【インタビュー】ピエール中野「イヤホンスパイラル…もうキリがない(笑)」

ポスト

■イヤモニって買うと高いし
■10proが壊れたんでモールドしました

──カスタムIEMの愛用者は最近急増していますよね。

中野:専門店(eイヤホン秋葉原店カスタムIEM専門店」)もできましたし、使っている人やっぱり多いですね。逆にカスタムじゃないほうがやりやすいって普通のイヤホンを使っている人もいますよ。カスタム試したけど、やっぱり普通のイヤホンのほうがやりやすいって。北嶋(TK/凛として時雨)もカスタムは作ってない。でもやっぱりイヤモニは浸透してきて、どんどん需要は増えてるんじゃないですかね。

──ミュージシャン同士でイヤモニに関する情報交換ってあったりするんですか?

中野:ありますよ、こないだ某アリーナクラスのバンドと話した時にその話題になりましたし。今何使ってるのかとか、こういう時ってどうすればいいのかな、みたいな話とか。

──例えばどんな会話を?

中野:「汗かいてちょっと変な感じになった時とかって対処法あるのかな」みたいな。「いや、ないですね」(笑)「ふき取るしかないんですよ」とか言ってて。その後にeイヤホンの人と会って「そういうのって対応策あるんですかね」って訊いたら、Westoneが体温でフィット感が変わるからそれを試してみたらどうですかっていう提案をもらって紹介したり。

──現在はイヤモニはUERMを使っているとのことですが、他にもカスタムIEMがありますね。これは?

中野:いちばん最初にイヤモニとして使っていたのが、10proをリモールドして作ったもの。イヤモニって買うと高いし、10proが壊れたんで、リモールドしました。

──どちらでリモールド(編集部註:市販のイヤホンの中身を取り出し、カスタムIEMとして作り変えること)したんですか?

中野:ROOTHです。須山補聴器で耳型(インプレッション)採って作りました。

──ステージでのモニターとして使おうと思って?

中野:そうです。もともとイヤモニのカスタムIEMの存在は知っていたけど、手の届かない存在だったんですよね。どこで作っていいかわかんないし。いちばん有名なUEは海外だし、まだ日本の代理店もなくて直接取引するしかないみたいな。ちょっと敷居が高いし、トラブルがあったら怖いし、値段も高いしっていうので、手が出せなかったんです。で、僕の中のイヤホンブームがきた時にROOTHに辿り着いて、ちょっと試しに作ってみようと思ってね。憧れのアイテムではあったので。

──実際使い心地はいかがでしたか?

中野:もう不自由なくできましたね。何の問題もなく。

──やっぱりカスタムはいい!って?

中野:うん、これは素晴らしいってなった。それこそTwitterや教則本に書いたりもしたな。当時ドラムマガジンで連載を持っていたので、そこで発表したり。それでみんなが興味を持ってくれたり、それこそeイヤホンと繋がったのもそれで発信したのがきっかけだった。

──もうひとつカスタムがありますが。

中野:これはSHURE SE535のリモールドです。これもROOTHで作りました。パワー感があって、今でもたまに普段で使ったりします。

──そして、今使用中のUERMですが、これはどういう出会いで?

中野:これはeイヤホンから「ちょっと試してみませんか」という話があって。それで全機種試させてもらって、UERMがめちゃめちゃいいんで「これで作りたいです」って言って作ってもらった。ドラムを叩くときはすべてUERMですね。

──聴覚保護という観点では意識されていることはありますか?

中野:意外と聴覚が悪くなることはあんまりなくて。聴力検査とかも行くんですけど何も問題なくて。むしろ目のほうが悪くなってるっていう(笑)。でも(イヤモニが)その保護の役割は果たしていると思うので、かなり役立ってると思うんですけど。楽器演奏者は耳には良くないですよね(笑)。なるべく負担は軽くしたほうがいいと思う。それこそ二井原さんがインタビューやってますよね、イヤモニはそういう点で優れてるって(編集部註:◆【インタビュー】ラウドネス二井原実が語る、イヤモニ(カスタムIEM)の真実)。

──あそこには貴重なお話が満載ですね。

中野:あれ、めちゃめちゃいいっすね。定期的に話題になりますよ。

──あのインタビューがきっかけで、二井原さんはWestoneのイヤモニを使うことになりましたね。

中野:あれ、UEでしたよね?

──もともとUE 5を長年にわたって愛用していたんですが、JHオーディオのJH16PROをオーダーしたという話を聞いて「浮気したな?」と思ってインタビューに臨んだんです。そしたらWestoneに興味をもったみたい。

中野:あははは。

──Westoneはカナル部分がフレックスカナルと言って、ちょっと柔らかくて体温で更に柔らかくなる。シリコンでできてるのはグミみたいな感じなんですけど、ウエストンのそれは牛皮くらいの硬さで。それで動いても汗をかいても遮音性が落ちないんです。

中野:へぇ~。歌う人とか特に大変ですよね。顎を動かすからフィット感が変わっちゃうと。

──走り回るし、下向いたり上向いたりすると、耳の中ってずいぶんと動きますからね。

中野:そうなんですよね。そのへんがけっこう大変っていろんな人が言ってました。


▲ROOTH製 アルティメットイヤーズTripleFi 10リモールド


▲ROOTH製 SHURE SE535リモールド


▲アルティメットイヤーズ製UERM


(次のページに続きます)
この記事をポスト

この記事の関連情報