこの曲をパッと聴いて感じてほしいと思うことは、自分がちっちゃい時に思っていた夢を見続けていようとか、ピュアな気持ちを忘れたくないなということです。そう思いつつも、揉みに揉まれてそれを忘れそうになって、でもそうありたいと願って、星空の下で流れ星が流れるのをずっと待っている主人公、というお話なんですけど。流れ星がまた見れたらいいなって、ずっと願ってる歌なんです。
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