【インタビュー】2CELLOS、2015年の抱負は「みんなに嫌われること」

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2年ぶりのニュー・アルバム『CELLOVERSE』で、これまでの2枚とはまた違う面を見せてくれた2CELLOS。より高いレベルを目指したという新作は、よりパワフルでいい意味でアグレッシヴ。曲を全く別ものに変えてしまうアレンジの手腕はさらに巧妙に、4年間ぶっ続けでツアーを行ってきたことで演奏力はさらに磨きがかかった。

しかし、明るく気さくでファン想いのところは変わらず。インタビューの間、じゃれあうところも、お互いの答えに爆笑してしまうところも同じだ。

そんな2人の2015年の抱負は「みんなに嫌われること!」だという。その真意は…

――前作から早くも2年ですね。

ステファン:忙しかったよ。4年間ずっとツアーやってるんだから。

ルカ:そう、それにこの2年は3rdアルバムを作ってたからね。

――何か変化はありましたか?

ステファン:(神妙に)はい。

――何かいいことがあった?

ステファン:はい。僕ら2人とも、独身だ!(笑)

ルカ:(爆笑)

――それは女の子にとってはいいニュースですね。1枚目と2枚目は1年しか空いてなく、今回は2年ありました。準備万端だった?

ステファン:ああ。

ルカ:ようやく、望んでいただけの時間が持てた。

ステファン:締め切りがなかったからね。2枚目は急いで作らなきゃならなかった。大急ぎだった。でも、今回は時間をかけることができたよ。

――2枚目が成功し、プレッシャーもなかった?

ステファン:そう。

ルカ:それに、アルバムを作っているようには考えてなかったんだ。全ての曲をシングルと考え、1曲1曲に集中して取り組んだ。その結果を1枚のアルバムにしたんだ。

――レコーディングをスタートしたのは?

ルカ:「Thunderstruck」が最初だった。このアルバムの1stシングルのね。1年半前かな。

――レコーディングはどこで?

ステファン:ホテルの部屋だよ。

ルカ:ラスベガスのホテルの部屋でレコーディングし始めたんだ。エルトンの公演があって、ひと月同じとこに滞在してたからね。ラップトップとマイクを買って、チェロを借りてレコーディングし始めたんだ。

――全ての曲をですか?

ステファン:ほとんどね。

――ホテルの部屋で音を出していて苦情はなかった?

ルカ:ホテルの従業員からあったね。メキシコ人の掃除の女性が叫んでるの、「Thunderstruck」で聞けるよ(笑)。掃除機かけてる音が聞こえるはずだよ。それに「Shape Of My Heart」ではカジノのリンリンリンって音が入っている(笑)。

ステファン:いい曲なんだから、文句なんか出るわけない(笑)。

――『CELLOVERSE』って素敵なタイトルですね。制作をスタートしたときから念頭にあった?

ルカ:いや、同じタイトルのオリジナル・ソングを作ったんだ。作っているときは、そう呼んでなかったけど、レコーディングしているとき宇宙で星と星の間を旅してるイメージが湧いてきた。それに、ファンがよくソーシャル・メディアでチェロヴァースっていう言葉を使ってたから、それを曲のタイトルにし、アルバムもそう呼ぶことにしたんだ。

――オリジナル・ソングを作っているとき、ユニヴァースというテーマはなかったと?

ルカ:なかった。想像もしてなかったよ。メロディーやリフだけがあった。ステファンがリフを思いついて、そこからメロディーやミドル・パートが生まれ、浮かぶように流れ出したんだ。いいでしょ? とくに酔っ払ってるときは(笑)。

――この曲が完成するのにどれくらいかかりましたか?

ステファン:2日だよ。でも大変だった。

――3rdアルバムで成し遂げたかったことは?

ステファン:僕らがやってきたことを、より高いレベルでやりたかった。よりいいサウンド、よりいい演奏…。ライブを続けてきて、演奏は間違いなく良くなった。それはすでに証明済みだ。よりいい、面白いアレンジができた。レベル・アップしてるよ。ルーツに戻りたいと思って、1stアルバムと同じようにセルフ・プロデュースしたんだ。でも、全ての面でレベルは上だ。

ルカ:アルバムの基礎になったのは「Thunderstruck」だ。すごく評判が良くて、ハード・ロックとクラシックを上手くミックスしてるって言われて、アルバムもその方向で行きたいって思った。

――このアルバムは過去の2作とは違って、カバー・ソングというよりオリジナルのように聴こえました。

ステファン:そう、それが僕らのやりたかったことだ。

ルカ:ただカバーするんじゃなく、アレンジして別のものにしたかった。ユニークでスペシャルなものにしたかったんだ。

――スピーディで、いい意味でアグレッシヴになった。

ステファン:そう、アグレッシヴ、よりパワフルだ。

――最も大変だったことは?

