【インタビュー】KNOCK OUT MONKEY、2ndアルバムに「理想を描くよりも現実を描きたい」

■アルバム完成直後に入ったスタジオでは演奏に気持ちを乗せることができた
■ただ、お客さんも僕らも、絶対しんどいライブになるやろうな（笑）

──ギターに関してはいかがでしょう。

dEnkA：１stアルバムの時は結構細かいというか、緻密に構築したので、2ndアルバムではもっと骨太で、パワー感のあるギターを弾きたいと思っていたんです。今回は１曲１曲のテーマが分かりやすくて、イメージもしやすかったので、よりそういうアプローチが合うだろうと。いろんなフレーズを散りばめなくても強い印象が残るようなギター……それこそギター1本でも存在感があるようなものを目指していたので、狙い通りにできたかなと思います。

──特に印象深いプレイは？

dEnkA：「RIOT」かな。全体的にはスンナリできたけど、イントロのフレーズを何回も作り直したりして苦戦したんです。登場感というか、頭のパンチ感を出したくて。いろいろ試行錯誤した結果、今の形でいくことになったけど、後から聴いてもすごく良いフレーズだなと（笑）。安易に妥協しなくて良かったなと思っています。

──プレイがストレートな分、音作りにこだわった印象を受けましたが？

dEnkA：音作りは、かなり入念でした。さっき言ったように、前回のアルバムはかなり緻密に作ったけど、音作りに関して言えば、今回のほうが細かかったですね。同じような音でも、曲によって機材やセッティングを変えたりしたんですよ。たとえば、「Take you」はレスポールをマーシャルに直入れした音で録ったりとか。

──マーシャルですか？

dEnkA：そう。いつも使っているメサ／ブギーだと、ちょっと悪そうになり過ぎてしまって。マーシャルを使うとオールドスクールな匂いが出て良かった。あと、「Priority」では、テレキャスターを使ったんですけど、音もプレイも気に入っていますね。Ａメロはレゲエっぽい雰囲気だけど、ギターだけあえてマイナースケールを弾いているという（笑）。スケールアウトしかかってるギターが、ちょっとアブナい感じを出せたかなと。ちゃんとしたスケールで弾いたら面白くなかったんですよ。

──やりますね。今回ギターは何本くらい使いましたか？

dEnkA：エレキギターは、レスポール３本とテレキャスとストラトかな。その５本を曲やパートによって使い分けました。

──王道ギターが好きなんですね。

dEnkA：僕は王道的なギターしか使わないです。あとはアコースティック・ギターを結構入れてるんですよ。「街」のＡメロでアコギのアルペジオを弾いているじゃないですか。それは僕にとって新たな挑戦だったけど、やってみると結構できるものだなと思いました。先日、スタジオで「街」を合わせた時も４人で音を出せばKNOCK OUT MONKEYになることを実感して、今後はアコースティックにも挑戦したいと思っています。

w-shun：歌に関しては、今回全くストレスがなかったです。プリプロの段階で、この曲はどういう歌の表情を出せばいいか？といったことが、すごく明確に見えていたので。それに、今回はマイクをいろいろ試してみた結果、初めてシュアの57をレコーディングで使ったんですよ。コンデンサーマイクに改造してあるんですけどね。57ってライブでも使うマイクだし、身近なイメージがあるじゃないですか。だから、最初はどうなんやろう？と思ったけど、ブレスの感じだったり、声の倍音の欲しいところを拾ってくれたりして。初めて相性の良いマイクが見つかったという感じ。だから歌録りに関しては、もうブースに入って自分のコンディションが整ってから２時間でオールＯＫでした。

──早いですね！

w-shun：今回は本当に早かった。「Our World」とかは１時間くらいしかかからなかったんじゃないかな。今回のレコーディングでは表現したい心情を丁寧に歌うというよりも、かなりエモーショナルに歌ったほうが言霊としてより楽曲に乗っていくような印象があって。それを信じて歌ったので、すごくやりやすかったです。

──なるほど。

w-shun：僕はヒップホップとかR&B、レゲエ、ゴスペルといったブラック・ミュージックが好きなので、歌に精神性が乗っていないと納得できなくて。声の裏側に背景的なものが見えるような歌い手になりたいんです。アプローチ面で言うと、「MOON」でファルセットを使ったのが自分の中では印象に残っていますね。ファルセットはあまり多用しないタイプだけど、「MOON」ができた時にすごく柔らかい表情で歌いたいなと思って。久々にファルセットを使うことで、楽曲と歌詞の両方を良い形で表現できたことを感じています。「街」もいい歌が歌えているんじゃないかな。

──たしかに。『Mr. Foundation』は、完成度の高い楽曲と良質なプレイが相まって、強い説得力を持った作品になりました。KNOCK OUT MONKEYの2015年はアルバム・リリースから始まって、１月から５月にかけて全国ツアーも行ないます。

ナオミチ：アルバム『Mr. Foundation』が完成してから、みんなでスタジオに入ったんですよ。今回は自分の手グセを活かした部分が多いからより演奏に気持ちを乗せることができて、すごくツアーが楽しみになりました。ただ、お客さんも僕らも、絶対しんどいライブになるやろうなと思います（笑）。昔の曲とかも混ぜることで、前のツアーよりもテンションが高いところにいけると思うので、期待してほしいです。

亜太：１stアルバムは、結構頭を使って楽曲やプレイをかなり作り込んだんです。そういう作品を引っ提げて初めて全国を廻ったんですけど、やっぱりライブの構築の仕方にも頭を使うことになって。今回の作品はそういう経験を糧にしたうえで、リラックスして遊び心も採り入れることができた。そういう空気感をツアーで出せるといいなというのはありますね。あと、ライブというのは音源を超えないと意味がないと思っているので、この人らほんまにメチャクチャやな!?というステージを見せたい（笑）。

dEnkA：アルバムが振り切った作品になったので、ライブでも激しい曲はより激しく、落とす曲はとことん落とすくらいのレンジの広さを見せたいです。レンジで表現すれば、もうドンシャリでいきたいですね。ナオミチも言ったように前回のライブよりしんどいと思うけど、それ以上に楽しくて、カッコ良いいところを見せつけて、みんなを昇天させます（笑）。そのために体力作りもしっかりしておきます。

w-shun：今回のツアーは期間が長いことに加えて、名古屋ダイヤモンドホールや新木場スタジオコーストとか会場のキャパシティ的にも今までの最大規模なんです。そういうプレッシャーはあるけど、期待に応えるためにこれから根を詰めてリハーサルをして、１本１本全力で取り組みます。その全力の向こう側になにかがあると思うから、ツアー・ファイナルまで一切妥協なく突き詰めていきたい。ただそうはいっても、そんなに重い感じでもなくて、好きだからこそやっているというところを大事に、全員で同じ方向を向くことができれば、自ずと良い結果が訪れるんじゃないかなと思っているんです。

取材・文◎村上孝之






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