【ライブレポート】May J.、アコースティックライブで「逆に近いほうが好きなんです」

May J.のアコースティックライブが12月20日、TOKYO FMをはじめとするJFN38局ネット『KIRIN BEER“Good Luck”LIVE』にて放送される。同ライブ放送はTOKYO FMとKIRIN BEERのコラボによるプログラムで、“土曜日の午後、ラジオの前のみなさんをステキなライブパーティーにご招待。あなたのすぐそばで、あのアーティストが、歌い継がれる生きた音楽を届けてくれる1時間”といったコンセプトのもとに行われている。

◆May J. 拡大画像

公開収録が行われたのは11月下旬、場所はTOKYO FM内のスタジオだ。放送用のコントロールルームが併設されたスタジオには、グランドピアノとアコースティックギターがセッティングされている。抽選で選ばれたリスナーのための客席はわずか20席。このライブの主旨を説明するパーソナリティ齊藤美絵氏の声がマイクを通さずとも聞こえるほどステージと客席との距離が近い。そして、鮮やかなレモンイエローのドレスを身に纏ってスタジオに登場したMay J.に、「かわいい！」という感嘆の声が飛んだ。

「皆さん、すごく近いですね（笑）。でも逆に近いほうが、私は好きなんです。アットホームな感じで歌えたらいいなと思っているので、今日は“May J.の部屋に遊びに来た”くらいの勢いで最後まで楽しんでいただけたら」

というMay J.の挨拶に続いて、この1年を振り返って彼女はこう語った。「あっという間の1年だったなって。いろいろなところで歌わせていただく機会に恵まれて、新しい挑戦もあったり。たくさん吸収して、来年はそれを糧にステップアップできるようにしていけたらと思っています」。2015年1月1日にはMay J.の歴史が詰まった2枚組ベストアルバム『W BEST -Original & Covers-』がリリースされる。タイトル通り、デビューから8年間の軌跡を完全網羅した“Original BEST”とカバーアルバムからの人気曲に新録曲を収録した“Cover BEST”の2枚組だ。この日のスタジオライブは、同アルバム収録曲を中心に行われた。

至近距離のアコースティックライブならではの落ち着いた雰囲気とほどよい緊張感が漂うなか、演奏されたオープニングナンバーは「Garden」。のっけからのアップテンポチューンと客席の手拍子を促すという気取らない展開で、ピアノとギターの深く軽快なサウンド世界へ誘うスタートが鮮やかだ。続けて、ギターの16ビートが爽やかに疾走する「Beatutiful Days」、郷愁を誘うピアノの調べが美しい「Be mine～君が好きだよ」など、お馴染みのナンバーも新たな息吹を吹き込まれたようなアコースティックアレンジが新鮮に響く。もちろんMay J.ならではの確かなピッチとリズムも、突き抜ける高音も、儚げなトーンも、それでいて伸びやかさと力強さを感じさせる歌声もストレートに胸へ届くようだ。加えて、May J.と客席とのコール＆レスポンスが序盤から会場に一体感を作り上げた。

「次の曲はラブソングです。“本当の恋”って人それぞれだと思うんですね。自分が信じたその恋に飛び込んでいきたいっていう、そんな気持ちを切なく力強く歌った曲です」

ここからはよりしっとりと、スローテンポな楽曲セクションへ。目を瞑って心憂い旋律に心情を乗せるMay J.の姿が印象的な「本当の恋」、静と動のダイナミズムが清々しい「ハナミズキ」といったナンバーはピアノとギターと歌のみのシンプルな構成だからこそ曲が内包するドラマが際立ち、豊かな感情の起伏を感じさせるというもの。アコースティックならではの醍醐味がここにある。

「クリスマスの準備はもうできてますか？」というMay J.の問いかけに続いては、「毎年、この時期になるとこの曲を歌います。小さい頃からマライヤ・キャリーが大好きで。みなさん、もうどの曲かわかってますね」と披露された「All I Want for Christmas Is You」。軽くステップを踏みながら歌うMay J.のR&Bテイスト溢れるファルセットやフェイクは素晴らしく、客席のハンドクラップが一層高鳴る。そこから軽やかなリズムが駆け抜ける「RAINBOW」へつなげる展開が流れるように滑らかで、会場の熱量が一気に上昇したのが肌でわかるほどだ。

「去年の1月はデビューから7年だったんですけど、本当に自信をなくしてしまって、次にどんな作品を作ればいいかわからなくなっていました。そんなときに、あるTV番組からカラオケの採点機能を使った企画のお話をいただいて、正直、これが自分にとって最後のチャンスだと思ったんですね。その結果、この曲をカバーしてほしいとか、たくさんの方々からのリクエストをいただいて。求めてくれる幸せをすごく感じました。それから、私は子供の頃からディズニーが本当に大好きで、いつか私が好きなクリスティーナ・アギレラだったり、セリーヌ・ディオンのようにディズニーの曲を歌えるようなシンガーになりたいということを目標にしていたんです。なので、ディズニーのお話をいただいたときは凄く嬉しかった。去年1月には諦めかけていた自分がいて。でも、歌の世界は頑張ることがあたり前で。どれだけ辛い時期が続いたとしても踏ん張り続けられるかどうか。それが一番大切だと思っていて。そうすれば必ず夢は叶うんだって感じました」

May J.の人生を変えたというナンバーは、もちろんディズニー映画『アナと雪の女王』主題歌「Let It Go」のアコースティック・バージョン。自分らしく生きることが大切だと歌う歌詞を噛み締めるような彼女のボーカルは瑞々しい曲をより輝かせて、スタジオが感動に包まれた。万雷の拍手が降り注ぐなか、深くお辞儀したMay J.。そして、「ライブでいつも最後に歌う曲」だという「ありがとう」を披露して、全9曲のプレミアムなアコースティックライブが終了した。

May J.の表現力豊かな歌声とアコースティックアレンジとの相性の良さを堪能できた1時間。この模様は12月20日(土)16時からTOKYO FMをはじめとするJFN系列全国38局フルネットで聞くことができる。なお、翌週12月27日(土)は海援隊のライブが決定している。観覧希望は本日12月19日までオフィシャルサイトにて受付中だ。

取材・文◎BARKS編集部　梶原靖夫




◆May J. オフィシャルサイト
◆KIRIN BEER“Good Luck”LIVE オフィシャルサイト