ステファン:全部だよ、全てのプロセスが。

ルカ:「Thunderstruck」だね。アレンジ思いつくのに3ヵ月かかった。

ステファン:レコーディングはすぐにできたけど、それをどうやってまとめればいいかわからなかった。

ルカ:みんな、オリジナル・ソングを作るのは難しいって言うけど、僕らの場合は反対だ。(オリジナル・ソングの)「Celloverse」では自分たちの好きなようにできた。でも、すでにある曲を別のものに変えるのには限界がある。クールでオリジナルなアレンジを考えるのはすごく大変だよ。

――二人は性格も好みも違うと思うので、アレンジのときも違うアイディアがあるのでは? どこで折り合いをつける?

ルカ:レコーディングでは自分たちのできることをやる。それから、時間を置く。何度も聴き直して、変更を加えて、新しいバージョンのほうが良ければそうするし、良くなければもとに戻ってやり直す。どのアレンジでも1日でやるってことはないんだ。熟成させる時間が必要だ。

――方向性で意見が食い違うときは?

ルカ:僕らは違うアイディアを持つ…

ステファン:でも、時間が経つと同じになるんだ。どれが1番いいかってことでは意見が一致する。

ルカ:いつも僕のアイディアのほうがいい(笑)。

ステファン:そう、彼のほうだ(笑)。これはルカのアルバムだ(笑)。

――アルバムの中で1番好きな曲は?

ステファン:難しいな。そのときのムードによるね。「Thunderstruck」と「Shape Of My Heart」を比べることはできない。たとえば、「Mombasa」は名曲だ。でも、「Thunderstruck」や「Smooth Criminal」のようには売れないだろうね。でも、スペシャルな曲だ。

――では、プレイするのが一番難しいのは?

ルカ:ライブだったら「Thunderstruck」かな。

ステファン:それに「Trooper」も難しい。

ルカ:「Thunderstruck」では、僕はステージでペダルを使わなきゃいけないからね。前もってレコーディングしたものは使わない。それにドラマーと一緒にプレイするし。

――ヘヴィ・メタルの曲のほうがポップ・ソングよりプレイするのが難しいとか?

ステファン:同じだよ。僕らに難しいことなんかない(笑)。

――ヘヴィ・メタル・ファンとクラシック・ファンは性格が似ているという研究結果もありますが。

ステファン:そうだよ。クラシック・ファンはクラシックに、ヘヴィ・メタル・ファンはヘヴィ・メタルに取りつかれてる。そういうとこ、似てるよ。どちらもオタクだ。

ルカ:どちらも、そのジャンルのオタクだ。

ステファン:メタル・ファンにはオタクが多い(笑)。

ルカ:クラシック・ファンとメタル・ファンの似ているとこは…、もし君がメタルのアンダーグラウンド・シーンにいて誰も君のことを知らないと、ヒーローになれる。みんな、君が大好きだ。でも、成功してメジャーになると…、ほら、メタリカみたいに、みんなから嫌われる。クラシックの世界も同じだ。誰にも知られてない時は、“素晴らしい、レジェンドだ”って言われるけど、成功した途端、クソだって言われる。この点、2つのファンは似てる。


――全曲、ミュージック・ビデオを作るつもりだと聞いていますが、ビデオのストーリーは誰のアイディア?

ルカ:全部、僕らのアイディアだ。

ステファン:いつもそうだよ。

――監督は?

ステファン:「Mombasa」「I Will Wait」「Shape Of My Heart」で初めていつもと違う監督を使った。でも「Thunderstruck」「Wake Me Up」「Trooper」はいつも一緒にやってる監督だ。「Smooth Criminal」や「Welcome To Jungle」とね。

――次のビデオはどうなる?

ステファン:秘密だよ。どうせサイテーなもんだ(笑)。

――日本で撮影なんてことは?

ステファン:やりたいよ!

ルカ:着物来て、神社で。ラスト・サムライだ。

――エルトンが、「2CELLOSのライブを観てすごく興奮した。そんなことはジミ・ヘンドリックス以来だ」と言っていましたが。

ステファン:彼は正しい。

ルカ:ハハハ

ステファン:僕らはエキサイティングだ。スゴイよ。僕らのショウは最高だ。みんな、そう言う(笑)。

――世界中を周ってみて、その国によってリアクションが違うなんてことは?

