【インタビュー】ななみ、「I’ll wake up」で歌う心の変化「過去を愛せるようになったし、自分のことも少し好きになった」

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デビューシングル「愛が叫んでる」がパワープレイ・ランキングで1位を獲得したななみが、待望のニューシングル「I’ll wake up」をリリースする。いじめられていた過去も荒れていた時代のことも包み隠さず、心のきしみや孤独を歌にしてきた彼女が自分を解き放ったことで生まれた心境の変化とは――? 不器用にしか生きられなかった時代も愛することで、今のななみは新たな一歩を踏み出そうとしている。


◆知らないうちに誰かの生活に寄り添っていたんだってビックリしました。


――デビューシングル「愛が叫んでる」が多くの人に聴かれて感想もいろいろと受け取ったと思いますが、そのことによってななみさんの中に生まれた心境の変化は?

ななみ:「愛が叫んでる」を作った10代の頃は自分自身が愛を欲しくて叫んでいたんですが、デビューしてからはそう思っている人たちに愛を分けたいというふうにどんどん気持ちが変化していった。それがすごく嬉しかったですね。また一歩、進めたと感じています。

――嬉しくもあり、同時に責任も感じている?

ななみ:そうですね。Twitterのダイレクトメールである男の子から「ななみさんの歌のおかげで不登校から抜け出すことができました」という感想をもらったりとか。私自身は不登校だったりヤンキーだったり同じような経験をしている人の心のクッションになれたり、涙のバケツを溢れさせてあげられることができればいいと思っていたので、実際に自分の歌が誰かの行動を起こすキッカケになるとは想像していなかったんです。だから、知らないうちに誰かの生活に寄り添っていたんだってビックリしましたね。

――特にななみさんはいじめられていた頃のことや孤独な過去を赤裸々に話しているから、返ってくる反応も生々しいんじゃないかと思うんですよね。

ななみ:きっと私が隠さないからこそ、触れてくれる人たちも隠さないんじゃないかと思うんですよね。“この人、自分と似た体験をしてるんだな”って聴く歌はきっと響き方が違うと思うから、しゃべったことを後悔したことは1度もないですね。

――では、ななみさん自身も吐き出したことによって楽になったんですか?

ななみ:なりました。以前は過去を汚点だと思っていたし、自分が大っ嫌いだったんですよ。でも、さらけ出したことによって救われたと言ってくれる人たちが増えれば増えるほど、過去を愛せるようになったし、自分のことも少し好きになった。

――なぜ、こういう質問をしたかというと、やっぱり2ndシングル「I’ll wake up」は闇から光へ向かっていく印象を受けた曲だったからなのですが、心境の変化が反映されているのかなと。

ななみ:曲を作ったのは「愛が叫んでる」でオーディションでグランプリをとった後、18歳の頃なんです。デビューに向かってがむしゃらに曲を生み出していた時期で、“ここから飛び出したい。現実から逃げようとする自分をどうにかしたい”と思っていた頃なんですね。「愛が叫んでる」が誰かの傷に寄り添うような曲なら、「I’ll wake up」には不器用ながら自分だけではなく誰かを救いたいという気持ちが込められていると思います。力加減はわからないけれど、とりあえず背中をドーンと押したい。前に進んでほしいって。今回、リリースするに当たって歌詞やメロディは少し書き換えています。テンポが早い曲なので、できるだけ言葉が耳に残って呪文のように唱えられるイメージで練り直したんです。

――過去を振り返って今の自分を見ているような歌詞ですね。

ななみ:「愛が叫んでる」でも“白”と“黒”のコントラストを大事にしたんですが、「I’ll wake up」も自分の嫌なところと理想を“黒”と“白”に分けて表現していますね。“何かと言っていつも逃げる自分だった”と歌うことによって、前に進んでいきたい気持ちがより伝わると思ったし、いつも人間くさい部分は出したいと思っているので、いっきに“白”に移行するのではなく、自分が抱えているダークな部分は残したかった。

ななみ 2ndシングル「I’ll wake up」

――それがジャケットの写真にも繋がっているんですか?

ななみ:はい。“こういうジャケットにしたい”ってリクエストしました。翼の部分は影になっています。みんな翼を隠し持っているけれど、光のある場所に出ていかないと、その翼は広げられないんだということを表現したかった。

――“今こそ光を 解き放つ”という歌詞が出てきますが、光を放つ前みたいなイメージですか?

ななみ:今から飛び立とうとしているところ、みたいな感じですね。


◆すごく寒かったんですけど、それが当時の自分の凍えるような寂しさと重なったんです。


――ミュージックビデオのエピソードについても教えてください。

ななみ:ミュージックビデオでも自分の過去や現在を表現したんです。海で歌っているシーンは今の自分で、ベッドに横になっているシーンは入院して「なぜ、私はここにいるんだろう」「なぜ、私は普通と違うんだろう」って悩んでいた過去の自分。遊んでいた頃の自分を表現した映像も出てきます。

――ななみさんのヒストリーが盛り込まれている。

ななみ:そうですね。「愛が叫んでる」もそういうビデオだったんですが、さらに伝わるように。

――柵の中で歌っている場面も出てきますよね。

ななみ:あのシーンは囚われているイメージ。ここから抜け出したいという気持ちを表現しています。『バイオハザード』の世界のような外にあるエレベーターで撮って、すごく寒かったんですけれど、それが当時の自分の凍えるような寂しさと重なったんですね。全体的に世界に入り込んで撮影をしたので、私の表情にも注目してほしいです。

――女優、ななみになりきった?

ななみ:そうですかね(笑)。一転、海のシーンは真冬の海を裸足でかけまわっていて、解き放たれた今の自分を表現しています。

――ミュージックビデオにしても写真にしても、ずいぶん大人っぽいイメージになったというか、女性らしさが増したような気がします。

ななみ:(笑)別に恋をしたわけでもないんですが、以前は自分の女性らしい部分を出すのが嫌だったんですよね。

――恥ずかしかった?

ななみ:それもあるし、性格が男っぽいので、女性らしさを出して男性に負けたくないという気持ちが強かったんです。でも、デビューしたら、自分ではわからないところにファンの人が気づいてくれて「もっと、こうすればいいのに」って言われたりすると、“ああ、そういうふうに見えているんだ”と気付かされたりしますね。それで、気がついたら女のコになっていました(笑)。“しっかりしなきゃ。ダメなところは見せちゃいけない”とも思っていた部分もありましたからね。

――鎧を着ているようなところがあったんですね。

ななみ:そうですね。子供っぽい部分は見せちゃいけないと思っていたけれど、You Tubeの番組「きつねとななみ」で素で話していたら「天然だね」って言われたりとかしまして(笑)。そうしているうちに、だんだん、“素のままでいいのかな”と思うようになったんです。デビュー当時は悩みがあっても言わずにガマンしていたけれど、それも隠さなくてもいいんだって。

――今日もピンクの服を着てますもんね。

ななみ:たぶん、心境が表れているんだと思います(笑)。

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