【インタビュー】MERRY、いままで使わない言葉やテーマを引っぱり出し自分を殺すことから始めた『NOnsenSe MARkeT』
■1曲の歌詞を書くのに1ヵ月とか余裕でかかっていた
■ここで新しいMERRY、新しいガラを作りたかったので
◆「NOnsenSe MARkeT」フルバージョン映像
▲ガラ |
▲健一 |
▲結生 |
▲テツ |
▲ネロ |
ガラ:悩み過ぎました(笑)。1曲の歌詞を書くのに1ヵ月とか余裕でかかっていたんで。いまはこのアルバムが本当に完成してほっとしています(笑)。“このままじゃいけない。そうじゃないと今後のMERRYは続いていかない”ぐらいまで俺は考えていたので、ここで新しいMERRY、新しいガラを作りたかったんです。バンドとしても個人としてもいろいろあったなかで、より多くの人にMERRYを聴いてもらうためにはどうしたらいいか。そのために、今回はいつもと違う歌詞の書き方をしたんです。歌詞を書いたらメンバーや会社のスタッフにSkypeで“この歌詞、どう思いますか?”“何が言いたかわかりますか?”って見てもらって意見を聞いたりして。
──ガラさんぽくないですね。
ガラ:そうやってまず自分を殺すことから始めたんです。それで、自分がいままで使わない言葉、テーマを引っぱり出して歌詞を書いていったんです。
──具体的に言うと?
ガラ:例えば「千代田線デモクラシー」。これまでだと、もっとぼやかして世間に向けて言っていたことを、この国、世の中とピンポイントに向けて具体的に歌っています。「暗闇にピンク」をこれまで歌ったことがない宇宙をテーマに書いてみたのもそう。そして歌詞で悩み過ぎてたときにできたのが「自意識過剰形木偶人間」なんです。俺は何を書けばいいのかさえわからない、これはそんな心境をそのまま出してしまっている歌詞です。いままでだとMERRYというバンドを使ってガラが思ってることを歌ってたけど、いまははっきりいって真逆。MERRYがガラを使っているんです。そこは、いままでの俺と確実に違うところですね。
──このアルバムを聴いてわかったのは、絶望のその先、ドン底まで行っても人は生きていくんだなということ。そこがこのアルバムから一番伝わってきたポジティブなメッセージでした。
ガラ:そこが伝わったのは嬉しい。人間、生きてりゃなんとかなるんですよ。それが全てだといまは思います。死ななきゃいいんですよ。死んだら終わりですから。
──そうなるまでの、以前のガラさんだと、そういうときはもっと這いつくばって。
ガラ:そうなんです! 「群青」とか「梟」とか「ZERO -ゼロ-」はドン底に堕ちたとしても、ここからみんなで這い上がっていこうよ、頑張っていこうっていうのがあった。
結生:バンドもその頃はいい状態でめっちゃ攻めに向かってた時期ですから。ここから行くぞって。
──でも、いろいろな出来事があって以降のガラさんの歌詞は、這いつくばってでも頑張るぞっていうのが。
ガラ:(きっぱり)ないんです。いろいろ現実も知った上で、受け入れた上で、あがいたり這いつくばろう感はないんです。
──現実を受け入れた上である意味達観して、ただ生きる。それ以外のキレイごとは歌っていないんですね。
ガラ:そうなんです。「東京」の歌詞はまさにそういうところに落ち着いていて。ここで夢を叶えるために頑張ろうって歌うのは、夢が叶った側が言うことだなと。俺もいままではそう歌ってた側ですけど、ほとんどの人は基本、夢は叶わないわけですから。この時点で俺の人格がいままでと変わっていますよね(笑)。夢に向かって頑張るのはいいんですよ。でも、夢が叶う人はほんの一握りで、叶わない人がほとんどだよという現実も知り、なぜ東京に居るの?と、聞かれたらやっぱり東京には何かがあるんですよね。だから俺も東京に居るんだと思います。
──「群青」「梟」「ZERO -ゼロ-」とエネルギッシュに希望に向かっていた時期のMERRYが、予想不可能な様々な出来事に次々と襲われ、ドン底を味わい、ゾンビになっても再誕して生きていくことをやめない。それら全部がこのアルバムには入っているんですよね。
結生:このごちゃごちゃ感、それを一緒にできちゃうところがMERRYなんですよ。
──そのフィナーレを飾るのが、アルバム制作の始まりとなった曲でシングルにもなった「群青」。
結生:「群青」だけは唯一このアルバム用に歌を歌い直してて。アカペラから入るバージョンになっています。
ガラ「この曲は10周年のときにファンに対してありがとうという気持ちを込めて作った曲なんです。このアルバムが出来たことに対してもファンにありがとうということで、この曲を最後に持ってきました。
──アルバムのジャケットも気になったんで、教えてもらってもいいですか?
ガラ:(通常版のヒマワリを指して)これ、よく見るとネズミの手なんです。このジャケットのアートは“骨花”といって、実験用のマウスの骨で作ったフラワーアートなんです。日本のアーティスト徳重秀樹さんが作ってる作品で。輪廻転生じゃないですけど、実験で死んでしまったマウスから骨をとりだしてこうしてもう1回作品として花を咲かせて最後は土に還すというまさに命の花なんです。
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