ステファン:いつも同じだよ。最高のリアクションだ。どこそこのオーディエンスは静かだとか言われるけど、僕らの場合、そんなことない。みんな、僕らを気に入る。

ルカ:ハハハハ

ステファン:日本の観客は大人しいって言うけど、僕らがプレイするときは違う。立ち上がって踊り出し、叫び出す。僕らの力って偉大だよ(笑)。

ルカ:(爆笑)

――いろいろなことを成し遂げてきましたが、この先、まだできると思うことは?

ステファン:あるよ、もっとメジャーになって…

ルカ:そうなれば、メタル・ファンやクラッシック・ファンから嫌われる。

ステファン:みんなに嫌われたい(笑)。

ルカ:人気が出れば、嫌われる。いい兆候だ。そうなるのが待ちきれないよ(笑)。

――新年の抱負は?

ステファン:みんなに嫌われたい(笑)。ものすごくビッグになりたい。

ルカ:嫌われるほど(笑)。

ステファン:コカ・コーラより有名になりたい

ルカ:マクドナルドより(笑)。

先週、3rdアルバム『CELLOVERSE』をリリースした彼らは、6月に待望の来日公演も決定。まだ明かすわけにはいかないが、サプライズを用意してくれているという。

Ako Suzuki

<2CELLOS来日公演>

【札幌】6/25(木) ニトリ文化ホール 19:00開演
【盛岡】6/27(土) 都南文化会館キャラホール 17:30開演
【仙台】6/28(日) 東北大学百周年記念会館 川内萩ホール 17:30開演
【横浜】6/30(火) KAAT 神奈川芸術劇場 19:00開演
【東京】7/3(金) Bunkamura オーチャードホール 19:00開演
【東京】7/5(日) Bunkamura オーチャードホール 17:00開演
【大阪】7/6(月) フェスティバルホール 19:00開演
【名古屋】7/7(火) 名古屋市公会堂 19:00開演
【広島】7/8(水) アステールプラザ 大ホール 19:00開演
【福岡】7/9(木) 福岡国際会議場 メインホール 19:00開演
チケット発売:[東京・横浜・大阪]2/7(土) [福岡]2/14(土) *他公演は未定

2CELLOS『チェロヴァース|CELLOVERSE』

2015年1月21日発売
初回生産限定盤Blu-spec CD2+DVD: SICP-30706-7 ¥4,167+税(税込¥4,500)
通常盤Blu-spec CD2: SICP-30708 ¥2,500+税(税込¥2,700)
※日本盤独自アートワーク、日本盤のみボーナストラック収録、初回限定盤には2人の最新写真からこれまでの来日時の秘蔵写真満載の16Pのカラーフォトブック封入
Disc 1 Blu-spec CD2()内はオリジナル曲の演奏アーティスト名
1.トゥルーパー(アイアン・メイデン)
2.アイ・ウィル・ウェイト(マムフォード&サンズ)
3.サンダーストラック(イントロ )~
4.サンダーストラック(AC/DC)
5.ヒステリア(ミューズ)
6.シェイプ・オブ・マイ・ハート(スティング)
7.モンバサ(ハンス・ジマー『インセプション』)
8.タイム(ハンス・ジマー『インセプション』)
9.ウェイク・ミー・アップ(アヴィーチー feat, アロー・ブラック)
10.ゼイ・ドント・ケア・アバウト・アス(マイケル・ジャクソン)
11.リヴ・アンド・レット・ダイ(ポール・マッカートニー&ウィングス)
12.ストリート・スピリット(レディオヘッド)
13.チェロヴァース ※2CELLOSオリジナル
日本盤ボーナス・トラック
14.サティスファクション(ローリング・ストーンズ)
Disc2 DVD
超絶チェロの魅力をあますとこなく収めたミュージック・ビデオ・セレクション!「スムーズ・クリミナル」も初収録
1.サンダーストラック(AC/DC)
2.モンバサ(ハンス・ジマー『インセプション』)
3.アイ・ウィル・ウェイト(マムフォード&サンズ)
4.トゥルーパー(アイアン・メイデン)
5.シェイプ・オブ・マイ・ハート(スティング)
6.スムーズ・クリミナル(マイケル・ジャクソン)
https://itunes.apple.com/jp/album/celloverse/id944146303?at=10l3PY
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